第14話    オーガ戦1


最初から全力で行く!!!出し惜しみはしねぇ!!


「身体強化!!×減重!!×ウィンドブースト!!」


「エレキアロー×10」



オーガに向かって駆ける俺と、その周りでオーガに向かって飛んでいく電気の矢、普通の魔物ならこの魔法を食らっただけですぐに倒せる。だが、



「ガアアアア!!」


オーガはユキが放ったライトニングアローをいとも簡単に払いのける。



ちっ、やはり効かないか……ならっ!!



「加重×5!!」


オーガは思わず地面に膝をついてしまう。周りにはオーガを中心に大きなクレーターができている。



「ググググ」



「おとなしくしなさい!!雷鳴×5」



「ガガガガガ」


オーガの体から黒い煙が上がる。



いける!!いけるぞ!!



ソラはオーガの目の前で飛び上がり、オーガに対する加重を解除し、



「身体強化”腕”×加重×10」



それは、かつて自分よりも格上の相手に勝利した技



「くらえぇぇぇ!!!」



ソラはとてつもない質量を持った剣をオーガに振り下ろす。



しかし、



「なッッ!!」


オーガはあろうことかその剣を手でつかんでいた。


ソラの額に冷や汗が流れる。


まさかこの一撃が防がれると思っていなかったソラは、そのままオーガに吹き飛ばされてしまった。

  


「ソラッッ!!くっ、雷鳴」



それはもう見切った。



そういわんばかりにオーガは華麗にユキの放った雷が避けられた。



「まだよ!!雷鳴×4」



だが、それすらもオーガは避け、



「く、身体強化×バリア」



ユキを殴りつけ、



「グハッ」



あまりの威力にユキは殴り飛ばされた。

















______________________________________




俺はどのくらい気絶していたのだろうか。


オーガに殴り飛ばされたことにより、ソラは気を失っていた。


「ッグ…」  


体のそこらじゅうが悲鳴を上げている。両手はすでに折れており、紫色に変色している。おそらく、肋骨も何本か折れているだろう。



満身創痍。



今のソラにはぴったりの言葉であった。



「オーガは何処だ…」


俺の前にはオーガがいない、なら次に狙われるのわ?



「ユキが危ない!!」


ソラは悲鳴を上げる体を無視し、ユキのもとへ向かった







だが、そこにには無傷のまま佇むオーガと、ソラの目の前で殴り飛ばされたユキの姿があった。


「ユキぃぃーーーーーー!!!!!!!」



すぐさまユキのもとへ向かう



「おいユキ!!しっかりしろよ!!おい!!」


「グ…ガ…」


良かった。まだ息はあるみたいだ。


「…ソ…ラ…?」


「そうだ俺だ!!ソラだよ!!戻ってきたぞ!!」



戻ってきたからなんだというのだろうか?



絶望。



やはり自分ではオーガには勝てない、自分の中の最大の攻撃もオーガには効かなかった。おまけにオーガは無傷で自分は満身創痍。誰が見ても、もうソラ達はオーガによって殺される運命には変わりない。


絶望。




「ごめん…ユキ…守り切れなかった」




自分は調子に乗っていた。




前世の知識を手に入れて、重力魔法という強い武器を手に入れて、調子に乗っていたんだ。



俺は、弱い。




弱くて、ちっぽけで、矮小で。




たった一人の女の子でさえ救うことができない。




「グギャギャギャギャギャ」



オーガがその顔を醜く歪ませ、何もできない俺をあざ笑う。



「…ユキ最後に言いたいことがあるんだ」



もう、あきらめよう




「俺、ユキのことが_____



ユキが俺の頬に手を添えて微笑む



「…ソラ…あきらめないで…ソラならできる…よ…かっこいい姿…見せて…」



途端に、胸が熱くなる



「…勝って…私の友達…私の______




ああ、自分はなんて、愚かだったんだろうか




____私の…英雄…」



自分の無力に絶望した。



絶望したさ。でも、絶望したところで何も変わらない。



絶望したところで、何も守れない。何も成せない。



何もせず、ただ指を咥えて奪われる姿を見ているだけなんて、僕には絶対に許容できい。できるはずがない!!!!!!!だから、


いまここに改めて誓う。







「君を死なせない___だから僕は勝よ__きみの、君だけの英雄になるために____」


そういうと、ユキは安心したのか、寝息を立てて眠ってしまった。



さてと、




「今ここに、不撓不屈の勇気を」



「ガアアアアア!!!」



限界を超えろ。



「こいオーガ」



でなきゃ勝てない。



「ラストバトルだ!!」



























  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る