ファ○ミチキネギ北海道シチュー
「今日精神科を受検して正常だと言われた。あれはいったいなんだったのか…?」
繁華街から一本はずれた通りにある高級クラブ。私はその一店、「麗羅」へ行くと、なじみのキャバ孃へとひとりごちる。
「尚さん、それ多分だけど本物…。貴方から神様の匂いがしますよ。ご希望なら、私もご一緒しますよ?」
キャバ孃右京。私は彼女を「右京氏」と呼び習わしている。右京氏は巫女の系譜で、カムヨビ、除霊、呪払いなどを担当しているという。
「とにかくだ。正体の不明な女の子が現れた。女のコは腹を空かしていて、家の冷蔵庫のありのままを狙っているらしい。本当なら侵入を断固として拒むべきだった。でもな、なんだろう。出来なかったんだよ。」
右京氏、
「さもありなん、ですね。きっと、心当たりはあるのでしょう?」
と言うので、
「たしかにお参りはした。気まぐれで…。団子を買ってな。みたらし3本、もって帰ってパクリ、と食べたよ。」
それです、と右京氏。
「こいつチョロい…。神様はそうお考えになったはずです。私明日暇なの。よかったらマンションに行って、対策でも考えますか。」
アフターで右京氏を連れ出し、チャーシュー盛々ラーメンを食べる。ビール瓶2本開けて、二人でフラフラになりながらマンションへ。
明日辺りまたあのコが来るかもしれない…。
そう思った俺は、ネギ、ファ○チキ、北海道シチューを人数分揃え、とりあえず家に帰った。
右京氏に寝床とシャワーをあてがい、自分はそのままマットレスにて眠りにつく。
AM6:30。ピビピと目覚ましが鳴り止まぬ中、案の定キンキン声であのコの声が聞こえてきた。
『早く朝メシを用意するのじゃ!妾、もうペコペコじゃ!!』
へいへい。右京氏はまだ夢の中。1人起きてコーヒーを入れる。女のコには砂糖ミルクたっぷりに入れて、ネギをロースターにて炙っていく。
十分ほどネギを熱し、フライパンに開けて北海道シチュー、フ○ァミチキを入れ馴染ませていく。
ほどなくして、ファ○ミチキネギ北海道シチューが完成した。
『これもうまそう!美味しそう!』
右京氏も起きてきて3人で食卓を囲む。女の子はパクパクパクともの凄い勢いで食べ進め、
『おかわり!!』
と今日も元気におかわりコール。もうひとさらよそってやり、提供するとまたパクパクパクパク…。
(右京氏どうだ?)
(…本物です。と、鳥肌が…。)
(わかるのか?)
(わかるも何も…。主祭神様です。まちがいな…)
『美味かった!またたのむぞよ!』
とおっしゃるので、デザートにコーヒーゼリーを出してきて提供。
『甘くておいしー🤗!大人の味なのじゃ!!』
ペロリとたいらげ、
『ご馳走様でした!!』
今日も元気一杯の主祭神様。では、と食後のコーヒーを出してあげると、砂糖とミルクをたっぷり入れてフーフーしながらちびちび飲み始まった。
「…豊宇気毘売神様でいらっしゃいますね?」
右京氏が聞くと、
『いかにも。妾はトヨウケ。右京。実は、そなたにも頼みがあるのじゃ。』
あら豊受様、今日はまっすぐお帰りにはならないのですね…。
豊受サマの言うとおり @hasumi1206
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