衝突願望その4
マンションの駐車場で車に乗った私はブレーキに八つ当たりをする前に求人誌をどこで手に入れるのかを考えた。そんなものはインターネットで調べればいいのではないのだろうか。鬱があるなしに関係なくコンビニとしか社会の接点がないのが問題なのではないだろうか
キャバクラやスナックというキーワードが頭をよぎったがその考え方が昭和なのだ。その時私は思った。こうして自分がどうしたいのかを考えていればいいのではないだろうか
そうして過ごしていればマンネリ化を通り越して絶望を感じている生活を変えられるのかもしれないと。ブレーキの誘惑がある車内をすぐにでて忘れずに鍵をかけて部屋に戻ることにした私は地下の駐車場を出て部屋に戻った
部屋に戻った私は早速、和室にある座椅子の前にある低い夫のパソコンデスクに座った。デスクトップ一体型パソコンのキーボードの上には多くの書類とファイルが積まれている。どけて表にあるスイッチを入れた。すぐに起動したパソコンの私の使用ユーザーのアイコンをクリックするとパスワードなどはなくホーム画面がすぐにでた。インターネットのブラウザをクリックしてタ◯ンワークだったかイン◯ィードだったのか私は迷った
「そうだ何故老人がブレーキとアクセルを踏み間違えるのか…いや。興味本位だ。この際」
私は頭の中にあるキーワード「衝突願望」という文字を検索欄に打ち込んだ。すると検索項目には訳のわからないネット小説と案の定「追突事故」は何故起きるのかといったコラムが出てきた。その中に一つ気になるものを見つけた
衝突願望と検索したあなたにオススメの求人!
私は刺激が欲しい現状からくる好奇心で怪しげなアルバイトがあるならホームページだけでも見てやろうとクリックした。そのとき同時にイメージ上にあるネットユーザーという名の神様になった気分も体感できた
画面は求人情報サイトでは見かけることのない。「クレイジードリーマー」と銘打たれたタイトルのホームページだった
ポピュラー出版
小説募集 パート ライター
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「なんだ時給は出ないのか。まあ面白いかも暇つぶしにやってみようかな」
こうして私はこの衝突願望という小説を書いてみたのだ。今あなたが読んでいるこの小説はこうしたきっかけで書かれることになったのだ。こうした触書きは教養書のようで拙いとは思うがもう少し我慢して読んでみてほしい
私はまずこのサイトを見た後ブラウザを閉じてマイク◯◯フトオフィ◯ワードを探したが持ち主のユーザー設定でしか開けなかった。そこでもう一度求人情報を見て電話番号を探した
「あった!」
すぐにスマホで検索し直して電話番号をタップした。コール一回でポピュラー出版の担当者が出たようだ。手書きでも良いのだろうか。書道をやっていたので字は綺麗な方だと思う
「あ、もしもし今大丈夫でしょうか私クレイジードリーマーという求人を見て、小説を書いてみようかなと思って応募してみたのですが、八女乃 咲と言います」
「……ああ、では今考えているあなたの構想を述べていただきますか。僕は神崎です。どうぞ」
突然電話したのにも関わらずこの神崎という男は名字だけ言い放って。唐突に構想を述べろと言い始めた。あまり考えてはいないのだが現状を話してみることにした
「ああ、私はですね少し鬱気味というか最近病院でも軽度のうつ病と診断されまして…車に乗るときにブレーキを無茶苦茶に蹴ってしまうんです。その内アクセルと踏み間違えて事故を起こさないか不安になるのですけど。それもまたスリルがあってやめられなくなってしまったんです」
黙り込んだ電話先の神崎という男は電話機にため息を吹きかけて答えた
「ほう、なるほどいいじゃないですか。衝突願望ということですね。そうですねじゃあ明日、この時間にポピュラー社のあるビルに来ていただけますか。そちらでゆっくりと話をしてみましょう。勿論お仕事などがあるのであれば日時は変更できますが」
私は小説の中に出てくるキャラクターになった気分だった
「はい、午前中からお昼の二時まで仕事なので問題ないと思います」
「では、八女乃さんでしたね。明日の六時ごろお待ちしています」
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