最終話 漢らしさを履き違えるとハーレム形成に至る。みんな病んでても愛で維持する

「だ、旦那さま......。もっとボクを愛して............。今日くらいはボクだけ愛して......」


「ダメだよ衣莉守いりす。今日は絶対にみんなでスる日だよ。藍朱あいすだって我慢するんだし、衣莉守も我慢してよね」


「......チェッ。今日くらいはちょっと譲ってくれないの? ボク、みんなのためにめちゃくちゃ頑張ったんだよ?」


「確かに衣莉守はすっごく頑張ってくれたわよね。まさか一夫多妻を認める条例を通しちゃうなんてね。まぁメインは自分のためなんでしょうけど、感謝してるわ」


「あたしも玲有れいあと同意見。感謝してる。おかげであたしも知火牙ちかげくんのお嫁さんになれたわけだしね。ちょっとくらい多めにさせてあげるのもやぶさかじゃないよ」


「むぅ、藍朱だってそこは感謝してるけどさぁ......」


「あんたたちは良いでしょ。ウチなんてもう1ヶ月もおあずけされてたんだ。もう股が爆発しそうなんだよ。最初は衣莉守に譲ってあげるから、早くウチの番を回してきて」


「「「「凛夏りんかのは自業自得」」」」



 仲良くじゃれつく5人の姿は目の保養だ。


 全員よだれを垂らして目がイっちゃってるけど、可愛い僕のハーレム。

 幸せとはこの時間のことを言うんだろうね。




 春の風が気持ちいい4月10日の夜。

 今日は僕、御霊知火牙みたまちかげの23歳の誕生日。


 僕が『漢らしさ』を取り戻してから早くも1年半が経過した。

 その間、いろんなことがあった。



 まずは子どもが4人、生まれた。


 最初に玲有が無事に第1子を出産してくれた。名前は御霊玲火みたまれいか。2人の名前から1文字ずつ取って名付けた可愛い女の子だ。

 唯桜は僕が連れ戻されて1ヶ月ちょっと経ったころには妊娠が発覚して、数ヶ月前に無事に可愛い女の子が生まれた。次女、御霊桜火みたまおうかだ。

 藍朱は三女、御霊朱火みたまじゅかを産んだ。

 衣莉守も同じ。妊娠の発覚は藍朱より少しあとだったけど、なんと衣莉守と藍朱は同日に子どもを出産。衣莉守は御霊莉牙みたまりがという長男を産んでくれた。


 みんな元気に育ってくれそうだ。


 凛夏は最後まで子どもができないように頑張ってたらしく、こっそり避妊薬を飲んでいたらしい。


 僕に内緒で勝手なことをするなんてダメだって分かってなかったみたいなので、避妊をすべて禁止して妊娠するまで仕込んでから、1ヶ月おあずけを食らわせておいた。

 今日解禁なわけだけど、すっかり反省してくれたみたいで、とても従順になっていて可愛い。




 みんなの所属とかも変わってきた。


 藍朱は働いてた幼稚園を3月まで有給消化して退職。無事に専業主婦へと転身した。これから玲有と藍朱で子育てに専念してくれるらしい。


 唯桜いおと凛夏の2人は、設立が中途半端な状態だった会社を正式に動かし始めた。

 株式会社 御霊総務。起業して1年。経営は軌道に乗ってきていて、3人で一緒に安定した経営をしてる。


 僕の大学の方は洗脳監禁されてた3年後期の単位が足りなくて、前期は休学扱いにして今年の後期に修了の予定。


 衣莉守は無事に卒業できたらしい。それから法科大学院に進学して、さらに法律の道を極めるんだとか。



 順風満帆で文句の付け所もない。

 強いて言えば、子どもたちが寝付くまでみんなを愛してあげられないことくらいだろうか。


 シッターさんも雇っているし、ずっとつきっきりってわけじゃないけど、やっぱり実の親が近くにいるのがいいだろうし、自分も子育てに参画したい。


 このあたりのバランスは今も模索中だ。

 最近はセーブして、みんなを気絶させるのも一日2、3回程度に抑えるようにしてるしね。







 そして何より、今日、みんなの名字が変わった。


「それにしても衣莉守、本当によく頑張ってくれたね。それもこれも、衣莉守ががんばって法律を勉強してくれて、いろいろ動いてくれたおかげだ。だからたった1年半で僕は今日で5人全員を娶ることができたよ。本当にありがとう」


「へへっ、ナデナデ気持ちぃ......。だいしゅきな旦那さまのためなら、ボクなんだってしゅるよ......。それに、これはボクと旦那さまの共同作業......愛の結晶とも言える条例だから......。だから今日はボクをたくさん可愛がってぇ」



 抜け駆けしてでも僕の寵愛を得ようとする浅ましい彼女たちが愛おしい。


 彼女たちは絶対に浮気しないし、万が一ムラムラが限界に達したら、彼女たちでお互いを慰め合ったりしてくれるから、他の男が入る余地もない。

 彼女たちが人生で体験できるハジメテはあらかた全て奪い取ったと思う。


 ただまぁ、今日までは正式に入籍してなかったから、戸籍上の初体験を他の男に奪われないか不安もあったけど、それも今日で解消だ。


 衣莉守のがんばりのおかげで、一夫多妻を認めさせる条例が制定された。この街限定かついくつか条件があるものの、僕たちに不利になることは特にない。

 僕も裏からいろいろ手を回したとはいえ、普通ではありえない驚異的な速度で認めさせることができた。それもひとえに衣莉守のがんばりによるものだ。


 だから今日、僕の誕生日のこの日に、全員を僕の正式なお嫁さんとして迎えられた。


 前から入籍済みだった凛夏はともかく、他のみんなは今日が新婚初夜というわけだ。すでに出産済みなのがアレだけどね。




「まぁ今日の話は衣莉守の貢献が大きいのは間違いないわけだし、一番目にトぶ権利くらいはあげてもいいよね? もちろん、心配しなくても、意識なんてみんな平等に即行でトバして、なんにもわからないようにぶっ壊してあげるからさ」


「「「「「はい......旦那さまの仰せのままに......」」」」」



 僕の言葉に、5人とも全員ぶるりと身体を震わせて、おもらししながら恍惚の笑みを浮かべる。

 5人は完全に僕との夜の生活の中毒になってる。他の男にはなびくことはないようにしてるからいいけど、完全にセックス中毒だ。


 そうなるように僕がぶっ壊したんだけどさ。病んでるよね、完璧に。文字通り病みを抱える子たちになった。

 僕のそばにいるときもいないときも、なんとかして僕に自分の魅力をアピールしようと必死。

 性依存症は精神病の一種らしいけど、僕にとっては大歓迎の状況だ。


 僕の命令には絶対服従。もちろんそんなにヒドイ命令はしないけどね。


「だ、旦那さま......。ボク今日は旦那さまをたくさん満足させてあげられるように、5分は我慢して締め付けてみせるからね」



 命令しなくてもこうやって自分から色々申し出てくれるし。


 にしても、5分か。


「衣莉守、そんなに耐えられる? 最近は全部入ったときにはイッてるのに」


「「「「衣莉守には無理だと思う!」」」」



 僕も、衣莉守に5分も我慢するんは無理だと思う。


「ボクをみんなと一緒にしないで! ボクはみんなみたいにあてがわれただけでイクようなザコじゃないんだ! すぐに気絶してユルユルになって旦那さまを楽しませてあげられないみんなと違って、ボクはお嫁さんとして責任持って知火牙を満足させてあげるんだ!」


「衣莉守もあたしらとあんまり変わんないくせに。旦那さまにつけられたイキ癖っていうか気絶癖、一番ひどいのは衣莉守でしょ」


「そーだよ。藍朱たちより先にチカをおいて気を失うくせに、あんまり調子に乗ったこと言わないほうがいいと思うよ」


「うんうん。どうせ私たちがちーくんの1発目まで耐えられるわけないんだから、大それたこというのはやめとこうね〜」


「............ウチはまだそこまでイキ癖つけられてないよ」


「凛夏............完全に癖付いてきたのバレてないとでも思ってる?」



 なんて可愛いやり取りだ。彼女たちが愛おしい。


「みんなが気持ちよくなってくれるのは嬉しいけど、みんなも衣莉守を見習って1秒でも長く意識を保つ努力をしてね」


「「「「「............快楽漬けにしてこんな情けない身体にしたのは旦那さまのくせに............」」」」」


「あれ、みんな僕の言うことが聞けないの?」


「「「「「できるだけ我慢します!」」」」」



 ってな感じで、僕がみんなを快楽漬けにしてぶっ壊したおかげで、みんなとても従順な子たちになってくれた。

 当然、クスリとかは使ってない。そんなのは漢らしくない。単純な快楽で落しきってあげた。


 幸いなことに、凛夏以外のみんなは最初から快楽堕ちしてた。

 昔の僕が相当に仕込んだらしい。記憶はないけど、彼女たちとの性活の一部始終、ハジメテを奪ってから堕としきるまでの記録は残ってた。


 それを参考に、今の自分のアレンジを混ぜて凛夏も可愛がってあげたら、すぐにぶっ壊れてくれた。


 5人とも、僕なしで3日も過ごすと発狂しだしてしまうくらいには堕ちてくれてる。

 誰一人として生涯逃がすことはしない。すでに僕に心身ともに依存しきって余所見をする暇もなくしてあげられたと思う。


 これで僕もいっぱしの『漢』の端くれにくらいはなれたんじゃないかな。






 僕の昔の記憶は戻らないままだけど、そんなのは気にならないくらい、今が充実してる。


 記憶を失ってからのことは当然、記憶も思考もそのまま残ってる。

 あのころの僕は愚かにも『1人の女性だけを生涯愛し切れることこそが漢らしさ』だなんて、『漢らしさ』を完全に履き違えた情けないことを考えていた。


 そんなわけがないというのに。


 真の漢らしさとは、今の僕みたいに、大事な女の子みんなを愛し尽くしてぶっ壊して、逃げられなくして、それでも全員から愛され尽くされる最強の人間であることだというのに。



 まぁいずれにしても、結果が良ければすべてよし。

 僕は漢らしさを履き違えた先の今、ハーレムを形成できた。


 全員、性依存症っていう病みと、たまに出る強烈な独占欲の病みを抱えてるけど。


 それでも僕は、そんなイカれたこの子たちを愛してる。

 もちろん、この子たちが産んでくれた子どもたちのこともね。



 あとは、みんなが心の底から僕を愛してくれることが確認さえできれば、この後はみんなでハーレムを維持すればすべて丸いわけだ。

 ま、そんなの今更聞くまでもないけどさ。






「みんな、今晩も、これから先もずっと、死ぬまで僕とたくさん愛し合おうね?」


「「「「「はい、旦那さま♡」」」」」

「藍朱のことを」 「ボクのことを」 「私のことを」 「あたしのことを」 「ウチのことを」


「「「「「壊れるまで愛してください。壊れても、幾久しく、愛してください」」」」」



 うん、みんな病んでるけど、僕たちの愛で、維持できそうだ。






おわり

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漢らしさを履き違えるとハーレム形成に至る。みんな病んでても愛で維持する 赤茄子橄 @olivie_pomodoro

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