第58話 ハーレム新規メンバー加入のお知らせ

 今から数時間前。

 泡を吹いてベッドに横たわっている4人の意識がまだはっきりしてた間。


 僕はコトの次第を4人から聞かされ、見せつけられた。


 凛夏さんが......心から愛していると思っていたお嫁さんが、実際はストーカー......というか、略奪した側で、さっきまでストーカーだと思っていた4人が、僕の最愛のハーレムメンバーだったと。


 なんていうか『ハーレムってなんだよ、普通誰か1人だけ愛するもんだろ、昔の僕は一体どういうつもりでそんなもん作ってたんだよ』って疑問符だらけだったけど、彼女たちに代わる代わる交尾させられる内に、なんか懐かしさを覚えてきて、だんだんなんとなく納得していく自分がいた。


 確かに彼女たちの身体は、僕が開発したんだろうなってわかった気がした。

 最初の頃はクスリの効果のせいか意識がはっきりしなかったけど、それも時間とともに消えていき、途中からは覚醒状態になれた。


 それからは立場が逆転して、僕が攻められる側から、攻める側になって、みんなが気絶し始めたころには、なんかモヤモヤと心のなかに貯まる鬱憤をぶつけるみたいにヤり続けた。


 騙されていたとはいえ、仮にも婚姻を結んだ相手である凛夏さんを置いて、他の女の子たちをマワしてるってことに罪悪感は抱いたから、凛夏さんに謝罪の言葉を述べながらだったけど............。


 ある程度鬱憤も吐き出して満足したところで周囲を見渡してみたら、いつの間にか目を覚ましていた凛夏さんと目があった。


 頬に涙の跡を浮かべて、赤く腫れた目で恨めしそうにこちらを睨みつける凛夏さん。

 まだ力が入らないのか、全裸で縄で縛られた状態でくねくねしてて芋虫みたいで可愛い。








 この人に、僕の子を産ませたい。





 いろいろ騙されてたとは言え、心から愛してる女性なんだから、当然の感情だろう。


 しかも一度は泣く泣く堕ろさせられた。

 それも僕の心を折るための行動だったってのも彼女たちから聞いた。


 正直、そんなことのために生命を粗末にするなんて赦せなかったけど、そこには凛夏さんなりの僕への想いがあったんだろうと思えば、強く糾弾することもできない。

 ただ......僕のことをたくさん騙して、みんなも凛夏さん自身も危険な状態に陥ったことは、許せることじゃない。


 だけど、まずは事情を聞かないと。

 大事なお嫁さん以外の女性の言葉だけを聞いて、凛夏さん自身の言葉を聞かないなんて、そんなのは夫のすべき行動じゃあないはずだ。


 もしかしたら、全部彼女たちが捏造したものかもしれない。

 安易に鵜呑みにするのは避けないと。


「みんなに教えてもらったんだ。凛夏りんかさんが、僕を騙してたんだってね?」


「............え゛?」



 ............その反応......。本当のことなんだね......。

 残念だよ。


「ち、違うよ! 旦那さま! ウチはずっとずっとちかちゃんのことが大好きで......それで......。だから......ウチのこと信じて!」


「うん、そのあたりの話もなんとなくは聞いたよ。ごめんね、昔の僕が凛夏さんのこと蔑ろにしたせいで、歪んじゃったんだよね」


「違う......」


「だからって、記憶を消して、嘘の真実を刷り込んで、それで勝手に入籍するってのは、違くないかな?」


「嘘じゃない!」



 あぁ......そのまっすぐに濁った目。

 僕のお嫁さんは、どんなに汚く汚れてても、やっぱり最高に素敵な女性だ......。


 不安に満ちた心を、強気な態度で誤魔化してるんだよね。

 唇が震えてるの、わかるよ。


 だけどね?



「心配しないで、凛夏さん」


「............え?」


「不安になる必要なんて、ないんだ。僕は凛夏さんのこと、絶対に手放さないからね。ちゃんと、一生一緒に、いるからね」


「ち、ちかちゃん......」



 うるうるって感動してる目......可愛い。

 そんな目されたら......。













 ちょっと曇らせたくなっちゃうじゃんか。


「みんなが言うにはね。昔の僕は『漢らしさ』とかいうものにすごく拘ってたらしいんだ。けど話を聞いてもよくわかんなくてさ」


「......そう、なんだ?」



 あぁ、よくわかってなさそうな顔だ。そういう表情も素敵だよ。


「でもさ、みんなのおかげでわかったんだよ! 『漢らしくあること』の大切さが! 『漢らしく』あるべき姿が!」


「........................ウチ、旦那さまは漢らしくなんてなる必要ないと思う............」



 ベッドの子たちを一瞥してそんなことを言うなんて、何か察したのかな?

 さすがは凛夏さんは賢いなぁ。


「漢らしい人間ってのはさ。何人もの女の子たちをぶっ壊して、快楽を刻み込んで、自分のモノとして大事に大事に囲い続けられる、そんなことができる人間なんだって! 完全に壊しちゃわないように、でもギリギリまで壊し続けることができる人間なんだって!」


「ひっ......」


「あれ、凛夏さん、なんでそんな怯えた表情するの? 不安なのかな。心配しなくても、凛夏さんのことも、お嫁さん第1号として、末永く壊してあげるからね♪」

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