第57話 略奪者への見せつけ(?)
「うぐぅ......。
こ、これは......いったい......なんなんだ......。
ウチは一体なにを見せられてる?
寒さと身体の痛みで目を覚ましたウチの目の前に広がってたのは、絶句せざるを得ない光景だった。
愛する旦那さまが、ウチ以外の女に夢中で腰を打ちつけている風景。
ウチがだいっきらいな女4人が、ベッドでうつ伏せになって白目をむいて気絶してる様。
旦那さまが、そのうちの1人、
白目をむいて泡を吹いてるのに、決して逃しはしないとばかりに続ける旦那さまは、ウチの目に恐怖の対象に映った。
ウチがちかちゃんとスるときは、クスリで朦朧とさせた上で、ウチ主導でシてたから、こんなに自分の欲求に素直な旦那さまは見たことがない。
っていうか、ウチに対する謝罪の言葉を投げかけてきてはいるけど、その言葉に気持ちがのってるようにはとても見えない。
目の前の女の名前を呼びながら、情けない表情を晒してる旦那さま。
佳音唯桜の胎内で達してある程度満足したのかと思ったら、すぐに隣で気を失っていた
三頭衣莉守は一瞬だけ「うげっ」と声を上げたかと思ったらあとは佳音唯桜と同じように再び泡を吹いて失神していた。
ウチは、誰がどう見ても無理やりやらされてるわけではなく旦那さま主導で行われる容赦のない行為を延々と眺め続けた。
意識は覚醒してるんだけど、身体は全然動かない。
痛みはあるけど動かせる感覚はない。
多分、一服盛られてるんだと思う。
そりゃそうだろうね。ウチだってこんな状況なら、敵をただ放置したりはしない。
そのせいでウチは大好きな旦那さまが、ハーレムとかいうくだらないものにうつつを抜かす愚かなメス共に寝取られる様を、涙を流しながら見つめることしかできない。
その光景は、ウチに高校生の頃の辛い記憶を思い出させた。
ウチ以外の女はちかちゃんと楽しくしてるのに、ウチだけは除け者で。
ちかちゃんもみんなともだんだん連絡が取れなくなっていって、気づいたら近況もわからなくなっていったあの頃。
愚かだったウチが『みんなでシェアしよう』なんて馬鹿げたことを提案したせいで引き寄せてしまった、最低の過去。
そんな負の遺産を思い出させるのに十分な光景だった。
ウチが一番見たくないもの。ちかちゃんが......旦那さまがウチ以外の女と話すだけでも嫌だ。
まして、いちゃついたり、交尾するなんて、許せるはずがない。
旦那さまはウチだけのもんだ。それを奪い取るお前らを、ハーレムなんてものを、ウチは絶対に認めない。
絶対に許さない。ウチの旦那さまを誘惑したこと、ウチにヒドいことをしたこと、何もかも許さない。絶対にぶっ転がしてやる。
そんな強い恨みを込めた呪詛も、心のなかで念じるだけで声には出ない。
その後、旦那さまは、身重なはずの鎚玲有と同じく気を失ったままの模久藍朱も同じように使い潰したあと、終わりかと思ったらもう1周が始まった。
それからどれだけの時間が経ったのかわからないけど、多分何時間もの長い間、何周もその最低の光景を見続けさせられた。
ウチも泣きつかれて、いっそのこともう気を失ってしまったほうが楽だって思い始めてた頃、ようやく旦那さまが落ち着いたらしい。
さっきまでは一切興味なさそうでまったく振り向きもしなかったウチの方を向いて、申し訳無さそうな表情を見せてくれた。
あぁ......旦那さま......。その女どもにヒドイことされて、悲しかったよね......。
ウチに申し訳ない気持ちでいっぱいなんだよね......。
大丈夫だよ。その女どもは許さないけど、旦那さまのことは、ちょっとお仕置きだけしたら、許してあげるからね。
「凛夏さん、目を覚ましてたんだね」
「............ぢが、ぢゃん......? どうじだの? 怖い、よ......?」
ウチのそばに歩み寄ってきてくれた旦那さまの表情をみると、調教が終わってからいつもウチに向けてくれてた、あのおどおどとしてて優しい表情じゃない。
さっきまでの恐ろしい光景の余韻のせいか、獣じみた気配を感じてしまうような、獰猛な笑みに見える。
それでも、ウチの身体はまだしびれが取れきれなくて声がかすれちゃうけど、気にしてくれた旦那さまになんとか声を絞り出す。
旦那さまも不安なんだよね。ウチに捨てられないか、怒られないかって。
大丈夫。心配ないよ。
だからほら、ウチを助けて、その女どもをぶっ壊して、それでまた、2人っきりでゆっくり過ごそうよ。ね?
あぁ......旦那さま......にっこり微笑んで......素敵......。大好き。愛してる。
「みんなに教えてもらったんだ。凛夏さんが、僕を騙してたんだってね?」
「............え゛?」
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