昔ながらの銭湯からは何故かヒノキの薫りが漂ってくる。

作品を読んでいるだけで、幼い頃を思い出す。親友の両親が都会の狭間で昔ながらの銭湯をやっていた。裏方からふたりで良く見ていた気がします。薪を使って湯を沸かしていました。何処からかヒノキの薫りが漂ってきて、鼻腔をくすぐってくる。

淡々と綴っているようで、良く銭湯を観察しています。かわいいケロリンの黄色い桶や演歌を唄うおじさんの背中を見たのもこの時です。壁画には富士山が描かれていたけど、似合っていたような気がします。今となっては死語となる番台には、案の定おばさんが座っていた。

エンディングの言葉が素晴らしい。正に銭湯は日本の文化そのもの。いつまでも残していきたい文化です。

ありがとうございました。