続く呪い
日が落ちるのもすっかり早くなった。時計を見ると、まだ5時だというのに空は真っ暗だ。
一郎はバイクの速度を早めた。
彼は市役所の生活支援課に所属している。
ひっきりなしに来るろくでなしどもに、うんざりしていた。
自堕落で、同じ空気を吸うのも嫌になる連中が、生活保護なる名目で、我々の納める税金をたかりに来る。
彼ら蛆虫どもを追い払い、税金を守る事が彼の仕事だった。少なくとも、一郎はそう信じている。
今日も蛆虫を一匹追い払ってやった。
言う事にまとまりが無く、どこか足りてない感じの若い女で、おそらく知的障害か何かあるのだろう。
身なりだけは、綺麗で清潔だった。
風俗ででも働けと追い返してやった。
今日の事を思い巡らしているうちに、以前建設会社のあった更地の前を通りすぎた。
この会社とは、仕事で少し関わりを持った事がある。
一人の職員が現場で行方不明になり、未だ見付かっていない。確か中村といった、腕が良い事で評判の職人だった。
彼が行方不明になってから、他の職員、そして会社に事故や病気などの不幸が相次ぎ、倒産したという。
社長一家は離散し、彼らが現在どうしているのか知るものはいない。
良い人達だったのに、残念な事だ。
一郎は心の中で手を合わせた。
急に目の前がチカチカしだした。
まるで真っ暗な中、雷でも落ちた様だ。
視界の隅に、女の影が見えた。
栗色のショートヘア、青いスカート。
目を細め、唇はつり上がっている。
不気味な笑みを浮かべていた。
視界が元に戻りホッとしたら、目の前に大型トラックの正面が飛び込んできた。
青いスカートの女 めへ @me_he
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