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概要
無名の死標
ある自殺企図をした方の話を匿名で書きました。実際にどうであったかは聞いてないので想像の産物です。
私が小説の賞を取ったときには既に、執筆の楽しさなど分からなくなっていた。しかしそこまでの実力になったという自覚がなけなしの自尊心を養った。その瞬間からだろう。小説だけが私が精一杯の装いをするためのとっておきとなった。しかしどれだけ願っても、賞が、いつまでもどこまでも遠い。終わりにしよう。いつか家族や友人の私を見る目が、小説家から格下げされて足場が崩れていく前に。そして私は、死ぬことに、決めた。
私が小説の賞を取ったときには既に、執筆の楽しさなど分からなくなっていた。しかしそこまでの実力になったという自覚がなけなしの自尊心を養った。その瞬間からだろう。小説だけが私が精一杯の装いをするためのとっておきとなった。しかしどれだけ願っても、賞が、いつまでもどこまでも遠い。終わりにしよう。いつか家族や友人の私を見る目が、小説家から格下げされて足場が崩れていく前に。そして私は、死ぬことに、決めた。
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