知り合いの警視から、手話と指文字が使えるからと、とある殺人事件の容疑者である全聾者の取り調べをすることになった、車椅子ユーザーの青年・蘭。しかし、その容疑者へ手を使って語り掛けるが、彼は全く応えてくれなかった。異なる障碍者の二人の交流を通して、人との関係や心の難しさを描いた現代ドラマ。自分では選べない運命の残酷さを、真正面から捉えています。その行為を全肯定できずとも、彼の心に寄り添うことはできるのではないのでしょうか。「涙」の意味が心を打つラストシーンでした。
言葉がやわらかく読後感も良く、良い意味で淡々と、サクサクと進んでいく優しさのあるお話ですが、取り返しのつかないところまで行ってしまったお兄さんを思うと悲しい。このお兄さんの言葉の通じなさってのは障害にかかっているのではないんだろうな。多分この人、障害がなくても不器用な人だったんじゃないかな……。って思いました。
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