第4話


 僕は、部屋のベットで転がりながらある人のことを考えてた。

 早川蓮華。僕のことを見た目だけで判断せずに受け止めてくれた人。そして。僕は今まで友達が少なかった、というかいなかった。僕を見た目だけで僕を好きになった人や女子にモテるからとかで近づいてくる人はいたけど中身を見て友達になった人は、いなかった……今日、蓮と会うまでは。

 教室の前で入るのを戸惑っていた蓮に僕は話しかけた。僕が蓮が入ろうとしなかったであろう理由に共感すると、蓮は驚いていた。そして、それじゃあ友達になろう、そんな事を言ってくれた。蓮は高校デビューを失敗した時のために友達になってくれた。つまり、見た目で判断した訳では無かった。



 その上色んな人が来て、僕がおろおろしてたらさりげなく助けてくれたり、自己紹介で噛んだら茶化して僕の緊張を紛らわしたりしてくれた。そんなちょっとしたサポートを1日の間ずっと続けてくれたらいつの間にか好きになってた。蓮と喋っている女を殺して蓮を独り占めしたいくらいに。でも、蓮は僕が蓮のことを好きなのは分からないと思う。なんせ蓮はってことに、気づいて無かったから。僕は普通より大きめのバストをサラシで締めたり髪を短髪にしたりしている。そのおかげで僕は他の人から見て男の子だと思われるようになった。でも、それの障害を高校に来てたった1日で見つけてしまった、辛さを知った。中学の時には気づかなかったのに。僕は帰り道にラブホ街があり通学時などの時に通っていると聞いていた時、卑しくも誘おうと思った。でも、男の子の姿だったから誘えなかった。誘えばホモなのかと思われて嫌われてしまうかもと思いその事に恐怖したから。蓮に対して自分から僕が女だとばらしたかった、言いたかった。でも僕には言えない理由があった。




 

 ベットから起きて、壁にかけてあるアタッシュケースをとった。ケースを開けると片刃の剣があった。『光龍 天神』と呼ばれる刀だ。神と契約して力を得た、【天得者】の中でも上位の家、桜葉家に伝わっている刀。そして、僕桜葉 瑞波さくらば みずはが継承したもの。これを継承した者を桜葉家では、男として育てる。だから僕は女の子である事を隠し男の子として生きているのだ、古河 瑞波として。邪神の使いと呼ばれるモンスターと戦う為に。いずれ復活する邪神を殺すために。

 ベットにまた転がり込んで私は考えた。蓮と結ばれる為に必要な事を。必要条件は、僕が女だと分かる事と関係を持つ事の2つ、欲を言えばそこから愛しあって……

 僕はその時の事を想像していた、机の上に置いてあった蓮のバックから盗んだハンカチを持ってきて、少しだけ残っている蓮の匂いを嗅ぎながら体を慰めて。

 「……蓮、蓮……蓮」

 ……僕って重いのかな?

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2人のヒーローが紡ぐ道化の物語 海坂味醂 @umisakasensen

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