「聖剣もいいけど、日本刀ってカッコいいよね!」……人気漫画『バクマン。』の論から引用せずとも、日本刀や武将といった和風文化が今尚人の心を震わせ続けるのには、そこにどうしようもない浪漫《ロマン》があるからでしょう。
そんな若々しいモラトリアムから生じたロマンチズム――「中二病」を取り込みつつ、まったく新しい風味の歴史ファンタジーとして羽を広げたのが、本作なのだと感じました。まだ投稿されているのは冒頭も冒頭ですが、ベタに思われがちなちょいエロラブコメシーンも時代性が加わることにより、別の味わいを醸し出しているのは驚きです。
そしてなにより、別途に補記された膨大な参考文献の数々には、舌を巻かざるを得ません。商業作家にも勝るとも劣らない資料の厚みは、そのまま力強い筆致にも現れています。漫画にしても映える内容でしょうが、魅力的な名刀のごとき文体は、小説ならではの旨味だと思います。
「ひと味違う作品を読みたい!」
そんな方に是非ともオススメしたい注目作です。