黒い傘を借りたことから始まる雨の日の最恐、怪談

 地の文主体で重めな文体ですが、読ませる文章力が強いと、まず感嘆しました。

 女子高生の立花美代は、何気なく教育実習生の先生から、黒い傘を借りてしまい…… 「くらみつはなめをしりませんか」と尋ねてくる怪異に取りつかれてしまいます。
 不思議な双子に助けられるものの……

 何が怖いかって言うと、「くらみつはなめをしりませんか」が追いかけて来るんです。これはもう文章力の勝利だとしか言いようがありません。だんだん怪異の恐怖が迫って来るのです。読めば、きっとわかります。

 もうひとつ。
 ネタバレになり過ぎてしまうので、詳しくは言及できないのですが、怪異とは何か? という定義が良く練られていて、なるほどと思います。