番外編

【番外編第一話】物資列車強襲任務!?

リナ「…ねえ、本当に横取り方式じゃなくてやるの…?強襲任務。向こう側の落ち度とはいえいろいろ便宜はしてくれてるけど、わざわざ元々のクエスト務通りにやらなくてもいいでしょ!?」

ジト目でカナデを睨みながら文句を言うリナ。それも仕方ない事だろう。なにせここは…北部にある山岳の永久凍土雪原エリアの一角にある洞窟。

その洞窟内で装備を整えていたレナ御一行なのだか計画を聞いて響くリナの怒声。

その怒声に呆れ半分で答えるカナデ。

カナデ「かといってやらんかったらうちの荷物、強襲任務突破されて他部隊にうちの荷物持ってかれるのも嫌だろ?それにこれけっこう大人気でなかなか受けようにもかなり順番待ちあるっぽいし事情ありとはいえエース集団と直々にPVP出来るなおかつもう一方の「任務」手伝えるとかレアだぜ?乗らないわけないだろ?」

至極正論な反論に早口で文句を言うリナに反論するカナデ。

その反論にリナは「うっ。」とこわばり顔。

レナ「おい落ち着けカナデ。早口過ぎてオタク出てるぞ。とはいえ早口になるのも気持ちはわかるがな。俺も実際エース集団とガチンコ戦闘で普段取り扱いしている武器の火力と耐久性であの連中にどこまで通用するか知りたいからな。実地試験にはもってこいだ」

早口で解説するカナデにドンとツッコミ入れたのはレナ。

彼はいつのも冷静さは変わらないが、少し悪い顔で目の奥は燃えている様子。

今回は戦闘装備の割にはやたら見たことない武器をいくつか持ち込んでいるのか装備量が多く、見た目だけでいえばまるでタンク装備だ。


リナ「はあ…あんた達ねえ…これレイナ不在で大正解ね…彼女までいたらツッコミで私が過労死待ったなしよこれ」

既にツッコミで頭を抱えるリナ。

いつものカフェメンバーの発言を聞きながらもう一人の人物が答える。

ジュリアーナ「あはは…とはいえ本来こちら(DLEX)の落ち度でカナデさんにこうしてお手数おかけするご迷惑になったのも事実です。うちのボスも言ってましたが今回は特別で現職配達員の私がナビゲーター兼戦闘サポーターとしてお手伝い出来ますし、街区内の配達だけのより久々にフィールドで大暴れ出来る戦闘なので丁度いいですよ。難易度は確実に通常初見プレイよりはいくらかマシだと思いますよ?」

今回のメンバーの発言を聞いて苦笑でカナデの発言をフォローするジュリアーナ。

普段彼女はご存知の通り普段はデイアーナ都市街区内を専門の配達員なのだか、今回は珍しく戦闘配達員の装備。

彼女が今回チームメンバーとして入ってるのかというと、彼女の発言にもあった通り今回はDLEXのヒューマンエラーが元凶で発生した異例のクエストなのだ。紆余曲折あって急遽インしてる面々での急造メンバーでのクエストとなったのだ。

「・・・・それにここら辺の地理に詳しい私とチーム戦に慣れてる私がいるだけマシでしょ?」

そう言いながら洞窟の外から戻ってきたのは白の軍服姿の女の子。

彼女はこのレイク・アトランタの雪原エリアの主《ヌシ》でもあり常に白の軍服でフィールドを駆け回り対大型Mob狩りを単独でこなしたり、時には山岳地帯の犯罪者集団の撃破警備やPVP決闘などでスナイパーや近接武器を複数使い分けて雪原でうろつくプレイヤーをどこからともなく現れては撃破するなど冷静な戦闘能力の高さから別名「雪原の女王(スノーフィールド・クイーン)」と呼ばれている。

彼女も機会こそ少ないが、お店に通う人物の一人。

「たしかにそうだけど、この人数で行けるかしら。」

ちなみにこのクエストは超大人気につき各回枠事に参加可能な部隊が5部隊。

自陣を除く4部隊を出し抜くか撃破、または合同で撃破するかは自由。ここまではトーナメント変わりないが、問題はその荷物を守る専門の警護部隊がエース級でありその撃破が条件というクエストであり、ハイリスク・ハイリターンな超高難易度とも。但しクリアすると物資が超豪華であり、腕試しや賞金目当てでの参加の影響もあり、難易度の割には満員御礼なのだ。もちろん誤積載の当該便もだ。

だがしかし今回は特例で+カナデの隊を入れてもらったのだ。

カナデ「まあ、少人数なのはそうなんだけど多少はマシだよ。」

リナ「全くなんでこうなるんだか・・・・」

リナが頭抱えるほどの大騒動になぜなったのか。話は数時間前に遡る事になる。


_________________________________

前日。

いつものカフェでのんびりと新作のコーヒーの準備をしながらメニュー表を作っていたカナデ。その様子を見守るリナ。

「そういえば頼んでいたコーヒー豆、そろそろ来るはずだっけ。」

流石になにか話題をと思い、新作のコーヒー豆の話題を投げたリナ。

「そういえば最近お店も結構忙しかったし、表に出られなかったもんね。営業時間外で軽く訓練場で撃つぐらいが精一杯だったもんね」

同情という気持ちで相槌を打つリナ。かなでも苦笑顔で

「まあしょうがないよ。リアルもこっちも多忙だと大変だよ」

今日は珍しく暇な日。久々の和やかな時間をのんびりと過ごしていたところ、窓の外に見慣れたトラックが急ブレーキ音が響いて停車。

さすがに店内にまで聞こえるレベルの荒さぷりにカナデも気がついたのか

「ん?何事…?ジュリアーナか?いつもの時間にしては早いような。何か頼んでたっけ?」

「・・・・というかなんかものすごい慌ててない?」

窓の外の光景を見て怪訝な表情になる二人。カナデは席を立ち出迎えようとして席を立った瞬間

「ジュリアーナ、いらっしゃーーー」

「カナデさんすみませんやらかしましたっ!!!」

開口一番いきなりのスライディング土下座で滑り込みながら土下座。

いきなりのTVで見た光景が眼の前で起きて目をぱちくりし驚く二人。数秒の思考停止再起動し、発言を理解したのか慌ててカナデが声を掛ける

「・・・・え、ちょジュリアーナどういうこと!?頭上げて!?」

「ちょっと待って、何事なのか説明してちょうだいよ」


おずおずと頭を上げるジュリアーナ。そして一言。

「システム不具合で荷物の取り違えが発生しましてカナデさんの注文の荷物がクエスト列車に誤積載してしまったようで、既に出発済みという連絡が先ほど入りまして・・・・」


またしても数秒の思考停止。再起動して出た言葉は・・・・


二人「「・・・・えええーーーーーっ!?!?」」

顎が外れそうなほどの絶叫。

思わずジュリアーナをゆさゆさとゆさるカナデ。

「え、ちょ、はい!?システム不具合あったのは既知だったけど、なんでそんな事に!?」

がくがくとジュリアーナをゆするカナデ。

「ぐええ・・・・カナデさん離してください。私も今朝不具合あって配送センターも大混乱で多少の配送ミスが起きてたのは把握していたんですが、大体振り分けミス程度で済んてたんですが、荷物が来ないので端末で調べたらクエスト列車に乗っかってたわけです。カナデさん、今回のは確かコーヒー豆の定期輸送オーダしてませんでした?それが原因みたいです。」

ジュリアーナが配送端末のタブレットを渡してきた。そう言われて端末に表示されてる情報を見て思い出すカナデ。今日は25日。定期でレイク・アトランタのコーヒ農家でうちの常連客のシューターさんの荷物が来る予定だったはず。まさか。

「うん。間違いないね。レイク・アトランタからの定期のコーヒ豆。もしかして都市間鉄道が原因でバグった説・・?」

「そんな事ある?ここオープンワールドゲームだけど都市間鉄道でバグるとか聞いたことないわよ?」

怪訝な表情で指摘するリナだか、それに答えたのはジュリアーナ。

「確かにバグは聞かないんですが、各都市間の荷物の場合は配送タグ情報が特殊なんです。サーバーを跨ぐので配送タグ情報が特殊なんです。なのでシステム障害があったサーバーとなかったサーバーで障害が起きると都市間鉄道便が不通になるのは当たり前なんですが、不具合前に送り出された荷物がその影響に巻き込まれるとタグ情報の不一致が発生するんです」

「ええーと・・・・つまり荷物のタグ情報が合わないことが原因で、システムがクエスト荷物と勘違いして乗っちゃった可能性があると?」

それに相槌を打つ形で答えたのはカナデ。

「だろうな。荷物出すタイミングは人それぞれだけど、便の時間差で起きちゃったからもしかするとそれが原因かも。都市間鉄道便は使う人はかなり少ないからこの手の不具合気がつくのは少ないだろうし。多分運営もDLEXのシステムには関わってるけど、これ気がつくのは遅れちゃったパターンかもな。」

「はいい・・・なので一旦DLEXの本部にこれから来れますか?お店閉めちゃうことになるので申し訳ないですが・・・ボスと運営からお詫びと提案があるそうなので。どうですか?」

「乗った。僕は暇だったし時間もあるから大丈夫。多分装備持って行ったほうがいいよね?お店の方は臨時休業でいいよ。リナは時間大丈夫?」

「えーと・・・ジュリアーナの方の内容によるけど今日は暇。カナデのお手伝いするだけにインしたし」

ほっと一安心のジュリアーナ。

「助かりますっ・・・!多分持っていったほうがいい気がします。クエスト列車の内容が内容なので・・・念の為二人とも装備準備して車に乗れますか?すぐ出られるように車で待ってますので!」

「了解。・・・・リナもアレならウチの武器庫から弾薬とか必要な装備借りていっていいよ。時間ないと思う。」

バタバタとジュリアーナが了解という旨を聞いてからドアにバタバタと向かうのを横目にエプロンを外しながらリナに伝える。

「助かるわ。まさかのフラグ回収になっちゃうと思わなかったわ。」

仕方ないね。とカナデが苦笑顔で答えながら残ったコーヒーを飲んでから食器類を纏めてカナデに渡してから銃を持って廊下へ消えていく。

「忙しくなりそうだ。ないとは思うけど一応あいつらにも声かけて連絡しておくか」

そう言いながらリナが置いた食器類を回収してシンク内に置いて浸してから手早くウィンドウを開いてメッセージを送りながら片手で電気を消して上へ向かう。


上へ上がると一足先に上がってたリナが武器庫で弾薬やら準備していた。

「相変わらず武器溜め込んでるわね。今度整理しなさいよ。」

カナデが上がって来るとジト目で指摘するリナ。それに苦笑顔でウィンドウで着替えながら答えるカナデ。

「レア物やあと自動転送でどんどん溜まるんだよね。今度整理するよ。あと弾薬は持っていいよ」

「ありがと。私が使ってるやつもストック分あって助かったわ。後で弾薬代払うわ。あとカナデの分、出しといたわよ。」

隣にカナデの分を指差すリナ。10本はあるだろうか。

「いいんだよー。弾薬代は使った分じゃなくていいから。緊急用にストックしてあるし。リナも欲しい武器あるんでしょ?そっち優先で。助かるよ」

ウィンドウを呼び出して銃を召喚。P90二丁を置いてリナが用意してくれたマガジンを取って片方ずつマガジンを装填。

「そういうわけには行かないわよ。たしかに欲しいのもあるけど・・・・それなら半分でいい?」

「いいよ。それなら負担少ないし。装備は多めに持っていこう。クエスト列車ならグレや特殊道具いるし。特殊道具は・・・まあ運営さんにお願いしよう」

苦笑顔で言うカナデ

「あんたそういうとこしっかりしてるわね・・・まあ急増だし多少の融通は聞いてみていいかもね。・・・あ。私たちだけで行くつもり?」

パーティ人数で思い出したリナ。

「いや、一応さっきグループでメッセは飛ばした。二人じゃきついし声はかけておいた。ないとは思うけど用意してほしいってことは・・・横取りパータンの可能性もある」

ホッとした顔になるリナ。なにせパーティでの参加が推奨されている。

「良かった。今からだとまあ少人数になりそうねこれ。ま、相談次第かしら。」

ガチャガチャとグレ類のガジェット保管箱を開けてウィンドウに放り込むリナ。

「そうだね。まあ小物類グレでうまく立ち回るしかないかも。」

リナは準備できたのか最後のチェックをする

「私は準備出来たわ。銃も問題ないし用意よし。弾薬や医療も装備もオッケー。防寒具は持ってるから大丈夫。」

リナの報告を聞きながらグレの補充を終えたカナデ。

「了解。こっちもグレ補充したし大丈夫。予備武器は持った?」

一応と確認とばかりに聞くカナデ

「もちろんよ。あんたは?久しぶりに使うんでしょ?」

「うん。メンテはしてあるし下で練習もしてるし行ける。じゃ、いきますか。」

サムズアップしてリナにそう伝えるとコートを羽織って拳を出す

「そうね。頑張りましょ。」

お互いに軽くコツンと拳をぶつけて下へ降りて生きながら雑談。

「しかしカナデの外装備も久々に見たわねー。その装備」

カナデの装備を見て久々という感じのリナ。

「お店営業が多かったからね。あと予定合わなくてソロでフィールドでMob狩りしてたし、この装備でかつパーティーでクエは久々だよ。この装備とコート着ると気合入るよ。」

「やっぱり?コートも私持ったし出られるわよ。」

カナデもリナが出たことを確認しシャッターも降りてて空調や電源も消えていることを確認しコンソールを操作し営業中から「臨時休業」に変更。

操作をしてから外に出て扉をロック。外出時も同様だったりする。

そして助手席側のドアへ向かい、数回ノックする。

______________________


一方、カナデたちと別れて外の配送んへ戻ったジュリアーナ。


「焦ったあ~!!!なんとかなりそうでよかった・・・」

配送バンの運転席に座り込んでほっと長い息を吐いてから荷物情報を見る。

「なんでこうなったんだろ。とりあえずボスに連絡と。」

ウィンドウを操作してボスにつなぐ。数コールのあとに繋がった。

<どうだった?>

「顧客には謝罪と説明してきました。提案も聞くそうなのでこのまま私の配送バンに同乗で向かいます。大丈夫ですよね?ボスの指示ってことで許してください。」

<ウチのお得意様だしここで失いたくないしね。緊急事態だしいいよ。良かったよ分かってくれる人で>

「私の信頼度のおかげですよ。・・・・その代わりおサボりは見逃してくれますか?」

ドヤ顔で答えるジュリアーナとどさくさに紛れでの提案にちょっとの長考な様子。

(アレ?これまずった?)

冷や汗で回答を待つジュリアーナ。

<・・・・次私も連れて行ってくれるなら今までのと次は許す>

「それくらいなら全然OKですむしろ良い方です!!!!」

危ない危ない。次連れて行くときしっかりコーヒ代奢らなきゃ。

<相変わらず能天気だけどそういうとこはしっかりしてるよね。それと運営から報告来たよ。やはりお前の言う通り都市間鉄道便が原因なのが間違いないようだな。まあ詳しくは戻ってから私と運営スタッフと説明するよ>

「というかどうするんですか?あれ枠埋まってましたよね?あの二人だと当該の物資回収がきついと思いますよ。」

<そこは私に考えがある。一応装備準備して来てほしいことは伝えたんだろう?>

「あ、はい。伝えました。しかし運営スタッフと知り合いなのもすごいですよ~いいなあ」

<じゃないとこのサービス成立しないだろう・・・?>

呆れ声で話すボス。

「あはは・・・たしかに。」

そしてそのタイミングでドアのノック音。見ると用意できたようだ。

「あ、カナデさんたちが来たので切ります」

<ああ、気を付けて戻ってくれ。最短ルートナビに送っておいた>

「了解!」

通話を切るやいなやドアを開ける操作をする。

「おまたせしました!乗ってください!」

二人をいつものスマイルで出迎える。

「お邪魔するよ(わね)」

二人が乗り込んでリナが扉を閉めると

「お二人は折りたたみの補助席と助手席でお願いします。すみません。」

申し訳なさそうな顔で伝えると二人とも平気そうな顔で座ってベルトしながら言う

「いいのよ。席があるだけマシだし」

「いいんだよー。配送仕様のバンだからリナと同じく席があるだけ助かるし。それより安全運転で頼む。」

「おまかせください!安全運転かつ最速で行きますよー!!」

「え」

ジュリアーナが元気よく言うとアクセルを踏み込んでスキール音を出しながら発進。

「ちょ、おわあ!???安全運転で頼むよーーーー!?」

カナデの悲鳴がデイアーナ街区の町並みに消えていきならDLEXの本部へ向かう一行であった。


続く






























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【SGBO編】近未来銃ゲーVRMMOFPSでカフェを営むマスターが見るプレイヤーの非日常の日常 miraidaichi @miraidaichi

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