第4話 ゲーマー情報屋との出会いとお店のきっかけ

「レシピほしい!!!!!!!!!!!!」


という爆発音じみたドアの開け方と明るい第一声が店内に響いたのだ。

その声に驚いたのかリナ・レナは目を丸くしてドアの方を見る。

カナデはというと(出たなゲーマー情報屋)と声には出さなかったものの、苦笑顔だった。

噂をすればなんとやら。SGBOでは有名なゲーマー情報屋でもあり、Gentle Breezeの常連客のレイナ・アスタリアこと「レイナ」だ。いつもこんな感じで勢いよく登場するのだ。特に彼女はネタにはものすごい勢いで食いつくことで有名。


突然の登場・・・・いや、突然の襲撃とでも言うべきか。破天荒な登場っぷりに思わず苦笑交じりで突っ込むカナデ。

「おいレイナ。お前さっきのレシピ会話ドア前で盗聴もとい盗み聞きしてただろ。いつからいたんだ。そしてなぜ普通に入ってこなかったんだよ。」

その質問にウッとなりながらもいつもののんびり声で返してくる。

「うっ・・・・あの三人の温かい雰囲気で入りにくかったのもあるの~!!というか話のタイミング的にちょうどレシピの配布?あたりで情報屋の血が騒いで勢いで入っちゃったんだよ~というか、私もレシピもらっていい?」

そこで思い出したのか置いてきぼり食らってたリナ・レナも再起。


「あっそうだレシピ。悪いカナデ、俺に先にメッセでもらっていいか?」

「あ、その話だったわね。」

「はいはい。先に送るよ。あとレイナはしっかり情報屋の仕事してるよな。レイナはいつものIDでいいか?」

カナデはメニューを呼び出してノートのウィンドウとメッセージウィンドウを開く。

レシピノートから内容をコピーしてまずはレナのメッセージチャットに貼り付けて送信してから新規でテキストを立ち上げ、レイナのIDをなぜ聞くのかというと理由がある。レイナは一瞬再考してからすぐ

「あ、そしたら個人用のでいいよー。レシピをブロマガ公開してもいいなら仕事用のチャットでもいいけど?」

レイナは情報屋の通り様々な情報が多方面から様々なメールが来るため、プライベートチャットはID分けているのだ。

その返しにどうするか考えるカナデ。その間にリナがレイナに注意。

「というか扉閉めなさいよ。普通は閉まるのに閉まらないから壊してないわよね?」

あ。と忘れていた様子のレイナ。僕は思考を一時中断。目線をドアへ向けると

案の定扉がガタガタ音を立てていた。

「あ。勢いで扉また壊しちゃった・・・でへ」

レイナのテヘペロ発言にリナがため息付きながら扉の方へ。

「何やってるのよ・・・多分ガタ付いてるだけだしズレたぐらいなら多分レールから外れたぐらいね。カナデー?」

呼ばれてどうするか思考中だったカナデが復帰。

「あ、なにー?」

「レイナが扉を壊したというより・・・多分ドア脱輪しちゃったから扉の電源一旦落とすわね?」

「またかよ」と呆れるレナ。もはや慣れた光景などだろう。

「はいよー。」

カナデの返事を聞いてレイナには席についててとリナに言い、店のドアの電源を操作するためにセキュリティコンソールを操作するリナ。

彼女はお店のお手伝いお願いしたりもある観点で簡単な店員権限を渡している。だから扉を直すのに電源を落とすということを聞いてきたのだ。

そしてカナデは呆れながらも注意しつつ条件を出す。

「レイナは頼むから扉は優しく扱ってくれ。レシピはウチの店とセットで取り上げてほしい。それと等価交換で貸切で開けるからそれでどうだ?」

扉の修理をリナに任せてレイナはリナの隣の席へ座る。彼女はここが指定席でもある。

「ごめんって。その条件なら喜んでやるわ。クリスマスクエや冬休みでインするユーザー増えるもんねー。そのイベに間に合うようにカフェの紹介やレシピ紹介も作るわ。私の憩いの場所も人気になりそうね。カナデのメニューどれも美味しいから独占したくはなるけどねえ・・・あ、注文だけどいつものカフェラテとレナの軽食メニュー私にもお願い~美味しそうで食べたくなっちゃった。」

そして銃掛けに愛銃を置きつつカナデの注意に謝りながらもカナデの条件をOK。

レナのベーコンホットサンドのいい匂いに釣られたのかそのまま注文。

「サンキュー助かるよ。いつものカフェラテは用意するけど、レナのやつはベーコンホットサンドだけど大丈夫か?食べるならカフェラテとのモーニングセットにするけど」

「じゃあそれでお願いっ!量は普通ので大丈夫だから。」

自由奔放な部分もあり、こんな感じで軽いノリで「いい匂いで食べたくなったから食べる~」ということもある。そして扉を直していたリナに声をかける。

「了解。通常のはメニュー表通りのやつだからすぐ用意しちゃうね。リナー扉戻せた?」

リナの方を見るとはめ終えたのか自分の席へと戻るリナの姿が。

「うん。電源切って扉を一回外してレールにはめ直せたわ。一応手動で開け閉めしたら動いたから。念の為再起動も入れたらちゃんと動いたし。もうこの作業慣れちゃった。」

ふう、と椅子に座って一息つくリナ。

「ありがとね。汚れたでしょ。おしぼり使って。」

さっと用意しておいたおしぼりをリナへ渡すカナデ。

「助かるわ。ちょっと汚れたし。あとレイナはこの時期多忙じゃないの?リアルでも忙しいとかチャットでも嘆いてる割にはここに入り浸り多いわよね。静かだから作業も捗るのもわかるけどね」

そこにレナも口を挟んだ。

「…それくらいは許してやれ。彼女もこの時期はいろいろひっぱりだこだからな。」

そう。リナやレナの言う通り実は彼女は単なる常連客としてだけでなく

実はGentle Breeze開業をある協定条件でサポートしてくれた一人でもある。

彼女は先程も触れたのだがゲーマー情報屋としての活動だけでなく攻略情報のブロマガ発信や動画配信者(もちろんゲーマーの姿で)Vtuberにも負けないほどの活動量で企業からのゲーム公式番組出演の出演依頼などが来たりと超有名人なのだ。

なぜ彼女はそんな事になったのか。せっかくなので用意をしながら話をちょうどいから振るかと考え、話題を続ける。

「そうだね。ここは憩いの場所でもあるのは事実だし。というか創業時の協定もあるからこそ今の彼女があるからね。リナやレナ、レイナとも出会いも懐かしいよ。」

カナデの話にリナも思い出したようで更に続ける。

「確かに懐かしいわね。SGBOでカフェをやりたい!って言い出した時は驚いたわよ私。」

その発言にレナが食いつく。

「おいそれは俺初耳だぞ。そういえばなぜここをオープンさせたのか経緯聞いたことないな。」

その発言にガタッとなったのはレイナ。話の話題なのにお前がなぜ食いついくのか。

「そういえばざっくりとは聞いていたけど、リナがカナデを紹介してくれたときに知ったんだよね私。なんでそうなったのかせっかくだから詳しく聞かせてもらってもいいかな?」

・・・・まさかの発言。

これには思わずずっこけるカナデ。まだカウンターの下にある冷蔵庫から仕込を済ませてあったホットサンドのカット済の真空ジップパック取り出す前で良かったと思いながら取り出し調理台置く。通常のは実はいくつか前日のうちに用意している。

「…初耳だぞレイナ。というかリナ、経緯ちゃんと説明したんじゃないのかよ」

レイナを紹介した張本人はこう答えた。

「カナデがSGBOでカフェやりたくていい場所と開業までの手伝ってほしいってざっくり説明したぐらいなんだけどさ」

・・・・あまりにもざっくりしていた。僕の予想以上に。真面目な彼女らしくないまである。「いやまあざっくりいうとなら合ってるけど、元から説明してないじゃんそれ。よくそれで引き受けてくれたな・・・」

呆れながら仕込み済みの真空ジップパックのウィンドウを開き問題ないことを確認してから卵をボウルに割り落として混ぜる。スプラングエッグだけはできたてに限る。

カナデの呆れた発言に答えたのはレイナ。

「ありゃ、知らなかったの?当時の私を説明するとね~あの時は本当に行く先行く先で追いかけられたりお仕事の依頼とか結果を渡したりで忙殺されてたの。分かりやすく言うなら殺気立ってた感じ。だからリナの話を聞いた時は「これは私の憩いの場を作れるチャンスでしかない!!ゲームの神様がくれたご褒美!!」

という感じで仕方無かったからね~というか。早くカナデの理由聞きたいんだけど。」

回想も交えながら説明。「なるほどそういうわけか」と納得。

「流石に長くなりそうだから提供してからにするよ。というかそんな裏事情あったのか。今はお休みデーもあるから驚いたよ。」

混ぜ終えるとフライパンにオリーブオイルを入れてIHの電源を入れて加熱して適温になるまで待つ。

レイナの理由に納得したのはリナ。

「確か当時ブロマガには「仕事のメールは返信遅れます」っつ書いてあったのに、あのメールの時だけ爆速で返信早かったのはそういうことだったのね。納得できたわ」

「レイナはゲーマー情報屋としては有名なのは俺も存じてたが、まさか追いかけ回されるほど多忙だとはな。なおさら誰も知らない場所でゆったり休憩できる秘密の憩いの場所は欲しくなるのは同情するな。」

レイナの意見に理解と同情するレナ。と、同時にピピッという電子音がなる。

適温に鳴った音だ。その音に気がついてカナデは溶いだ卵を投入。

ジューという音を立てながら卵が入ったフライパンを何回か回しながら薄く広げていく。程度薄く焼き生地が半熟になってきたら混ぜてトマトを投入。トマトを入れると卵とトマトのいい匂いが広がる。その匂いにレイナがじゅるりとよだれを多少垂らしながら

「この匂いこの匂い~さっき外まで漂ってたよ」

そこにすかさず察したのか突っ込むリナ。

「もしかしてレイナ、匂いにつられて来たんでしょ。今日は休みとはいえ」

「・・・・バレた?」

「もう分かるわよ食い意地もあるんだから()」

ちなみにこれは僕とリナ・レイナしか知らないことなのだか、リナとレイナは仲がよくリアルでもチャットをするくらい。彼女の都市伝説が多い中、リアルのレイナを知る唯一の友人でもあり信頼できる仲間存在でもある。

それもありリナ経由ではあるがイベントの招待券をいただいたこともある。ちなみに今この場にいるレナはまさかリアルのレイナを知る存在が目の前にいることは知らないのだ。


そんなリナとレイナの会話を聞きながら、パンをホットサンドメーカーにセットしてそこにレタスを載せてからプライパンのトマトスプラングエッグを載せてからスモークベーコンを並べる。普段は4枚。

その上にパンを載せたらそのままホットサンドメーカーの上蓋を閉めて3分。ペッパーはしない。

「あとはカフェラテだけだな。あとは提供すぐ位できるから。その前に僕とリナの関係性についても説明しておいたほうがいいかな。リナは一部話が被る部分あるかもしれないけどな」

軽く一息ついてからレイナに提供できる旨とリナに話を振る。リナは察したのか頷く。

「そうね。そのほうがSGBOで知り合ったレナには説明しやすいかも。レイナも協力してよね。レイナも絡んでるんだから情報量云々は今回は抜きね?」

リナに釘さされたのかすかさず切り返すレイナ

「すでに情報料はもらってるようなもんだし、それにこの三人になら私の事情も知ってるし、裏事情なら話すよ~」

にししと小悪魔っぽく笑うレイナ。それに驚くレナ。

「レイナはそこいいのかよ。というか説明がいるくらいか・・・・リナとカナデに関しては。二人ともSGBOだと相棒関係なのは察してるけどな」

「はは。まあ確かに。レナにはやっぱりそう見えてたか」

苦笑顔でレイナ用のコーヒーマグを取り出すカナデ。

レイナはけっこう作業がてら相当飲むので最近オーダを受けて専用のコーヒマグカップができたほど。

それをマシンにセットしてレバー引いて蒸気とお湯で一度温めてから入っていたお湯を捨ててからコーヒマシンにセットしてカフェラテでスタート。その間にタイマーが鳴ったのでひっくり返しておく。そしてレナには僕とリナの関係性のお話は実は初出しだけどね。

「まあ、実は相棒としてだけでなく実はリナと僕はここに来る前からいくつかのゲームを経験しているゲーマー仲間でもあるけど、まあ腐れ縁っていわれていたりはするんだが」

「こら。腐れ縁って言わないの。腐れ縁ってほどじゃないけど、リアルだと私とカナデは実は幼馴染なのよ。」

カナデの発言に思わず途中で突っ込むリナ。呆れながらも訂正とリアルの関係を話すリナ。その話に思わずびっくりしたのかコーヒーを吹き出すレナ。

「わーおマジか。それは驚きだよ。まあそうじゃあねえとあんなに仲良くできねえし息ぴったりな戦闘もできないわな。というかここ以前からの付き合いもあるのか」

なるほどな、という感じで納得のレナ。レイナはと言うとフリーズから再起動するやリナに食いついた。

「・・・ってなにそれ私初耳なんだけど!?なんで私に教えてくれなかったのよ!?」

カナデはというと「ま、そういうこった」と言い、IHのタイマーと火を止めてホットサンドメーカーの上蓋を開け、お皿に載せてからカフェラテとベーコンホットサンドをレイナに提供するカナデ。そしてリナはジト目でレイナのほっぺたをつねりながら釘を刺す。

「あんたに教えたら絶対ネタにするでしょ。特に私だと尚更だからやめてよね。ほら、食べないの?」

「痛い痛い!友人のプライベートはネタにはしないわよ!!・・・食べる」

その光景に笑うリナ。

「はは。相変わらずリナとレイナは本当に仲いいよな。とはいえそのおかげでCBT経験者でもある大先輩のレイナには本当にいろいろ助けられたな。」

「まあ、カナデよりはだけどね。」

「落ち着いたようだし、カナデも座って。ここが出来るときの話来る前から聞かせてくれ。CBT経験者の俺からすると冒険が多い人が多いんだか、なぜお前さんは職業の方についたのか気になるんだ。前線にも出るとはいえどね」

レナに促されてカウンターの内側においてある椅子に座る。

「まあ、長くはなるけどね。まあこのゲームの発売情報が出たときかな。あれは。CBTは外れたけどね」

「そうそう。リリース情報出てすぐだったもんね。あの時はまだVRMMOゲーやってたものね。」

「そそ。あん時はフライトシューティングゲームしてたし」

某ゲームを引っ張り出すカナデ。あれもぶっちゃけ面白かったが。

「リリース情報時点から知ってたんだな。というかいろんなゲーム経験してるのか、その様子だと。」

「まあね。このゲーム含めると50本目かな?でレイナのほうがすごいはず。」

苦笑顔のカナデ。リナもちょっとの間を置いて

「私はコアなゲームもやってたからそれ含めるとカナデより少し多いかな。でもカナデの言う通り、レイナのほうがすごそうだけど」

苦笑顔のカナデ・リナ。。レイナはどや顔で答えつつ

「そりゃそうだよ~年300本以上やってますから~」

その答えに脱帽とばかりにカナデが更に続ける

「よくそんなにやっててあの情報量サラサラこなせるあたり本当に「歩く都市伝説」だよなあ。すごいよ・・・」

「そこまででも☆」

と、キランというSEが出そうな笑顔を見せるレイナ。

「んじゃ、脱線したから話し戻して、回想と行きますか」

カナデの発言で物語は、開業前へと時間は戻ります。


【あとがき】

4話更新です。今回は割と短いですが情報屋のレイナが登場です。

太陽のような明るい破天荒なキャラの彼女ですが意外な一面もあったり「歩く都市伝説」のレイナは実はリナと実は仲良くリアルの彼女を知る唯一無二の存在という裏設定も入れました(笑)

さて、次回は時空が一気にゆがみましてSGBOがリリースされる直前のお話へ移ります。カナデがなぜこのお店を開こうかとなったきっかけや誕生までの物語を描きます。メンバーの過去編のキャラクターの印象にもぜひ注目していただければと!

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【SGBO編】近未来銃ゲーVRMMOFPSでカフェを営むマスターが見るプレイヤーの非日常の日常 miraidaichi @miraidaichi

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