8.末筆

 自己に絶望した君へ。


 どうか自らを傷つけないでください。

 生きていくだけで傷ついてしまう人生だからこそ、人一倍その身を大切にしてあげてください。


 生まれたことを嫌ってもいい。全てを憎んでもいい。足を止めてもいい。逃げだしてもいい。

 それでもどうか、最後には自分の心に立ち返って、自らを諦めないでください。曲がりくねった道でも自嘲しないでください。


 そして可能なら、自分ではない他者を頼ってください。広くなくていい、少しだけでも門を開けてください。

 口で話してもいい、身振りで表してもいい、文字を紡いでもいい。

 たとえ細く儚い糸だとしても、繋ぐことにこそ価値があるのだと信じてください。


 自己に絶望した君へ。自己に絶望した私へ。


 その道の先に、幸多からんことを。

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自己に絶望していた私より。 鈴谷凌 @RyoSuzutani2

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