第22話 フルクのお礼
まえがき また知識系出そうか迷ってます
傷だらけの身体の対処を考えていたら、いつの間にか夜に突入しようとしていた。どうしよう……アーデルハイト様なら、これならどうだってやってくれそうだけど……
「アンナー、なんか良い案考えてよー」
「良い知らせならあります。今日から一緒に寝るという訳ではないです。ベッドの準備などあるので」
早く教えてよ……一生懸命考えていたのに、あの時間は何だったの! そういえば、私の悩んでいる姿を見てアンナがニヤニヤしてた気がする。悪魔に見えてきた……
「とにかく、疲れた頭にはご飯です。食べてからゆっくり考えましょう、ミーア様」
今日はコーンスープとパンだった。お腹が満たされたからか、眉間によっていたシワも薄れた気がする。うーむ、今になってホーエン家の連中が憎い。顔にアザとかないのは奇跡的に良かったけど。いや良くないわ。
「ミーア君はいるか?」
またもや訪問客が来たらしい。こんな紳士風な言葉使いは聞いたことはないけど、いったい誰なんだろう? アーデルハイト様よりも低い声……フルクお義父さんかしら。
「あっはい! ミーアです」
残念ながらアンナは外出中だ。鍵は特に掛かっていないけど、扉を開けに行く。扉の先には予想通り、銀髪の長身の男性。あのとき、アーデルハイト様を捉えていた目は私に向かっている。
「息子のことで話がある。すこし時間取らせても大丈夫か?」
「えっと……どうぞ」
部屋に入ったフルク様に椅子を差し出し、私はその対面の椅子に座る。間にある机は、何も物がなくて助かった。こういうところで人間性?が試されるしね!
なぜか対面にいるフルク様は、目が赤くなっていた。さらに妙に涙ぐんでている。私は何をされてしまうんだろう……
「うぅっミーア君、私の息子を、あの部屋から出してくれて……感謝するよ……」
「は、はぁ……」
言葉の勢いそのままに、私を手を振り回しながら握ってきた。体格差がかなりあるから痛い。初めて会ったときは怖い感じだったのに、印象がひっくり返ってしまった。
「アイツは……領主の重圧に蝕まれている。親から見ていても辛いかった。その象徴が『あの絵』だ。とりあえず今は……感謝だ」
振り回していた手を急に止め、せわしなく脚を動かして帰っていった。父も母も子も似たもの同士のようね……いつもと同じ部屋のはずなのに、寂しさが目立ってしまう。
「アーデルハイト様、愛されているようですね」
忍び込み力高いし、アンナは暗殺者向いていそうね。さっきまで本当にいなかったし!
「……愛されていない人が、愛されている人を助けるなんてね。変な話ね」
「……」
こっち見ないでよ、アンナ。
強制結婚されたけど頑張ります。~優しい旦那様も付いてきたので、強制結婚した方が良かった件~ アルガ @aruga_2
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