第21話 コショウの効いたお肉
まえがき アーデルハイトくんの過去も書きたい。
「領主様アーデルハイト、承知してくれるのかしらね?」
「あの部屋を掃除してても気分が下がるのよね~。ジューナ様もフルク様が、あの絵画を外せと言っても辞めないんですし強敵ですね~」
それはもう呪いの絵じゃないの! 余計に譲歩する気が失くなっちゃうわ……しかし、本当に謎ねえ。両親から飾れって言われているなら、それなりに耐えたいけど自分からだなんて。
そんなアーデルハイト様について談笑していたら、私の部屋に到着した。部屋の中に居たアンナは昼食の準備に取り掛かっている。うんうん、流石はアンナ!
「なんと今日はフルク様より、コショウがお肉に使われているようです。それと、ありがとうと申し訳ないを伝言として預かっております」
フルク様……アーデルハイト様のお父さんね。ジューナ様にも感謝されるし、どういうことなんだろう。それはそれとして、このお肉匂いがたまらない! アンナなんて目を見開いているし、全身がカタカタと震えている。捨てられた子犬に似てて少し面白いわね。
「ひと欠片あげ──
る、という言葉は言っていないのに速攻食べたアンナは満足そうに笑みを浮かべている。まあ、あげるつもりだったし良いけど。
「あーあー言いつけますよ、フルク様に」
エメに見られてしまった。すんごく恨めしそうにアンナを見ている……しかも、私を見ながら咳払い。それって見逃してやるから食べさせてってことじゃん! アーデルハイト様の件もあるし良いけどさ!
あのあと色んな人が来て、なんだかんだ私はひと欠片分しか食べられなかったのは忘れよう。でも、エメが誤魔化して二回目食べようとしたのは忘れないから。
なんて騒動が静まったときを見計らってか、アーデルハイト様がこちらを訪ねてきた。
「……あー、この部屋を夫婦用にするってことで大丈夫か?」
なんとまぁ、断られそうな雰囲気だったのに了承されてしまった。彼の部屋とは違い、ちゃんと椅子は二脚用意している。ちゃんと学んでね、アーデルハイト様!
「まあベッドの用意もあるし、今日からって訳でもないが……よろしく頼む」
「うぇっす!」
この部屋では先輩であるせいか、声高らかに返事をしちゃった。よくよく考えたら、あっちの方が先輩というか先輩を超えし存在だけどね。
「……ぁぁ」
そう疲れ切った表情で返事をするアーデルハイト様。まあまあ、泥舟に乗ったつもりで安心しなさい! ずしりと重たい足取りのアーデルハイト様は、そのまま帰っていく。言っておくけど、あの領主の部屋で、立たされてた私のほうが疲れているから!
「ねえアンナ。アーデルハイト様もこういう、椅子を出すみたいな気遣いを覚えて欲しいわね」
「そうですね……それより、アーデルハイト様に身体を見られてしまうのは大丈夫なんですか? わたし達相手にもぎこちないのに……」
盲点でした。というより盲目。いろいろ初めてで忘れてた……!
「アンナ! なんか案出し──
「ほぼほぼ不可能でしょう」
あとがき 理論的に、自分の足で頑張るアンナちゃんには難しい問題?
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