第30話「姪っ子の尻を眺めることにした」(エピローグ)

「かくかくしかじか」

「いや、かくかくしかじか───じゃわかんないから」


 わかれや!!

 演出やろが!!


「あーもー! とにかく、これはモンスターの足!! 人間(?)じゃないから安心しろ!」

「いや、一個も安心できる要素なくない? なんでモンスターの足が叔父さんチに転がってるの?」


 おっふ……正論だ。


 ポンタが咥えた足を取りあげて説明をし───『ガルルルル』……取り上げて説明をしようと───『ガルルルゥ!!』……。


  『ガルルゥゥウ♪』


「…………って、放せよ、ポンタぁぁあ!」

『わんわんおッ♪』


 なにが『わんわんおッ♪』じゃ!!

 目がさぁ、「投げて投げて!」っていってんの丸わかりやっちゅうねん!!


 ……つーかね、庭で「生の足」を投げる飼い主がどこにおんねーーーーん!


『わふわふッ♪』

「あーもう、うっせぇ! ほらぁ!」


 投げると分かった途端に放しやがるし──────って、生の足投げてる飼い主・・・・・・・・・・おるがな!!


 あああああ!

 今ッ、ここにッ、「庭で生足投げる飼い主」が爆誕してもうたがなぁぁああ!


 もぉぉぉおおおおおおおおおお!!


「──────……で?」

「はい。ポンタ君がですね……なんか、夜な夜な狩ってくるんですよ」


何をWHAT?」

「モンスターを」


どこでWHARE?」

「犬小屋で」


なんでWHY?」

「遊び感覚で?」


いつWHEN?」

「夜な夜な──────……」


 ぴっぴっぷー。


「え~っと、黄色い救急車、黄色い救急車っと───」

「スタァッァァアアプ!! STOP恵美さぁん!!」


 毎度のことだけど、ワンクッション!!

 ワンクッション置いて恵美さぁぁあん!!


「YOUはなんでノータイムなの?! 叔父さん、ついていけないよ!?」

「そりゃ、叔父さんだからねー、あ、これかー」


 だーかーらー!


 黄色い救急車呼ぶな!!

 あと、あれは都市伝説だからぁぁあ!!


 &、叔父さんとオジサン中年を混同すなっ!!

 おれは叔父さんだけど、まだオジサンじゃねー!!


 これでも、まだまだ若いつもり──────……!


「いやいや、アラサーは中年だよぉ」

「シャラップ! JK!! ちょ~っと、若いからっていい気になってるとす~ぐにオバさんになる───」


 ガラッ


『誰がオバサンですかーーー! 引っ越しぃぃい♪』


 やかましいわ!!

 どんだけ、地獄耳やねん、近所のオバちゃんはぁ!


 あと、アンタ関係ないやろ!!


「あーもぅ! とにかく、本当なんだって───ほら、この前、自衛隊とか警察が家にいっぱい来たじゃん?」

「あーあったねー。やっぱり猟奇殺人でもしてた───」


 してねぇわ!!

 するわけあるか!!


 YOUはどんだけ、身内を殺人鬼にしたいのよ?!

 しかも、警察だけじゃなくて自衛隊が来るレベルの殺人鬼って、もはや! 怪獣クラスだっつーーーーの!


「いやぁ、そいうこともあるのかと……」

「ねぇわ!! ねぇっつーーーーの!」


 自衛隊がそんなホイホイ出動するわけねーだろうが!

 俺もこの前、人生初だよ、家に自衛隊に踏み込まれたのって!……まぁ、警察に踏み込まれたのも初めてだけどさぁ、ごにょごにょ。


「じゃーどういうこと? どうやってモンスターがぁ?」


 うわ……めっちゃ疑ってる。目が全然信じてねー。

 いっそ、じつは殺人鬼でしたーって言った方がすんなり信じそうだ……。


「何度でも言うけど、ポンタがぁ!!」

「ポンタがぁ~?」


 なでりこなでりこ


『わふっ?』 


 恵美の膝の上で大人しく撫でられているポンタ。

 うぉ、すげぇ……恵美のオパイがポンタの上にのって形がつぶれて───……。


「警察呼ぶよ?」

「さーせん……って、話が飛ぶから!!」


「姪っ子の胸ジロジロみるからでしょ?」


 うるせぇよ!!

 男は見ちゃうんだよ!!! 姪っ子だろうが何だろうが、巨乳は宇宙なんだよ!!!


「で───」

「あ、はい。えーっと……、ほら! こ、この前、お前も食ったろ? オーク肉」


 恵美さんが都合50~100kgは持ち帰ったあれだよあれ!!


「あ、あー……そういえば、あったね。まだあるの? 食べたい」

 食べたい。じゃねーわ!!


 ったく……。

「いや、オークは全部食べた」

「………………オーク?」


 じーざす。

 また失言したぜ……。


「あー……。わかったよ」

 ……こりゃ、見せた方が早そうだな。


「ん? もしかしてオーク以外にもあるの、お肉」


 『お肉』じゃねーよ!

 まぁ、肉には違いないけど……。


「そうだよ。オークはないけど───」


 ごぱっ


 冷蔵庫を開けるとそこには、

「コイツが一杯ある」

「うわ、ぐっろー!! しかも、黒ッ! ナニ、この肉ぅ?!」


 ドラゴンでーす。


「食ってみるか?」

「食う」


 早いな、おい!!

 人の事を猟奇殺人鬼扱いしておいて食うのぉぉお?!




 じゅーーー




 上手に焼いてみましたー。


「うわっ、かったぁーーーぃ! なにこれ?」

「だから、ドラゴン肉だって、あとは、コカトリスとかもあるけど?」


 ガルムとキメラは食うとこなさそうだし、コンポスターに突っ込んだ。

 まずそうだし、なんか倫理的にちょっと……。

 だって、でっかい犬とかライオンだもん───。


「コカ……なにいっての??───うッわ、これまッずいねー」


 ぺっぺっ、と人んチの皿に半端にかぶりついたドラゴン肉を吐き出す恵美。


「ちょ! おま!……き、きちゃないなー。吐くにしてももうちょっと───」

 いや、言うまい───。

「ま、まぁ、分かっただろ? 肉が証拠だ、証拠ー」

「いやいや、料理がヘタなだけでしょ、叔父さんがー」


 むぅ……。


 むかつく!!!

 こいつ、むかつくぅ!!


 このほかにも、ショウガとニンニクを入れて臭みを消しつつじっくり煮込んだドラゴン肉もあるんだけど、恵美にはやらん!!

 電気い圧力釜でお酒と香草で柔らかくしたドラゴン肉もあるけど、こいつには絶対やらねー!


「なら、これならどうだー!」


 ガラガラガラ!


 窓を全開、庭をみせてくれるわっ!!

「ぶわ! くっさ!! 庭くっさぁぁあ!」

 恵美が思わず目に涙を浮かべるほど。

 絶賛腐敗中のそれ! 上からビニールシート被せて、遠目には何があるかわからないように偽装はしたけど、家の中からならよく見えるだろう。


 そう──────『デカすぎて埋まり切らなかったドラゴンの頭ぁ~♪』某アニメ風


「うわ、くっさぁっぁあああ!」


 おろろろろろ


「はっはっは! ドラゴン、討ち取ったり~♪───ポンタがね」

「討ち取ったりー! じゃないわよ、おぇぇっぇええ」


 はっはっは。

 臭いのには慣れたもん勝ちさねー。


 しばらく恵美さんは、庭にむかってげーげーやってましたとさー。



「……やってましたとさー……じゃないわよ! ちょっとこれぇっぇええ!」


 ハンカチで口元をおさえつつ、鼻にティッシュを突っ込んだ恵美が高橋に胸倉をつかんで庭に向かう窓に押し付けた、

 おっふ、恵美さん……オパイの圧力が───。


「そんなええから、あれを説明しなさいよーーーーーーー!」

 ──ドラゴンやないかーーーーーーーーーーーーーい!!


 いや、だから……。


「だから、そういってんじゃん……。ちなみにあれとってきたのもポンタだぞ」

「うっそぉぉお! うわ、また臭くなってきたッ」


 ぴしゃ!


 慌てて窓を閉める恵美。

 家の中にも匂いが充満してしまったが、開けっ放しよりましだ。


「おえぇぇ……。これ、保健所よんだほうが……」

「呼べると思うか?」


 …………恵美さん、ジト目でちょっと悩んでる。


「無理かなー。そもそも、なんて言って読んでいいのか私にも見当つかないわ」

「だよなー」


 まぁ、適当に腐敗物が───みたいに呼んでもいいのかもしれないけど、保健所だってこんなもんの処理したことないだろう。

 下手すりゃ、また警察とか自衛隊のお世話になりかねん……。


「どーりで前から家が臭いと思ったら───……じゃーあのオーク肉も?」

「そうだって言ってるんだろ」


 ……じー。


「そんな目で見られてもなー……実物、見るか?」

「え?」



 ドラゴンの首を見せてちょ~~っと納得した恵美さん。

 ここはいっそのこと、犬小屋ダンジョンに実物をみせたほうがいいだろう。


 元々、ダンジョン管理局には通報済みだしね。

 隠しているのはモンスター素材であって、ダンジョンそのものではない。


 というわけで───……。


「これが、そうだ」

「これがそうなの?!」


 うん。

 初見ではそう思うよね……俺も思ったし───。


 悪臭漂うにはの隅にそれはあった。



 無敵の強度を誇る──


 入口部:高さ45cm、幅35cm


 材質:木製。築10年。

 ───通称:ポンタの家犬小屋


「犬小屋だね」

「犬小屋だ」


『わんわんお♪』


 ポンタ君、超誇らしげに尻尾ブンブン!

 恵美に、見てみて~と犬小屋を自慢しているようだ。


「ポンタがここに?」

「おう。ちゃんとダンジョン管理局には届け出出しているぞ」


 ほら。


「あ、ほんとだ。ちゃんと看板と注意書きあるね」



  『西東京ダンジョン管理局

   当ダンジョンに許可なく立ち入りした者は、刑法により処罰されることが──』



「立ち入り……?」

「そ、そんな目で見るなよ───入れるわけないだろ!」


 だって、入り口めっちゃ狭いからね!!


「でも、ドラゴン───」

「それは俺もしらねーの! いつの間にかポンタが引きずり出してくるの!」


 そういえば、その決定的瞬間、みたことないな……。

 高橋が見ているときはポンタも中に入ろうとしないし───。ポンタ的にはご主人がいないときの暇つぶし的な感じなのかもしれない。

 現に、今も犬小屋の外で楽しそうにしている。

 入る素振りもない───。



「んー……確かにダンジョンっぽいね」

 ごんごん、と犬小屋の強度を確かめる恵美。

 サポーターとして、ダンジョンに籠っているだけあって、恵美の目から見てもダンジョンだと分かるらしい。


「だけど、うわッ……狭っ!」

「ちょ!」


 何を思ったか、急に上半身を犬小屋に突っ込む恵美さん!

 ダメでしょ!? 許可なく立ち入りしちゃー……って、恵美さんパンツ丸みえぇぇ! はーありがたや、ありがたや。


 とりあえずじっくり拝んでおく高橋であったが、さすがに気づいたのか恵美さんが片手でバサッ! とスカートを隠してしまう。

 安心しろ、じっくり拝んで心のメモリーにダウンロードぉ&スマホでピロリん♪──────おー……白いねー。可愛いねぇーごっきぃ!



「いっだ!!」



「見るなっつーの!!」

「見てねぇよ……いや、見たけど! お前が急にぃ!」

「見てるじゃねーか、もう、エッチなんだからぁ!」


 プリプリ怒りながら犬小屋から顔を出す恵美。

 「ぷはぁ!」とちょっと汗ばんでいる。どうやら、内部も相当狭い様だ。


「まったく……。とりあえず、見た感じずっとこの狭さだね───入口より仲は多少ましだけど、この通路みたいなのが延々と奥まで続いてるっぽいよ? ほんと、ドラゴンとかオークがここから??」

「いや、だから……」


 俺は知らん、と高橋はいう。

 しかし、恵美がいくら疑問に思っても、庭のドラゴンやら、オーク肉の存在は事実なのだから納得してもらうしかない。


『わふわふっ♪』


「むぅ……。ポンタにしかわからない、隠れたダンジョンかー……これはちょっと信じがたいけど、実際あるもんねー」

 チラリと視線を向けると半腐れのドラゴンの頭。

「だろ?……で、まぁ、なんどかダンジョン管理局にも連絡取ろうとしたんだけどさ……その時にはポンタがモンスターを引っ張り出しちゃったあとなんだよ」

「あー……どーりで」


 民間の冒険者としてダンジョンに潜った経験のある恵美にはすぐ理解できた話らしい。


「───で、モンスターの処分に困って埋めたり、食べたりしてたってことだね」

「そ、そうそう! そうだよ! わかってくれるかぁ!」


 恵美さんの理解の速さにちょっと感動しちゃう高橋。

 しかし、次に瞬間凍り付く。


「───これは立派な違法だねー……さーて、警察警察」

「ちょぉぉおおおおお!! なんで? なんでなん? 今の流れでそうなるぅ?!」


 この子、こわい!

 身内を平然とノーウェイトで通報しちゃうこの子が怖い!!


「いやー……ほら、善良な一市民としては、叔父さんが悪の道に走るのを全力で阻止したいところでありましてぇ」

「まてまてまてまて! 『ありましえてぇ』じゃねーわ!! そ、それなら、お前も同罪じゃん!! オーク肉食べたり売ったりしただろ!! それに、さっきはダンジョンに入ろうとしたし、」


「うわ! かっこわるぅ。姪っ子を売る気ぃ?!」

「お前だって、俺を売ろうとしてるじゃねーかぁぁぁぁ!」


 この野郎!

 死なばもろともじゃー!


「へへ~ん、そんな証拠ないしー。オーク肉も正規に売ったし、残りは食べましたぁ!……ほらほら。大人しく自首しなよー」


 うっわぁー。

 コイツ証拠隠滅したから強気に……あ、まてよ。


「ぁっ! ほら、お前! これ、お前じゃん、ダンジョンに入ろうとしてる証拠───」


 さっき撮り立てのパンツぅ! ばっちし、犬小屋ダンジョンに上半身つっこんでるしぃー!

 はい! 証拠証拠ー!


 ───ごっきぃぃぃい!


「いっだぁぁああ!」

「ナぁニ撮ってんのよぉぉ!! すけべ!! お金取るわよ!!」


 いや、撮るじゃん?! そこにパンツがあったら撮るでしょ?

 ……撮らないでか?!


「撮らないわよ! もう!! ホント、消してよ!」

「いや、そりゃ、消すのはいいけど───……通報するだろ」


「……シマセン」

「…………目ぇ見て言えや」


 あからさまに目ぇそらしながらぁ!

 全然説得力ないわぃ!


「いや、だって……。いくらなんでも、法律違反はちょっとねー」

「そ、そりゃわかるけどさ……! 俺だって好きで家にダンジョンできたんじゃねーし!」


「いやいや、がっつりお肉とか食べて結構喜んでたよね? あと、ポンタに取りにいかしたりしてるじゃん」


  「う……」


 恵美さんの言うことは正論だ。

 正論なんだけど───……高橋だって悪気があってのことではない。


 第一、ダンジョンに無断に入ったわけでもないし、魔石を違法に売ったわけでもない。

 諸々の流れを含めて非常にグレーゾーンではあるが、ギリギリ法を犯してはいないはず───だ。


「かくかくしかじか」

「いや、だから、かくかくうしかじかじゃわかんないから──────ふむ、なるほど、確かにギリギリ法律違反ではないといえるの、かな??」


「いや、かくかうしかじかで理解してんじゃん!!」

「うるさいなー。とりあえず、叔父さんの事情は分かったよ」


 そういうと、ニッっと人鋤のする笑みを浮かべる姪っ子。

 彼女は次にとんでもないことを言い出したのだ。


「要するに、ダンジョン素材がオーバーフローしてきて困ってるんでしょ? 埋める庭はいっぱいで、売れないし、迂闊にも捨てられないから───」

「お、おう」


 そんな当たり前のことを今さら───。


「なら簡単じゃん♪」

「へぇ????」


 か、簡単?!

 簡単んんんん?!


「そんな簡単なら、苦労は──────」

「にひひ、大丈夫、大丈夫───売ったり捨てたりできればいいんでしょ?」

「そりゃそうだが……」


 それができないから苦労している。

 もし売れれば、それだけで食っていけそうだけど───。


「んっふっふー。アタシが紹介したげる。……んね、ダンジョン系企業に就職、しよ♪ 叔~父さん」




 ………………は?


 しょ、紹介??

 ダンジョン系企業に??


 え?

 は、はっぁあ??



 

    ───………………しゅ、就職ぅぅううう?!



 驚愕する高橋を尻目に、

 「ニヒヒヒヒっ」と、八重歯を輝かせながら恵美が屈託なく笑うのだった。



    ~お庭編 完~


   就職編 無自覚最強サポーターの巻 に続く






─────あとがき─────


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ブラック企業に勤めてたら、社長に夜逃げされました。仕方ないので、庭に出来た超小型ダンジョンで生計をたてます LA軍@多数書籍化(呪具師100万部!) @laguun

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