第66話 演技力がなかったよ!

 先生の魔道具の画面は、流石にゲームの様にアイテムを入れたら出来るような物ではないみたいだ。


 作った事のある物なら材料と作り方がわかるのだが、それだと単なるメモ代わりだよね。


 どうせなら違う材料にした時とか、作る手順を変えたらどうなるとかの、シミュレーションが出来たら嬉しいけど。


 後は手に持った魔道具の、材料や作り方が解ったりしたら便利だよね。


「おおっ、これは!」


 えっ!?


「先生、どうしました?」


「いえ、材料の名前を押したら、違う材料に変えられるのに気付いたんです」


 先生によると、今まで使った事のある材料と家にある材料がリストに出て、それと入れ替える事が出来るようになり、その結果が反映された魔道具が表示されるらしい。


 まただ…それは僕が考えた機能だよ。


「先生…あの、これを持った状態だと画面がどうなるか見て貰えますか?」


「これは、侯爵様から頂いた魔道具ではありませんか。よろしいのですか?」


「ええ。少し試したい事があるので、お願いします」


 結果は思った通り、作った事がないはずの魔道具の素材が表示された。


 ただし、作り方については、先生の知識にある部分は表示されているが、一部不明な箇所があるので、どうやら作り方を知らなければ表示されない仕様のようだ。


 そこまでチートではなかった事に胸を撫で下ろす。


 もう1つの魔道具も試したが同じ結果…いや、少し違う箇所があった。


 どうやら使った事がない材料も表示されないようで、材料の一覧に不自然な空白《ブランク》があるのだ。


 これだけ本を読んでる先生が知らない材料は滅多にないと思うので、使った事がない材料だと思ったが、本当のところはわからない。


 ひょっとしたら、この魔道具を作った職人独自の合金とかかもしれないからね。


 表示された中に先生の知らない材料がなかったから、それ程的外れな推理ではないと思う。


「いやー、ヴィンセント様といると新しい発見が次々にあって楽しいですね!」


 それは良かったですね。

 僕は少し疲れたよ。


「でも、今まで手にした事がある魔道具の材料や作り方が解るなら、もっと一覧に表示されててもおかしくないんですけどね」


 ドキッ。

 まさか、ついさっき出来た機能だから、過去のデータは反映されないとか?


 自分で作った物なら、記憶から反映している可能性もあるから。


 いやいや、これはあくまでも偶然なんだから、ついさっき出来たとかないない。


 冷や汗が背中を流れるのを感じながら、大丈夫だと言い聞かせる。


「ヴィンセント様?」


 ビクッ。


「な何ですか、先生」


「もしや、ヴィンセント様がステータスに何かされたんですか?」


「な、な何かって、何もしてませんよ!僕にそんな事が出来るはずがないじゃないですか。やだなぁ先生ったら、僕に期待し過ぎですよ」


「ヴィンセント様、そんな挙動不審な様子で誤魔化しているつもりですか。私はヴィンセント様の不利益になるような事は決して致しません。女神ルミナマイア様に誓ってです。ですから、正直に仰って下さい」


 僕に演技力はなかったようだ。

 結局、全て先生に話してしまった。


「これは、素晴らしい能力ですが、誰かに知られる訳にはいかないですね」


 ですよね~。

 何となく想像がつくけど。


 この世界では、ステータスは女神の領域なのだ。


 これを変化させられる等と言えば、良くて神子だなんだと祭り上げられ、悪くて神への冒涜だとかで排除される未来が見える。


「ふむ。それ程、心配はいりませんよ」


「何故ですか?」


「それは、今までステータスをいじろうなんて思った人がいないからです。ですから、私達が黙っていれば知られる事はありません。カレンにも、ステータス画面の検証の協力はしてもらいますが、これはあくまでカレンにも新しい画面が出るかどうかの検証です」


 つまり、僕がカレンのステータスに新しい機能を考えたりしなければ出てこないので、そこで終了すれば何も問題ないって事だ。


 流石は先生、理論的な説明だ。


「もちろん、まだヴィンセント様の能力だと決まった訳ではありません。女神様がステータスを進化させている可能性はあります」


「でも、こんなにタイミング良くですか?」


「それは女神様が直接この世界に干渉する事は、祝福の儀しかありませんから、御力を使うにも何かしらの制限があり、転生者を介している可能性もあります」


 なるほど。他の転生者にも同じ事が出来るかもしれないって事か。


 それなら、やっぱり他の転生者の事も調べた方が良いのかなぁ。


「それはもう、私やセルバスがやっていますよ」


 いつの間に!?


「ヴィンセント様がお昼寝している間にです」


 僕が転生者だと確定したから、セルバスも転生者の情報を積極的に集める事にしたそうだ。


 先生も噂話を集めるのが趣味なので、そちらの伝から然り気無く情報収集をしているそうだ。


 そう言えば先生はゴシップ紙も買ってたっけ。


 噂から得られる物は馬鹿に出来ないそうだ。

 火のない所に煙は立たぬって事だね。

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ちっともチートじゃない転生~お使いに行くよ!~ 藍色なお @rom-senyo

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