きれいなおじさん

こんな絶望的で悲しみ溢れる無理矢理転生があろうか。
転生直後に流した涙は哀愁感がものすごい。

もの悲しく詫びしい前世の過去があるおじさん。その心はとても繊細で愛情に飢えていた。今世では周囲の優しさに触れて徐々に生き生きとしていく様には思わず良かったねと微笑ましく見えるほど。
ただし後半からは割とはっちゃけ過ぎて超人令嬢化としまってる感は否めない。でも転生して良かったと、生きててたのしそうな様子を垣間見るたびとてもホッコリしてしまう。

ただこの作品の面白さや魅力の半分以上は、地の文での主人公への呼称が一貫してブレずに「おじさん」と表現されることへの病み付き感だろう。そして時々顔を覗かせるお茶目なおじさん心。でも公爵令嬢(極)で浄化済みなのでなんだか神聖みまで感じる。

初めはまぁ中身はおじさんなのだししばらくはそう表現して行くのかなと思って読み進めていたら、一貫してそれを貫いていく模様。振る舞いは完璧令嬢なのにそれとのギャップが面白さの醍醐味かと。

「おじさんが姿を見せた。
 周囲の人だかりがまるで消えたかのように音が消えたのだ。
 呼吸をすることすら忘れるほどの神がかった美少女。」

切り抜くとこの謎表現、いや新しい概念化としてしまうおじさんはハマればとても楽しい。新カテゴリ、蛮族聖女もお楽しみに!

そう、この作品はルートビアのようなもの。

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