第24話 靴すべり

 結婚したばかりの頃である。


 その頃、出勤する旦那に、玄関で靴すべりを渡すほど私はういういしかった。


 しかし人間、棒状のものを持つと、何かを叩きたくなるものだ。


 私は靴すべりで、つい、旦那の尻を軽く叩いた。


 いい感触だった。


 旦那はイヤな顔をしたが、黙って出勤していった。

 

 だが、何日もそれが続くと、とうとう旦那は怒った。


「なんで叩くねん!」


 私はとっさに嘘をついた。


「そ、それは、おまじない、やからや」


「おまじない?」


「そや、無事に帰ってこられるように、っていう、おまじない、なんや」


「へえ、そうなんや。知らんかったわ……」


 新妻にいづまに、無事に帰ってこられるようにと、おまじない、されたと思って、旦那はまんざらでもない顔になった。


 それから旦那は、私が靴すべりを渡さなくなっても、自分で自分の尻を靴すべりで叩いて、出勤するようになった。


 今でも旦那は、おまじないを信じている。


 私はこの秘密を、墓まで持って行くつもりだ。


 私は、クセモノ! である。


 とりあえず、このあたりで〚完結〛である。 


 最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。


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 作者は喜んで「おなじない」と、靴すべりで読者さまの尻を叩くでしょう。

 読者さまは、作者の旦那になった気分が味わえます。(∀`*ゞ)テヘッ


 どうぞよろしくお願いいたします。 m(__)m



 『クセモノ! 2』あります。URはこちらL↓

https://kakuyomu.jp/works/16817330650526581186

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ウチのクセモノ! 本城 冴月(ほんじょう さつき) @sathukihon

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