NTR

 修二が伝票の整理をしているときに、理沙から声がかかった。

「サーヤ、これからお客さんがくるから、会議室にコーヒー持ってきて」

「はい、かしこまりました」

「大事なお客様だから、粗相のないようにね」

 そうやって念を押されると怖いものがある。


 修二は給湯室でコーヒーを淹れ、会議室へと向かう前に鏡でもう一度身なりをチェックした。

 メイクも大丈夫。制服のリボンは曲がっていない。黒のストッキングも伝線していない。チェックを終え、コーヒーをトレイに乗せて会議室へと向かった。


 トン、トン、トン、


 ノックを3回して、会議室へと入る。以前、ノック2回で入った時に、「ここはトイレか!」と怒られて、股間を蹴り上げられた記憶がよみがえってくる。

「失礼します。コーヒーお持ちしました」

 会議室に入ると、理沙とお客さんである中年男性が真剣に話をしていた。コーヒーを置いて、会議室から出ようとすると、理沙から呼び止められた。

「大里部長、こちらが弊社の佐野です。ほら、自己紹介して」

 何のことか分からないが、理沙の命令には逆らえない。


「佐野修二です。平素は大変お世話になっております」

「角中ミートの大里です。いやいや、こんなにかわいいのに男性ですか?」

「そうなんですよ。LGBTの時代なんですよ。ほら、佐野さん部長の隣に座って」

 2人掛けの来客用ソファに、大里部長と並んで座ることになってしまった。修二が座るなり、部長はお尻を触り始めた。びっくりはしたが、ここで声をあげるわけにはいかない。グッと堪えながら、理沙と部長の商談を見守る。


「御社の品質は素晴らしいのはわかりますが、もう少し単価の方を・・・」

「原材料も輸送コストも上がっていて、これ以上は・・・」

 どうやら、仕入れ値で折り合いがつかず揉めているようだ。部長はまじめな話をしながらも、左手でお尻や足を撫でまわしている。

 双方、折り合わず重い空気が会議室に立ち込めている。

「すみません。ちょっと電話をするのを忘れていまして、10分ほど席を離しても良いですか?」

 理沙はそう言って、会議室から出て行った。出ていく際、理沙は修二の方を向いて思わせぶりな視線を送った。

 理沙が会議室からでていくと、大里部長は立ち上がってズボンのベルトを緩め始めた。


 まだ口の中が気持ち悪い。会議室から出て、トイレに入り吐いて何回もうがいをしたが、口の中が気持ち悪くてしょうがない。

 トイレから出ると、部長の見送りを終えた理沙と会った。

「サーヤ、ありがとう。おかげで商談まとまったよ」

 修二が身を挺して、頑張ったかいはあったようだ。

「そうだ、言い忘れてたけど、今晩石橋さんが家に来るから、料理作っておいて」

 そう言いって、修二の肩をポンとたたき理沙は去っていった。


「甘鯛のポワレです。ワインもお注ぎしますね」

 理沙と石橋さんの夕食を食べている。料理を作りながら、理沙と石橋さんの飲み物に気を配らないといけないので、いつもより大変だ。

 料理をつくながらも二人の会話を聞いていると、上司と部下、会社の同僚というよりも、女友達いやそれ以上の親密さを感じる。


 デザートのクレープ シュゼットとコーヒーを出して、後片付けをしていると、理沙から声がかかった。

「サーヤ、このあとお風呂入るから準備して」

 お風呂って、石橋さんも?石橋さん、今日泊まるの?そんな疑問を抱きつつも、修二から質問することは許されないので、言われた通りお風呂の準備を始めた。


 二人がお風呂に入っている間、ようやく修二の夕ご飯が始まる。むろん、上がってくるまでに食べ終わって、片付けまでしておかないといけないので、味わっている余裕はなく、二人が残したものを口の入れていく。

 お風呂場からは、理沙と石橋さんの楽し気な声が聞こえてくる。


 お風呂からあがった、理沙と石橋さんが美容パックをしながら海外ドラマを見始めたので、修二もお風呂に入ることにした。

 お風呂から上がると、スケスケのスリップドレスと下着が置いてあった。これを着ろということみたいだ。下着はブラは普通だが、パンツは革製でサイズが少し小さいくてきつい。


「サーヤもお風呂から上がったし、始めようか」

 そう言って、理沙と石橋さんは寝室へと歩き始めた。

「サーヤはここに座ってなさい」

 そういわれ、寝室の隅に正座して座った。そして、そのあと二人は愛し始めた。その様子をみて、下半身の血流が良くなり大きくなろうとするが、革製のパンツであるため、大きくなろうとすると激痛が走る。

 愛し合いながらも、修二が苦しむ様子を見て、理沙は笑っている。 目を閉じても声だけでも興奮してくるので、激痛に耐える時間が続いた。


 愛し合って疲れたのか、二人の寝息が聞こえるが、「下がってよい」と言われていないので、修二は正座し続けたままだ。そっと抜けても大丈夫なような気もするが、バレた時が恐ろしくて動けずに、そのまま朝を迎えた。

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僕の花嫁修業 葉っぱふみフミ @humihumi1234

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