第2話 ナマズン
城の前に人々が集まり、事件の真相を求めた。手下がメガホンを構えて叫んだ。
「皆様お静かに。我らがヒロ姫は失踪しました。そこでです、姫の捜索にご協力いただける方を募集します。協力してくださる方は挙手をお願いします」
民衆全員が手を挙げた。
「……全員か……ありがとうございます。早速明日から捜索を開始いたしますので、ご準備をお願いします。尚、費用はこちらができる限り出しますので、ご心配なく」
一応言っとくが、街人はほぼ全員がレベル1であり、下級モンスターを倒すにも、手間がかかるほどである。これもヒロ姫が尊敬される理由だ。
その頃、郊外の郊外の郊外(田舎)で、1匹の若者ナマズが牧畜の世話をしていた。
彼の名前はナマズン。牧畜の世話をし、牛乳や卵などを王国へ売りに行く日常を繰り返していた。
「やあおはよ…。今日は45個か〜」
彼は鶏が生んだ卵を回収し始めた。なかなか広い牧場を持っており、意外にも裕福な生活をしていた。鶏は50羽、牛や豚は合わせて30匹、馬は10頭ももっており、さらには田んぼと畑も持っていた。
こんなに広いとスタッフなどを雇った方が効率が良いように思える。しかし全部1匹でやっていた。
それはなぜか?…彼、ナマズンはめちゃくちゃ大食いだからである。
「さぁてと、朝ごはん食べるか〜」
テーブルの上には、パン、ご飯、冷凍うどん、シリアルの他、サラダや鯖の味噌煮、味噌汁、オレンジジュース、スクランブルエッグ、スープが置かれた。
まさかの和洋折衷どころか、朝ごはん四天王を全てコンプリートしている朝食なのだ!!!!!!
「いただきまぁす」
彼に『朝ごはん何派?』と聞いたら、間違いなく全部派と答えるだろう。
そして、あの大量の食料は全て5分で完食された。
ハァァァァァァァァァ??????あの大量の食料を??????
……すまない、取り乱した。
そして、食べ終わるとナマズンはすぐに牧場へと向かった。
この異様な食事量がのちに役立つとも知らずに。
勇者ナマズ まめでんきゅう–ねこ @mamedenkyu-neko
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