心のつながりを家族と呼びたい

行くあてのない子連れの女性を見つけたとき、あなたはどうしますか?
誰もが主人公のようにふるまえるわけではないし、誰もが助けられるわけではありません。ですが、それでも。少しの勇気で笑ってくれる小さな命があると思います。
文章が主人公と母親視点で変わりますが、その時の文章の構成が見事です。
整然とした主人公の語り口。そして文章がみっちりと詰まっている、切羽詰まった母親の心境が伝わってきます。
二人はやましい心を持たず、ただ子供のために日々を一生懸命生きています。
その些細なやりとりに、深みと愛情がたくさんつまっているのに気づくでしょう。

血のつながりだけが家族という単位ではありません。
きっと、お互いに同じ道を見据えることができる関係を家族というのでしょう。
ぜひご一読くださいませ。

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