詩で語られる物語、というのが『鉄腕KAMIKAZE』から受けた印象だ。
ヨーロッパ中世の叙事詩や、日本の平家物語など、詩の形式でつづられた物語文というのは歴史に根差したものだ。
本作は、そうした文脈に位置づけられるのかもしれない。
多用される掛詞(かけことば)や語呂合わせは、短歌や川柳のようでもあり、また一方で日本語ラップのようでもある。
『鉄腕KAMIKAZE』はストーリーの筋を追うだけではない楽しみ方ができる。
作者のポップミュージックやポップカルチャーに関する造詣が散りばめられた文章は、一考と言わず十考くらいに値するのだ。
さーっと読んでしまえば一話は短いかもしれない。だが詩歌を味わうように掛詞に気付き、隠された意味を探ると、二度も三度も楽しめる。
といっても決して難解なものではなく、クスっと笑わせるスパイスが随所に仕込んである。
言葉選びに敏感な方々にぜひ味わっていただきたい新感覚☆文芸、左脳で理解するのではなく右脳で感じ取って下さい!