すさまじく壮絶で美しい、女の一生。

比喩の美しさと登場人物の生きる世界、悪役の壮絶さのギャップがすごい作品でした。家族が口々に褒めるとこと、ヒロインのシンプルな返答のくだりの文章力がすごい。

読んでる時のスピード感がすごくて、まさしく胡蝶の夢でも見たかのごとく、知らない女性の一生が一瞬で頭を駆け抜けていったような読後感です。まあ虫の例えは若かりし頃のお嬢さんは嫌っていたけども。彼女の兄が「クロアゲハみたいな女」って言ってましたよね。呪いのような前向きな愛と生をくれたのは彼でしょう。しかし彼女への例えとしては兄の方が上手かったのかもしれませんね、終わり方的に。

晩年は泥溜まりで死にかけてるモンシロチョウみたいな状態だったであろう彼女の心境とか、美しいばかりではない人生が肌に合う作品でした。一方で不気味がられ、一方で美しいと胸打たれる者もいた彼女の最期はこの作品を表していると言えるでしょう。

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