同じ穴の狢
「せ、正義のロイデア?」
「そうだ、しかも偶然ではなく意図的に吊り上げている。
即ち、あの青年は形はどうであれ正義感が強い人間ということだ」
ぐるんと椅子を回転させて、ラプラスの悪魔は椅子から離れ
「立っていても疲れるだろう?
座るといい。
「へいへい、参謀さんの仰せのままに」
「お言葉に甘えて座るか」
「え、あ、うん」
スタスタと何事もないように歩いていくカゲに付いていき、椅子に2人で腰掛ける。
ラプラスの悪魔からすれば、広々と使えばいいものを端に寄って座っている様に見えているだろうに、彼女は何も言わず彼等の方を見据える。
「何処かの誰かが正義のロイデアと契約したこと、その誰かに
が、あくまでも
過去の因果の連なる先にある未来を計算しているだけに過ぎない故に、
お茶を3つお盆に乗せた
液晶では数値が刻まれており、隊員グループと書かれた名前からここに不在の
「ロイデアも
それは、こいつも同様だが…何度も言っているがロイデアはエネルギー体だ。
そのエネルギー体を常に体に纏っている、そしてエネルギーは常に未来を不安定にさせる」
「早い話、未来予測の精密さがガクッと下がるという話だ。
正直、これはどうしょうもない…アツっ」
お茶を飲もうとして湯呑を触ったが、あまりの熱さに手を引っ込めたラプラスの悪魔は、まるでカゲの話している内容が聞こえているかのようにカゲの注釈に付け足して説明をする。
見た目相応の幼い少女に見えるが、その言動の所々にカゲと同じ人間の形をした別の何かということが見え隠れしている。
『正義感が強い奴なら確かに一般人に危害を加えるような可能性は低いだろうが。
加えて、任侠もの…じゃねーが、悪でありながら悪を成敗するというのなら尚更か』
電話の向こうから、少し音声は悪いが少し不機嫌そうな声色でぶっきらぼうに話す男性の声が聞こえる。
『だとしても、危ない橋過ぎやしないか?
そいつって、
それは、俺等とそいつを接触禁止にする程のことなのか?』
『そ~だぞ!そ~だぞ!
職権濫用だ〜職権濫用だ〜』
『うるせぇ!!』
『アハハハハ』
酒でも飲んでいるのかと思える程に、テンション高めな女性が聞こえるとポツリポツリと他の人も思い思いに電話の向こうで話し始める。
「それについては……まぁ、彼の能力上問題ないと思ってな」
「なんだ、参謀さんは彼から能力の中身聞いていたのか」
『…納得はしきれてないが、今回は説得されてやる。
で?こうやって通話で全員に聞かせるというくらいだ、何も無いはないだろ?』
カゲは、つまんなさそうに肘掛けを土台に頬付を付いて彼女を見ている。
「ふむ……そうだな、まどろっこしく引き伸ばしてもあれだしな」
ラプラスの悪魔は湯呑を机に置くと、んんっと咳払いをして声が聞こえるようにスマホを持ちながら話を続ける。
「
ロイデアー化物と人間社会の共存論ー 朝方の桐 @AM_Paulownia
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