少女の姿をした悪魔
「……戻らなきゃ」
「やめとけ、戻ったら死ぬぞ」
ぼんやりとした思考から戻った
「分かってたのか」
「だから最初に謝っただろ。
あーーー、ある程度予想はしてたがそれでも面倒だ」
冷静沈着なカゲが珍しく感情のままに舌打ちをして、忌々しそうに目を細める。
カバンから、スマホを取り出し誰かと電話をしているふりをして怪しまれない工夫を忘れない。
「彼は
「そうだ。
逆にあれが
わいわいと駅に近づくにつれて、都心部程ではないが人気が出てきた。
「彼は?いや、彼らは?」
あの青年が契約したロイデアは一体どのような悪魔なのだ?とカゲに目で訴えるが、彼は軽くこちらを見るだけでその口を開けようとはしない。
「自分で聞け」
少しの間の後にそれだけいうと、瞬きの間にカゲは消えてしまった。
ガタンゴトンと電車の音だけが辺りに響いた。
だらんとスマホを耳にかざしていた手を下に下ろして
「
すまなかった、
「え、あ、はい」
次の日、出社すると奥の社長椅子に座っていたのは
「約半年間自己紹介をしなかったことについて詫びを入れよう。
小さな足をブラブラとさせ、椅子をギィと鳴らして少女の形をした
「えっと……よろしくおねがいします」
「……恨み言のひとつでも出てくるかと思ったが……随分と聞き分けの良い新人なのだな」
背もたれに体重を掛け、悪魔は目を細めて笑う。
その黒い瞳の奥が、ギュッと細った時に黄色く見えた気がした。
「あーー、なんか色々起きすぎて…」
だが、不幸中の幸いなのか人間をやめても
カゲという、
故に、昨晩の出来事は青天の霹靂だったのだ。
「君に昨晩あそこに行かせたのは他でもなく、彼に会わせる為だ。
そして、その為に
君が、何もまだ知らない力を持ってしまっただけの一般人であれば危険は無いと出たからだ」
「出た?」
踏んだからでもなく、予想したわけでもない……出たから?
「ラプラスの悪魔……は知らんな、その顔は」
いつの間にかカゲが横に現れたが、こちらの顔を見るとはぁとため息をつき前を向く。
「ラプラスの悪魔は、ピエール=シモン・ラプラスによって提唱された未来計算機の話だ」
「
ラプラスの悪魔は、背もたれから身を起こし見るからに背丈に合っていない机に手を置いた。
「私の能力の説明は受けているであろうが、『未来予測』と言えば分かりやすいだろうか。
未来予知ではなく、あくまでも過去からなる未来を予測しているだけではあるが…まぁ、そこそこの精度をしているとは自称しているぞ?」
パチンと目をウインクさせて、ラプラスの悪魔は言う。
「何故、昨日の彼に会うのに俺は貴方には会わないほうが良かったのですか?」
たったそれだけで何かが変わるのだろうか?と
ラプラスの悪魔は、ああと言うとさらっと告げる。
「それは、あれが正義のロイデアの
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