第12話 加奈とデート

待ち合わせ場所に着いたが、加奈の姿は見られない。

加奈の仕事の関係で集合は午後からだったため、約束時間より10分ほど早く着いた。


「ちょっと早かったかな?」

こういうのは男が早く来るものなのではないかと思うのでちょうど良かったが、この待っている時間が妙に居ずらい。


「ん?」

向かいに見えるオブジェの物影がゴソゴソしていた。

まだ時間もあるし、少し気になるのでオブジェに向かって足を進める。

近づくにつれ、あわあわと物影が動いた。これは余計に気になる!!


えい!と覗いてみるとそこには加奈がいた。


「ひゃっ!!」

可愛らしい声を上げると、加奈は悔しそうな顔をする。


「もーーー後から来て『待った?』ってやつやりたかったのに〜!」

「じゃあちょっと遅くくれば良かったんじゃないの!?」

「でも勇人くんが私を待ってる間何してるか気になるじゃん!!」

「何もしないよ!?」

にしても、オブジェに隠れて偵察は少し無理があるのではないか?まあちょっと不器用なところが可愛いけれども!!!


「じゃあ行こうか!」

「うん!!」

そういって加奈が俺の腕に飛びついてきた。加奈が俺の腕を強く、でも優しく掴んでいる。

「ちょっと、恥ずかしいよ…!」

「えへへ♡」

うわずるい!この無邪気な感じがめちゃくちゃ可愛い!!

ちなみに加奈は知る人ぞ知る、くらいのモデルなので、バレないように帽子とマスクを着用している。

今日は映画とディナーの予定が組まれている。フツーに楽しみだ。




「え!?猫鳴村ぁあ!?!?」

映画館に着くも、こんなことになるとは思わなかった。

加奈がどうしても見たい映画があるので先に予約もしてチケットも当日渡すと言われていたのだが、まさかの見たい映画が猫鳴村^_^

猫鳴村は本当に存在する心霊スポット、猫鳴村を再現したホラー映画である。

「俺は大のホラー嫌いだぞ…」

「大丈夫ー!私もだから!」

いやもっと心配だよ!!


まぁ何より加奈に男らしいところだけを見て欲しいからな。絶対弱いところを見せるわけにはいかない!





俺たちの席は元々予約していたこともあって、かなり良いポジションだった。まぁこの際良いポジションじゃなくても良かったんだけども…

「楽しみだね!勇人くん!!」

「あ、う、うん。そうだねー。ははは」

あーもうここまできたら乗り切るしかない〜!




「ギャーーー!!!!!」

館内全体に響き渡るのは俺ではなく加奈の悲鳴である。

「お、おい。大丈夫なのか?」

「ううん!全然大丈夫じゃないよぉ!!勇人くん助けてぇー!!」

そう言って俺にしがみついて来ている。

ちなみに俺は加奈が怖がり過ぎていて全く怖くなかった。




「はぁーホント怖かった!!」

加奈がほっとしたように言った。

「いや、あれは怖がりすぎだよ。加奈の声にビビってるお客さんもいたからね。」

正直、俺もいつ叫び出すかわからない爆音機の横に座ってるのが1番怖かった。

「でもなんだかんだ言って楽しかったかも!」

「そうだね!俺も!」

散々だったが、やっぱり楽しかった気がする。加奈といれば何をしていても楽しいのかな?

これからもたくさんのことを一緒にして笑い合っていきたいと心からそう思った。



「あのーー」



「ん?はい?」


全く知らない中年のおじさんだった。


「私、記者の者なのですが。」


記者だと!?


「えーっとー。金城加奈さんとーーー」


「あ、僕ですか?鷹橋勇人ですー。」


「勇人くん!記者に本名は禁句だよ!!」


あ、やってしまった。これはおそらく聞かれるだろう。


「あのー。金城さんと鷹橋さんはどんなご関係なのですか?」


加奈と俺の関係。俺がどうにかしないと、こういう時は男がどうにかしなきゃだろ。口が動かない。俺たちの関係ってなんだっけ。友達?いや、それ以上だろ。でも彼女?ではないよな。どうしよう!なんて答えれば良いんだろう!


「ぁれしです…」


ん??


「勇人くんは!私、金城加奈の!彼氏です!!!」


なーに言ってんだ!?この子はぁぁあ!!!







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三代ヒロインに囲まれたのだが、、、 ゆるる @yururu___ranovechan

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