第11話 反撃の加奈

「…ってことがあったんだよー。」

登校中、俺は加奈に藤宮事件のことを話した。

「へぇーー」

すると加奈は不満そうな顔になった。

「だからしばらく私にかまってくれなくなったんだ。」

「あ、いや、これは。その、仕方なくて…」

加奈の巻き上がる不満を感じる。


そして、ついに爆発した。


「私毎日毎日放課後教室に行って帰れるかなーって毎日楽しみにしてたのに毎回いないし朝もそうだよ一緒に登校したいからたまにRINEしてたのにいっつも部活部活部活部活って!運動部の朝練じゃないんだから!なのに須藤さんとはずっと一緒にいて?で?藤宮さん?新しいライバル!?ちょっと色々ありすぎなんじゃないの!!??」

「マジごめんマジごめん!」

加奈がここまで話すのは初めてみた。

「須藤さんがこの場にいたら一発ぶん殴っていたわよ。」

美咲は今日広報の仕事で俺らよりも早く登校している。

「まぁ、ちょっと許してあげてほしいな。美咲がいなかったらこの事件は解決していなかったんだ。この事件がもっと発展していたら、モデルのお前も狙われてたかもしれないんだぞ?」

「ま、まあ、確かに?」

そして少し間をおいて、加奈がやきもちを焼くように聞いてきた。


「…で?どう思ってるのよ」

「え、何が?」

「藤宮さんのこと…!」

「あー…」


藤宮さんのことを、どう思っているか。か。

んーーー。いや、好きとかではな、い?


『…だから見ててね?勇人くん♡」


ガッチーン!!

脳裏にこの言葉が浮かんだ瞬間に体が膠着してしまった。


「…ゃとくん!」


なんだろう…。


「…ぁやとくん!」


うっすら声が聞こえるような、、。


「勇人くん!!」


「ハッ!!!!!!!!!」

加奈が俺の体を揺さぶって俺の名前を呼んでいた。


「これは、確実にやられているじゃない…!もーー!!勇人くんったらぁー!!!」

加奈が俺の肩をポカポカ叩いてくる。

「なんでなんでなんでー!なんでいつもそうやっていつもすぐにやられちゃうのー!」

「ごめん!いや本当にすいません!!」

でも!

「俺にはしっかり加奈のことも見えてるから!!!」

加奈の両肩を持って言い聞かせるように言った。


加奈は驚いた顔をして顔を赤らめていたが、深呼吸をすると口を開いて言った。


「じゃあ…」


「今週の土曜日、、私とデートして…!」






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