第2話 二人

 目が覚めると、知らない家の廊下にいた。


「お姉ちゃん!おたんじょうびおめでとう!」


「わーっ!とっても素敵なオルゴール!ありがとう、秀太!」


 目の前の部屋の中から、謎の姉弟の声が聞こえる。


 俺は気になって、部屋のドアノブを捻った。


「え…?」


 ドアを開けようとした瞬間、背中に違和感を感じた。


「イッデェエエエェェエエェェエエエエエエエェェエエエ!!!」


 一秒もしないうちに、その違和感は刃物で背中を刺されたものだと言うことに気づいた。


 痛みに耐えつつ意を決して後ろへ振り向くと、俺を刺した犯人は、あの廃校で出会った怪物と同じ化け物であることがわかった。


 怪物は、声とも叫びともつかない音を発しながら、倒れ込んだ俺の上に馬乗りになって、何度も何度も刃物を俺の体に振り下ろしてきた。


「アアアアアアアァァァァァアアアアアアァァアアァァァアアァァアアァァァ!!!イダイイダイイダイダダダイイイイイイイイイイダイダダイイイイダダイイイイイイイアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」


 あまりの痛みで失神しかける。


 それから数秒が経過し、世界は一瞬にして何も見えなくなった。






 次に目を開けると、知らない部屋のベッドの上にいた。


 どうやら、今体験していたことは夢だったようだ。これまで見た悪夢の中でもダントツで最下位の夢である。


「来方くん!!!生きてて…よかった…!」


 霧野さんはそう言って、その場に泣き崩れた。


「目が覚めたみたいだね。良かった…」


 その声を発したのは、どこか見覚えのある男だった。


「初めまして、来方くん。僕は『渋山しぶやま蘭人らんと』。生物学者さ。」


「その名前ってもしかして…!?」


 彼は、生物学界の最終地点と呼ばれる天才学者だ。

 十七歳という若さにして、様々な動物と会話できる翻訳装置を作った天才である。


 でも、どうしてそんな天才が俺の病室にいるのか。俺には訳がわからなかった。


「聞いたよ、君達の『アンデッド』の件。というか、君たちをあの廃校からここに連れてきたの、僕なんだけどね笑」


 渋山さんは軽く笑いながらそう言った。


 待て、二つ引っかかる部分がある。


「質問いいですか」


「どうぞ?」


「『アンデット』ってなんですか?」


 頭に浮かんだ疑問を率直に投げかけてみる。


「君達二人を襲った化け物たちのことだよ」


 どうやら、あの化け物はアンデットと呼ばれているらしい。


 一つ目の疑問は解けた。


 正直、この質問は俺でも容易に答えが予測できる。


 問題は次だ。


って、どういうことですか…?」




(本文中に掲載しちゃう作者コメントコーナー)

※不定期です。


バトル描写は、次回かその次の話からの予定です!お楽しみに!

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