きっと、恨んでたわけではないと思うんですよ。だって、最後まで寄り添おうとしてくれていたわけで。死んでなお果てぬ想い、それは愛と呼んでいいんじゃないでしょうか。 前向きに考えすぎですかね(あ)。
何だか怖い。そして何だか切ない。恋愛が関わるホラーって恐ろしくて、興味深くて面白いです。
祖父の描いたという肖像画は、美しい女性のものであった。その女性は誰なのか。短い中に詰め込まれた息をつかせぬ展開と、読んでいる最中よりも読了後にもたらされるぞくぞくと迫るような恐怖心、それからままならなさと寂寞。肖像画と、青空と、足首。もしも死者に言葉が届けられれば、対話することができれば、こんな風にはならなかったのだろうか。けれど生きていく人間は死者を思い出に留めてそこに置き、歩いていくしかない。後を追ってしまわない限りは。彼女の未練は何であったか。ぜひご一読ください。
主人公が祖父の家でいわくありげな肖像画を見つける……という、ホラーの王道をゆくはじまり方をする本作。 描かれた美しい女性、祖父の過去、そしてあらすじに登場する青空と足首とはいったい……? 美しい文章に導かれ、するすると読み、背筋が凍る。そんな良質なホラーでした。ホラー好きの方はぜひ。