第4話「刺客」


「はぁ、この星の男は根性なしなのね」


 風呂上がり、濡れた髪をバスタオルで拭きながらリビングに戻ってきた島崎さんはブツブツと悪口を言っていた。


「何がですか」

「こんなに可愛い女の子がそばにいるって言うのにお風呂ものぞきに来ないのねって。あそこ、着いてるの? 君は?」

「ついてますよ、それとも確認したいんですか?」

「え、いいの⁉ 見たいわ! ココの星の人たちのあそこ!」

「いや、ちょ、まって——うわぁ!」


 推しが強くてグイグイ来る島崎さんは容赦なく俺に襲い掛かってくる。あと一歩でズボンを脱がされる寸前でなんとか振りほどいた。


 すると、少し悲しそうな表情をしながら見つめてきてなんか変な気分になる。


「……なんで見せてくれないのよ」

「見せませんよ。言葉の綾って言うのを理解してください」

「私は知的好奇心が故にここの星の人たちの性器見たかっただけなのよっ」


 超絶美少女はいたって真面目に言っている様でもう、笑えてくる。

 一体全体、どういう教育をしているんだ。ファイナリーゼ星の大人たちは。どうやったらこんなにもずれた変態が生まれてくるのか、不思議でならない。


 まぁ、おっぱい揉ませてほしいからこのくらいぶっ飛んでるのは俺的にはいいのかもだけど。ていうか、ぶっ飛んでないとおっぱい守背てあげるから居候させてほしいだなんてこと言わないだろうしね。


「そんなことしてたらこの国じゃ掴まりますよ」

「え、掴まるの?」

「捕まるわ!」

「なんて……法律……っ。私の国じゃ手を出したもん勝ちでその後は楽しくせっくsをするのが習わしなのに」

「……マジですか」

「マジよ」


 って危ない。

 なに考えているんだ俺は。

 一瞬「羨ましい」と思ってしまった自分を憎みたい!


「まぁ、いいですけど。とにかく、こっちではそんなことしちゃいけないので普通におとなしくしててくださいよ?」

「……つまらない星ね」

「レ〇プが合法的な星の人に言われたくありません」

「レ〇プ?」

「……いや、やっぱり今のなしで。聞かなかったことにしてください」

「え、そんなこと言われたら気になるじゃないのよ?」

「ほんと何でもないですから、別に重要じゃないですし」

「……分かりやすく隠しちゃって。まぁいいわ、私は私で色々と情報を探っているわよ」

「余計なことはしないでくださいね」


 そう言って俺はお風呂に向かった。

 湯船につかりながら、さっきの出来事を思い出した。


 ほんと、きれいなものだった。

 色白の肌に、制服の上から見るよりも大きい胸に、スタイルの良い体。

 島崎さんが強引にも引っ張て行くもんだから、直ぐには逃げ出せなくて勢いで体まで見てしまった。


 思いだすとだんだんあそこが立ってくる。俺の息子は随分と正直だった。

 本当に揉ませてくれるんかな、明日には。


 いや、どうせ作り話ならそれも作り話になるのか。それじゃあなんか損した気分だけど。女子と泊まるのも早々できる事じゃないし、いい経験にはなったと言えるのか。


「はぁ……。まぁ、本当に考えるのはやめておこう。とにかく、明日までの辛抱だな」




 結局、その後は俺のお風呂シーンを興味津々な目で覗かれたものの、何か大きな出来事はなかった。


 俺の家には布団が一つしかなかったので彼女を布団で寝かせて、俺はソファーに横になって寝ることになった。


 

 そして、朝。


「んん……っ」


 いつも通り、日の光がカーテンの隙間から差し込んで部屋を徐々に明るく染め上げていく。


「あぁ……っ」


 日の光に、窓の外から聞こえる小鳥の囀り。

 普段通り、至って変わらない平日の朝がやってきて——俺の体は自然と目が覚めた。


 ふぅと、薄れる視界で毛布を剥いで伸びをすると、目の前の光景に声も出なかった。


「っ⁉」


 そこにいたのは白髪美少女女子高生こと島崎カエデさんだった。

 涎を垂らしながら俺の足元に顔を埋めて、まるで抱き枕を抱いているかのようにイイ寝顔を向けながら眠っていた。


 昨日、布団で寝かせたよな、俺。

 なんか、足が重いなと思ってたら……そういうことか。


「……でけぇな、こりゃ」


 さすがに寝込みを襲うのは趣味じゃないので一瞬躊躇しつつ、俺は彼女の肩をトントンと叩いた。


「んにゃぁ……ふぁ、ふぁれぇ……どうして君がいるのかしらぁ」

「ここが俺の家だからですよ」


 ダラーっとのびる涎。

 意外と不快感はなく可愛く見えてしまう。


 昨日はいろいろしてきたけど、黙ってみると本当に可愛く見えるなこの人は。


「ふぇ、ふぁぁ……ん。そぉ、だったわねぇっ」

「ほら、学校あるし普通に行かなきゃだろ」

「ふぇぇ……そっかぁ」

「あぁ、行くぞ」


 何とか起こすと眠そうな目を擦って洗面台に向かった。

 昨日お風呂あがった後に貸した俺のシャツが様になっていて、彼シャツを着ている彼女みたいな後姿だった。


「ふぅ、俺も起きるか」


 そう呟いて立ち上がった瞬間だった。


 ピンポーン。


 とインタホーンが鳴った。


 時刻は朝7時。

 こんな時間にインターホンが?


 と不思議に思いながら、恐る恐る扉を開けると——そこに居たのは黒いスーツを着た頭一個分ほど小さい金髪美少女。胸はあまり大きくなく控えめで、細身でスラっとしている。


 どこかの暗殺者か何かのような恰好に生唾を飲み込んだ。


 なんだ、なんかのコスプレなのかなと眺めていると彼女がニヤリを笑みを浮かんでこう言った。


「へぇ、君が宇宙人を匿ってる男の子かぁ」

「え?」


 

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謎の美少女転校生に「おっぱい揉ませてあげる代わりに居候させてほしい」とか言われて、勢いでOKしちゃったんだけどどうやら裏がありそうです。 藍坂イツキ @fanao44131406

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