好きピの隣を歩いてても恥ずかしくないクール系女子になろうとしただけなのに!

赤茄子橄

本文

「んちゅむちゅずぞぞぞぞぞぞはむっはむっ」

「うわぁ、結音ゆねっち、めっちゃメスの顔しとる......。好きピの舌しゃぶんの必死すぎて草なんだが。さっきまでクールでデキる女感出てたのに一気にチョロみざわじゃん」


「もぉ......はむっ。やだぁ......むちゅ。さだめぇ......好きぃ。だいしゅちぃ......。でもっ......教室で......ずぞっ......恥ずかしいよぉ」

「結音が適当なことばかり言って俺を心配させてくれるからでしょ? それに、嫌ならキスやめてもいいんだよ?」


「はむはむっ......あたしの......れろれろ......あたしが1年かけて作った......はぁはぁ......学校でのキャラがぁ......ごくごく......ぷはぁっ」

「やっば。結音っちと彼氏くんのチッス濃厚すぎエチエチすぎっしょ。ってか結音っち普段とのギャップエグすぎてよきだわ〜」



 辞めていいとか言いながら、後ろからあたしのお尻がっつり鷲掴みして、無理やり顎掴んで、逃してくれないじゃん。


 他のクラスメイトもめっちゃ見てるし......。

 ってか、『エロすぎ』とか『クール......?』とか『ギャップありすぎ』みたいな声も聞こえる......。


 ............あぁ......あたしの高校生活、終わった......。


 これじゃあ制の隣にいられない......。

 教室で雑談する体でキャラ固定しようと打算的に動いたのがダメだったんかな............。バチが当たったんかな......?




*****




「えー、めっちゃ可愛い彼氏くんじゃーん。結音ゆねのこと好きすぎるってことっしょ? めっちゃきゅんじゃ〜ん」

「まぁそうかもねぇ。こうの言う通り、さだめは年上のあたしに甘えたいんだろうね。男の子って母性に惹かれるとかそういうところあるっていうしね。ほらなんだっけ、バブみ? 的な?」


「だよねだよね〜。でも結音っちはあんまり甘やかしてないんでしょ? 実はその子のことあんまり好きじゃないの?」

「んーん、まぁまぁ好きだよ。でもあんまり年下に好き放題させちゃったら調子に乗らせちゃうじゃん? 年上としてはちゃんと威厳保って手綱握っとかないとだかんね」

「あー、それなー」



 高校も2年生に進級して早3日目。


 一昨日から仲良くなったばっかだけど、なんとなく気ぃ合う感じがしてるクラスメイトの想郷后そざとこう

 今年は去年以上に、さだめの彼女として恥ずかしくないような憧れられるデキる女のイメージを浸透させないと。


 まずは最初の印象づくりが大事だし、こうを起点に、クラス中にあたしのことを『年下彼氏の手綱しっかり握れるクールで余裕のある女』だってことをわからせておかないとね。


 いざあたしが制の彼女だってバレたときにも天才完璧イケメンの制の隣歩いててもお似合いだって言われるような強い女のイメージを作っとくんだ。

 勉強も運動もなんもできないあたしはそれくらいしとかないと......っ!


 今はちょうどクラスメイトも結構教室に残ってるし、ここで印象操作しとくしかないっしょ。


「なになに、后ちゃん、結音ちゃんの話? ってかそれ真に受けてんのー?」

「おー、理流りるっち、おかえりー。で、真に受けてんのってなにそれ。どゆこと?」

「ただま〜。とか言って、忘れもん取りんきただけだからすぐ部活戻るけどね〜。んで結音ちゃんの話だけど、あんまり鵜呑みにしたらいかんよ〜?」



 うわっ、理流りる!?

 あんた部活行ったんじゃなかったの!? 余計なタイミングで教室戻ってこないでよ!


「ちょっ、理流りる! そういうのやめてよ。まるであたしが嘘つきみたいじゃん!」

「いやぁ、嘘つきってわけじゃないけどさ〜。結音ちゃんってカッコつけっていうかぁ、見栄っ張りなとこあるっていうか〜? まぁそこも可愛いんだけどね〜。ギャップで鬼萌える〜みたいな?」

「え、なになに、まじでなんなん? 気になりすぎてハゲそうなんだが」



 あーもーほらぁ。理流が余計なこと言うから后が変に疑い始めちゃったじゃん。

 これ以上変なこと言うなよ〜。后も食いつくなよ〜。


「んー、アレは口で説明すんの鬼ムズだからな〜。あ、そういえば結音っちの彼氏くん、今年ウチらと一緒のガッコー入ってきたんしょ?」

「あ、そうなん?」



 くそー、昔のあたしめ! 理流にいろいろしゃべりすぎだろ!


 制のせいで理流にはいろいろバレてんだよな〜。でもあれはしゃーない。不可抗力っちゅーやつよ。

 まだ理流以外の人にはほとんど知られてないだろうし、制にもお願いしたんだから大丈夫のはず。



「あー、まぁ、そう、ね?」

「ん? 結音っち、なんでそこで口籠もんの?」

「いやぁ? ただ忘れてたっていうかぁ? っていうかあたしには別にあんまし関係ないっていうか?」



 この話続けたら、そのうち制に会わせろとかって言われるだろうしなぁ。

 なんとかして話逸したい。


「テンパりすぎワロタ。ってゆーか、学校違った去年ですらアレだったのに一緒のガッコーとか、これからもっと凄いんじゃね? ちょうど1年生は今日から登校だし、もしかしたら結音ちゃんのこと教室まで迎えに来るかもよ?」

「おっ、まじか! 結音っちの彼氏くん見てみたさありすぎてムリなんだが!」



 くそーっ、やっぱこうなるかー!

 でも制には昨日、「あたしの教室にくるのは勘弁してください」ってあんだけお願いしたんだし、さすがに来ないよな?

 頼む〜、学校ではクールキャラだと思わせておきたいんだ〜。


 とりあえず制と会わせない理由をそれっぽく言っとかんと。


「いやいや、制はあたし以外にはすごい人見知りするかんね。上級生の教室なんてこれないんじゃないかな」

「あはは、結音ちゃんまだ言ってるし、ウケんだけど。まぁ嘘じゃないもんね」

「なんもウケないから!」



 まじで何もウケないから!

 いつもなら理流とももっとしゃべってたいとこだけど、今日は后にあたしのカッコイイ印象を植え付けるための日なんだよー。そろそろ部活行こうぜ〜。



「おーい、ひじり〜。彼氏が呼んでんぞー」

「およ? りょーかーい! じゃ、部活行ってくるわ!」



 おっ。理流の彼氏、ナイスタイミング!


「うい。そんじゃ理流っち、がんばってー」

「おうよ! ちょっち行ってくるわ! そんじゃバイバ〜イ」

「「ばいばーい」」



 ふぅ〜。なんとか乗り切った〜。


「あ、そだ。結音っちの彼氏のこと知りたいなら、とりあえずもうちょい結音ちゃんに彼氏の話聞かせてもらったら良いと思うよ。多分すぐに色々わかるから」

「ふーん? よくわからんけど、理流っちがそう言うなら?」


「ちょっと、まじで余計なこと言わなくていいし!」

「んじゃーね〜」



 もう......。けど、あたしはボロとか出さんから!

 むしろこれはがっつりあたしの印象を刻み込むチャンス!


「んで? 理流っちもあぁ言ってたことだし、せっかくだからあーしも結音っちからもうちょい聞かせてもらわないといけないわけだけども?」

「あー、そうねぇ。あたし基本サバサバしてるっていうかさ〜? だから彼氏にも割と塩対応が基本っていうか? まぁ? 愛されんのは嫌な気しないし? 昔からの付き合いだし? ほどほどに付き合ってあげてる〜みたいな感じ?」

「ふんふん、なるほどなるほど。塩対応って具体的にどんな感じなん?」



 ふむ。后は素直だし、あたしの話ちゃんと信じてくれてそうだな。

 周りの席でたむろってる子たちもあたしらの話に耳傾けてるっぽいし、このまま今年のクラスでもクールで大人の余裕ある女的なキャラを確固たるものにしちゃる!


 男子たちの間でもちょいちょいあたしの噂出てるのも知ってるしね。『クール』とか『かわいい』とか言ってるやついるらしいし、着実にキャラできてるよこれ。

 あとはクールキャラのイメージ通りの話をちょろ出ししときゃ優勝でしょ。


「具体的に〜? んー、あたしにとってはどれも普通の対応っちゃ普通の対応だかんなぁ。まぁ強いて言えば、そう簡単にはヤラせてやんない、とか?」

「あー、犬の躾でよくやる『おあずけ』的な?」



 ナイス解釈!

 友達に嘘つくのは嫌だかんね。嘘じゃない形でキャラ設定固めていかんとね!


「まーそんな感じかな。でも雑な扱いばっかってわけじゃないよ? どっかイクときとか、あたしの希望ってよりは、制のお願いを聞いてあげることが多いかなー」

「へー、全然塩対応じゃないじゃん。好きピが年下だとそういう余裕とか出しちゃえる感じなわけかぁ。あーしはしゅきぴと同い年だかんなー。そういう感じあんまわからんのよなー。ちな、結音っちは好きピに『かっこいい』とか『好き』とかってのは言ってあげてる感じ?」



 后! さっきからアシストが神がかってんね!

 聞いてほしいこと全部聞いてくれんじゃん!


「あー、そういうのはまぁ、たまに? ちょいちょいご褒美あげないと可哀想だし?」

「ほー、たまにかぁ。あーしはいっつもすぐに言いたくなっちゃうからな〜。そういう焦らしたりするのできないんだよねぇ〜。でも彼氏くんは結音っちのそういうところにも惹かれてるの......か......な?」



 ん? 后ってば目線そらしてどした?






 あ、さてはあたしの大人っぷりに自分が恥ずかしくなってるな?

 ふふっ、こりゃあ今年のキャラ作りも順調そのものだな!


 最後にもうひと押しくらいしといちゃるか!


「あとはそうだなぁ、キスは制がどうしてもってせがんできたら結構やらせてあげてるかな〜」

「あ、そ、そうなんだ〜。ゆ、結音っちはクールっぽいし、か、かるーいチッスをほっぺにくれてやる、くらい......とか?」



 またしてもナイス解釈!

 いいね、そのキャラ。これまで作ってきたあたしのクール系なイメージにぴったりじゃん。


「ん〜、まぁそーゆー感じもあるかなぁ」



 2年始まったばっかだけど順調すぎて笑うんだが。


 けどなんかさっきから后の視線おかしくない?

 謎にキョドりすぎててイミフ。


「確かにだいたい結音の言ってる通りかもね」



 ビックゥッッッッッッッッ。


 あ、あれ......背中から聞こえるこの声って........................。


「あ、もしかしなくても、やっぱり君が結音っちの好きピ?」

「はい、始めまして、俺は常陸制ひたちさだめと言います。未熟者ではありますが、結音の彼氏を務めさせていただいてます。以後、お見知りおきを。想郷后そざとこう先輩?」


「よろ〜。ってか、お? あーしのこと知ってる感じ?」

「えぇ、大事な結音が通っている高校のことですから。この学校の生徒のことはだいたい把握していますよ」


 待って待って、まずいまずい。


 なんで制がここにいんの。

 昨日約束したじゃん、教室にはこないって。


「うぇ〜すっご! 愛だねぇ〜」

「えぇ、愛です」



 下手にしゃべられたり余計なことされたらあたし、終わっちゃう......。

 しかも制のこの声色、絶対外行きの一番爽やかな笑顔でしゃべってるやつじゃん。これ絶対バチ切れてるやつだよ。


 やばいやばい......。さっきの話、100聞かれてたんじゃね。

 どっから聞いてた?


 ってか怖くて振り向けないし、声出せないし。


「今日は結音っちを迎えに来た感じ?」

「いえ、結音からは『教室にはこないで』って言われてたので、近くで見守るだけにしようと思ってたんですが......」

「ありゃ、もしかして結音っちが案外冷たいこと思ってて悲しくて出てきちゃったとか?」



 そんなわけないじゃん......。

 ってかそうだったらどんだけ良かったか。


「いえいえ、そんなんじゃありませんよ。さっきから結音が言ってたことはだいたいホントのことなんで」

「あ、そうなん?」


 ..................おっ? 制があたしのことフォローしてくれてる?

 もしかしてほんとに怒ってでてきたわけじゃない感じ?



「えぇ、まぁ多少ニュアンスに問題もある気もしましたけど。ね、結音?」

「え......あ......えと......うん、だいたいほんとのこと、だよ?」


「あはは、結音っちってばさっきから急にキョドりすぎ〜。なになに、好きピの前だと緊張しちゃう系? なにそれきゃわたんなんですけど!」

「い、いや、そうじゃなくって」


「本当の自分を曝け出すことになるから緊張してるんだよね?」

「ひょえっ」



 やっべぇ。制、あたしの高校生活にトドメさしに来ようとしてる!?


「本当の結音っちって?」

「ちょおおおおおおおおおぉぉぉぉぉと今日はそろそろ帰らん????????」


「ちょっと結音っちうるさいよ!」

「待ってぇぇぇぇぇぇぇぇ聞かないでええええええ」


「そうだよね、結音? 例えば......結音は確かにそう簡単にはヤラせてくれないよね。1時間くらいキスして蕩けさせてあげないとダメだもんね?」

「ほぉ......」

「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


「えっちのとき、結音はイクの早いけど、俺がイってってお願いするまでギリギリまで我慢してくれるもんね? 確かにどっかイクときは俺のお願い聞いてくれてるね? 年上の余裕ってやつだね? 大体我慢できずに漏らしてるけど」

「ふむふむ......」

「だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」


「俺が尻か胸揉んだらキスしたくなるようにガッツリ調教したし、俺がしたいときはだいたいキスしてくれるし、確かに最初はかるーいキスから始まるときもあるもんね?」

「すごぉ......」

「ぎゃああああああああああ」



 もうムリ......マジムリ......終わった......。

 これまでクールなキャラを作ってきただけに、恥ずかしさが何倍にもなっててヤバい......。


 はずかしぬ......。


「もう辞めてぇぇぇぇぇぇ......んむっ!?」



 こ、これはっ。


「ちゅぱっじゅるじゅるずぞぞ」



 背中側からお尻揉みながらキス!? 無理矢理!?

 これだめだわ......。制、全力であたしにぶざま晒させる気だ......。



「ぷはっ。ちょっと結音うるさいよ」

「はぁっ、はぁっ......」


「んちゅむちゅずぞぞぞぞぞぞはむっはむっ」

「うわぁ、結音ゆねっち、めっちゃメスの顔しとる......。好きピの舌しゃぶんの必死すぎて草なんだが。さっきまでクールでデキる女感出てたのに一気にチョロみざわじゃん」


「もぉ......はむっ。やだぁ......むちゅ。さだめぇ......好きぃ。だいしゅちぃ......。でもっ......教室で......ずぞっ......恥ずかしいよぉ」

「結音が適当なことばかり言って俺を心配させてくれるからでしょ? それに、嫌ならキスやめてもいいんだよ?」


「はむはむっ......あたしの......れろれろ......あたしが1年かけて作った......はぁはぁ......学校でのキャラがぁ......ごくごく......ぷはぁっ」

「やっば。結音っちと彼氏くんのチッス濃厚すぎエチエチすぎっしょ。ってか結音っち普段とのギャップエグすぎてよきだわ〜」


「んむっ。はぁはぁ、辞めさせてなんて......じゅぞっ......くれないくせに......」



 クラスメイトに見られまくってるし、いままでのクールキャラとは真反対の印象がどんどん根付いてる......。

 ............あぁ......あたしの高校生活、終わった......。


 ......って、制、スカートの中に手を!?

 それだけはだめ!


「それはだめ! 今日はおむつ履いてないの! 朝注がれたやつも漏れちゃう!」

「高校入ってからなんかギャルっぽい話し方とかおしゃれとかピアスとか始めたから気になってたんだよ。結音に聞いても『もう高校生だからね』とか適当なこと言うし、どんだけいじめてもそれだけは吐かないからさ。でも今日やっとわかったよ。俺以外の男を誘惑するためだったんだね?」



 は、はいっ!?

 なにそれどゆことよ!?


「えー、結音っち、そうなん? それは良くないっしょ〜」

「ち、違うよ!」


「違くないでしょ? 俺との関係が冷めてるみたいなこと言ってたし、男の情欲を煽るようなことも結構言ってたし」

「あー、確かに。さっきまでの結音っち、クールエロい感じだったかも〜」

「ですよね」



 ちょっ、后も余計なこと言わないで!

 そんなんじゃないから!


「違うから!」

「だから結音、うるさいって」



 あっ、とうとうみんなの前で生でお尻揉まれちゃ......ぶしゃっっっ。


「あ............あ............あ......。あたし......みんなの前で......噴いちゃった......」

「俺以外の男に色目使うからだよ。結音は俺のお嫁にくるんだから。くそっ、やっぱ1年も別の学校に通うことになってたのは失敗だったな......。今聞いてる先輩方も、わすれないでくださいね! 天使結音あまつかゆねは俺、常陸制の相手なんで! 俺が身体に触れたらこんなふうに嬉ション漏らすように調教までしてるんで。他の人入るすきなんてないっすから。文句がある人は俺のところに来てください!」



 ひ、ひどいよ......。


「色目なんて......はぁはぁ......使ってないのに......。あたしはただ、制にお似合いのかっこいい女になって......恥ずかしくないようにしたかっただけなのに......うええええええぇぇぇぇぇん」

「ありゃりゃ、結音っち泣いちゃった。てか泣いてる理由も泣き顔もエグいほど可愛いんですけど」

「ですね。俺の結音はなにしてても世界一可愛いんですよ」

「めっちゃ愛だわ〜」



 こんなの愛じゃないから!

 ......いや、愛か? 恥ずかしさでしにたいけど、気持ちよくはあるし......。


 でもあたしの1年間の努力を無駄にするなんてひどすぎ!


「てゆうか、俺、そこまで言うほど凄い人間じゃないし、結音はその可愛さだけで世界一なんだからなんも気にしなくていいのに」

「ぐすっ......ずぶっ......。だめだよ、あたしなんて......。勉強も運動も家事もなんもできないし......。それに、みんなの目が気になるんだもん。制と釣り合ってないって言われてるみたいで......」


「......は? 誰かにそんなこと言われたの?」

「え? いや......直接言われたことはないけど......」


「じゃあ陰口でも言われてるの聞いちゃったとか?」

「ううん、そういうのはないよ。でも、みんなの目を見たらわかるんだよ」



 あんなにカッコよくて優しい完璧な彼氏の横に立ってるのがこんな女なのか、って声が聞こえる気がするんだもん。

 周りが油断するような彼女じゃ、いつか制を奪い取りに来るやつが現れるかもしれないじゃんっ。


「えー、誰も結音っちのことそんなふうに思わないと思うけどな〜。どんな結音っちもめちゃカワなんだし! 自信持ってこーよ! ねーみんな?」

「ちょっ、想郷センパイ、俺のセリフ取るの辞めてもらっていいですか!?」



 わ......みんななんか温かい目してる......。

 高校生にもなって......っていうか何歳でも教室で潮吹きする女とか、それだけでも軽蔑されてもおかしくないのに......。


「全部あたしの思い込み......ってこと? 制を他の人に盗られることはないってこと?」

「結音っちも彼氏くんも美男美女だから嫉妬されたとかじゃね? ってか、こんな鬼畜な人の彼女になりたいのとか、結音くらいなんじゃね?」

「あぁ、それはあるかもしれないですね。って、想郷センパイなんか辛辣じゃないっすか?」

「いやぁ、さすがに結音っちが可哀想な気もしてね〜」



 ......そっかぁ。あたし、制の隣にいても恥ずかしくないんだ......。










「....................................って、いや、待って待って! なんかいい話風にまとめようとしてるけど、今日のやつはキャラとか身分とか、そういう次元の恥ずかしさじゃなくない!? あたし、制のせいでクラスメイトの前でとんだ醜態さらしたんだけど!?」


「クールで余裕のある大人な結音なら全部許してくれるよね?」

「いや、あたしはもうクールとかいいから! ってか今日のはさすがにそう簡単には許さないかんね!?」



 こんだけ非道いことされたんだし、しばらくは口聞いてあげないし!


「結音は優しいからきっと許してくれるって信じてるよ。ってか怒ってるのは俺もだから。あんだけ毎日愛し合ってるし愛も囁いてるつもりだったのに、まだ自分の可愛さわかってないとか、もはや罪だから。今晩からまたしっかりしつけて、わからせてあげないとダメそうだね」

「ひっ」



 中学のころみたいに制に身体を弄ばれて、みんなの前で醜態を晒し続けるのだけはイヤッ!

 年上のはずなのに1から10まで全部を制のいいようにされて、悔しさと悦びで頭おかしくなりそうになるの! それはもうイヤ!









「また中学のころみたいに、毎日おむつ生活、始めような? クール系女子に似合うエロカッコカワイイショーツはしばらくおあずけで」


「やぁだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

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好きピの隣を歩いてても恥ずかしくないクール系女子になろうとしただけなのに! 赤茄子橄 @olivie_pomodoro

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