ろくでなし達のセッション


 全話を一気に拝読させていただいたのですが、「渋いなあ……」という印象でした。

 主人公「俺」は根っからのギャンブル狂。働いてはいるものの全然カネが足りず、友人・パートナーから軍資金や居住場所を提供してもらっている状態。
 初恋の人だった日下部は「男」となり、多くの「彼女」を侍らせて遊んでおり、その扱いも宜しくないときている。

 これだけ見ると「ろくでなし」もいいトコなのですが、二人が今に至った経緯が明らかになるにつれ、「ああ……」と息を吐くことに。

 この作品の見所としては、全体に立ち込めるどこか物悲しく、不健全な雰囲気でしょうか。
 自然な落としどころも含め重たい内容ではあるのですが、「俺」の冷めた語り口のおかげもあってか、読み進めるのは苦しくありませんでした。

 危うげなのに不思議と落ち着く、そんな読書体験でした。

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