第4話 次の年のクリスマス

 それから、桜が咲き、セミが鳴き、トンボが飛び、クリスマスの準備をするようになって、ライは久しぶりにもっくんたちに会いたくなりました。

 クリスマスの準備をすませると、校長先生に許可をもらい、地上へと降りて来ました。

 今日はクリスマスイブです。

 どうなっているか、雪でどうにかなってしまっていないかと、ヒヤヒヤしながらグラウンドを覗きます。

 すると。

「あ、ライ!」

「久しぶり!」

「あそぼうよ!」

 前に見た時と同じように、3人が片手をあげて笑顔を浮べていました。

「お、おう!」

 ライは泣きそうになりながら、近寄って行きました。

「久しぶりだな。何してるんだ」

「冬休みの宿題だよ」

 もっくんが答えると、

「面倒臭い宿題なんだ」

ととんとんが溜め息をこぼし、

「もう、放り出して遊ぼうぜ」

とはっちゃんが言いました。

 ライともっくんは声を揃えて言いました。

「だめだよ、勉強はしなくちゃ」

 そして、顔を見合わせてにっこりとしました。

 その時、冷たいものがポツンとおでこに当たりました。

 空を見上げてみると、白い小さな雪が、ゆっくりぱらぱらと降って来るのが見えました。

「雪だ!」

「わあ、雪!」

「うわあ!」

 雪を受け止めようと手を出すと、てのひらの上でとけてしまいます。

「今年も積もるかな」

「1センチくらいなら積もるといいな」

「ホワイトクリスマスって言うんだってさ」

 他の子が、はしゃいだ声をあげて走っています。大人の人も空を見上げ、微笑みを浮べました。

 ライは嬉しくなりました。クリスマスプレゼントのように思ったからです。

「メリークリスマス!」

 はっちゃんがそう言いました。それで今度は、皆で言いました。

「メリークリスマス!」





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

見習い天使のクリスマスプレゼント JUN @nunntann

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ