第4話

 2柱?の神様に見送られて二日程言われた通りに直進していた。減速することなく森に入り暫く経った時だった。その出会いは突然訪れた。


 Garrraaaaa!!!


「?」


 何かの雄たけびが森中に響き渡る。声のする方に方向修正し加速する。


「陣形を保て!!負傷者を早く退かせろ!!!第三陣構え!!」


 今の声で人間がいることが分かった。バァルよりも格段に弱いということは感じ取れた。

 本に載ってた通りだ。少し形が違うのも交じってるけれどあれも人間なんだろうか?

 それとなんか角のある大きなのと戦ってる?魂が抜けた人間も何人か見てわかる。クトゥラは好奇心に任せるように近づいてみることにした。すると先ほどから大きな声をあげている男がこちらに気づいた。


「んな!?なんでこんなところに女の子がいる!!」


 女の子?多分わたしの事だ。最初に転移した方角に指をさし答えることにした。今度は迅速に、じゃないとまた誤解されちゃう。


「あっちから来た」

「森?いやそんなことより早くここから避難しなさい!!」


 会話が成立した!やはりあの時は答えに時間を掛けすぎてしまったのか。今度から思ったことをすぐ答えれるようにしよう。


「副団長!!一陣準備整いました!!!」

「わかった!!!次の振り上げ時に再突撃をする!!気を引き締めろ!!」

「はっ!!!!」


 どうやらあの角の生えた大きいのは人間の敵みたいな感じだ。互いに死に物狂いといった雰囲気がする。

 せっかく出会えたのに人間とお別れは嫌だなぁ。また探すの大変だと思うし、うん。大きいのは死んでもらうことにしよう。


「あれ、敵?」


 その前に確認しなくちゃ、わたしもバァルみたいに頑固者だと思われてしまう。


「まだいたのか!?いいから逃げなさい!!君も危ないぞ!!」


 求めてた答えじゃなかったけれどあれじゃ人が結構死んじゃう。

 そう思い大きいのに一瞬にして近づくことにした。考えはあと、今は大きいのを倒す。


「んな!?」


 加速したまま首に狙いを定める。

 剣での戦い方は父上と斬り方はバァルの動きで学んだ。

 そして、大きいのはこちらに気づくこともなくわたしが一振りで首を断ち切った。


「よいしょっと」


 地響きとともに首のない巨体が倒れるのを眺める。バァルからもらった剣がすごく使いやすくて驚いた。バァルの神域すごいね、全力で相手されなくて本当によかった。

 それにしても、視線を感じるけれどやけに静かである。


「?」


 振り返ると人々の視線が自分に集まっていた。これは、どういうことだろう?首を傾げつつ周囲の様子を伺う。

 顔色は暗くはなくなんだかぼーっとしているような感じだった。すると先ほど会話をした副団長という人がこちらに近づいてくる。


「見事の太刀筋だった。助かったよ、どうもありがとう」

「ん?うん」


 そう言い手を差し出してきた。これは握手というものだろう。友好の証に互いに手を握るという風習があるのを本で読んだのを覚えている。


「森の方から来たと言っていたがどこの国から来たんだい?」

「森の向こうの何もない丘から来たからどこの国から来たわけじゃないんだけど」


「なるほど・・・、まぁ旅人で町の近くまで来たということは寄るつもりなのだろう?折角だ、街の方まで案内でもしようか?」

「ん、お願いします」

「よし来た!じゃあ魔獣の解体もあるから暫くあそこの馬車で待っていてくれ」


 何だか納得したみたいで、街への案内もしてくれるみたいだし折角だからお世話になろう。そして人との会話に慣れなければ。以前のように他の神様に誤解されては大変だ。なんだか色々聞きたがっているみたいだし付き合うことにする。

 指示通りに馬車の荷台に座り辺りを見回す。視線は感じるが先ほどよりは集中していない。各々が魔獣の解体作業というものに勤しんでいるのが見てわかる。


「あめんぼあかいなあいうえお」


 これから沢山話しそうだしということで発声練習しつつその光景をじっと眺めるのであった。

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楽園からの旅人 SNOW @Snow0206

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