クラスのみんなが、次々とカップルになっていく……エクストリームぼっちな学生時代を生きる or 生きた人なら、この恐怖と焦燥に共感できるでしょう。
最後に残ったのが自分一人なら、バル◯ン星人なみのフェードアウトをかませば良いのですが、ちょっと気になる幼馴染と一緒だったら、迂闊にフライング自害するわけにもいきません。
そんな状況に陥った本作の主人公たちに、おそらく事態の発端になったであろうクラスへの編入生、安芸東(あき あずま)と吾妻亜紀(あずま あき)の二人が接近してきます……。
短編ながら、ギュッとつまった要素がいろいろな側面を見せてくれる、ドラスティック・青春アドベンチャー、世界は『少し不思議』にあふれています!
現代社会の病に待った無し!という切り返しを、SFじみた現代ファンタジーで活路を見出す。作者の発想がタマラナイ。
もう日本には、こういった爆発力のある解決策が必要なのかもしれない。既得権益の座席争いなど無力だと思い知る。
そんなことを考えさせられる文章だが、けして堅苦しくなく、最後はシンプルに「縁」と、人間の古くからの価値観を提示するあたりも作者らしくて面白い。
政治的な腐敗と強固なエンタメを、皮肉めいた口調で語りながらも、人間の繰り返された歴史の中の素敵な要素を抽出したラストには、温かく、読後感も爽やかでした。
ぜひ、皆様は純粋にストーリーを楽しみ、何かを感じて頂けたら幸いです。