人外との真実の愛に狂喜乱舞する王太子を陥れたのは、だあれ?

あずあず

第1話

その日、最高峰の魔法であるヒト化が行われた。

国王陛下や王太子殿下をはじめ、たくさんの人々が集まる、魔法使いの祭典。


高い魔力を誇るサデリン公爵家の次女である私は、人間には聞こえない声で一匹の蝶を呼び寄せると、長い長い詠唱を始める。

1時間にわたる詠唱。蝶はその間、身じろぎせずに私の指に止まっていた。


(ごめんね、私たちの勝手で貴方の生涯を壊してしまうこと、どうか赦して)


蝶に僅かばかりの重みを感じて、地に下ろす。

そこからは早かった。

眩い光に包まれた蝶は、美しい女人に変化した。


うねるような喝采と拍手の中、格下の魔法使いが急いで女人に布をかけた。


蝶だったその女人は、じっと私を見つめた。





魔法使いが高位貴族となるこの国で、この祭典は大変重要な意味を持つ。

最上の魔力を持つとされる王族の威厳を保つために行われるものだからだ。

魔法使いの権威を示し、命すらも意のままに操れるのだという傲慢なパフォーマンス。


私はこの祭典が嫌いだ。






ピンク色の髪が波打つ。

ぽわぽわとした笑顔で踊ったり、花の香りを嗅いだりしている。

国王陛下から"モーネ"と名付けられたその蝶は、美しく着飾っていた。


王太子は「美しいな」と仕切りに言ってモーネの後を追いかけ回していた。

だが、追えば追うほどモーネは逃げる。

それはそうだ、彼女の本質は蝶なのだから。

「モーネ、ほら捕まえた」

ふわっと後ろから抱きついた。


側近達は横目で私を見ると、咳払いをしたり、軽くため息をついたり、変にお茶を勧めたりする。

なぜってそれは、王太子は私の婚約者だから。

女好きの王太子は、どうやらこの蝶に心を射抜かれたらしい。


モーネはジタバタしていたが、王太子が薔薇の花をひょいと差し出すと、漸く彼の膝の上に落ち着いて、くんくんと匂いを嗅いだ。

なんとか舐めようと、必死に舌をちろちろ動かしている。

どうやら蝶だった時のようにうまく吸えないので混乱しているようだ。


王太子は、紅茶のために用意してあった蜂蜜の蓋を開けると、輝く黄金色の蜂蜜を中指につける。

モーネの鼻先についと出すと、やっとのことで食事にありつけたとばかり、凄い勢いで舐めとっている。


その様子を見て、私は忠告した。

「恐れ入りますが、王太子殿下。モーネは蝶でございます。あまり感情移入されましても、長くても1ヶ月ほどで…」

「ミネルヴァ、嫉妬しているのか?つまらんことを言うなよ。興が醒める」

「…出過ぎたことを申しました」


この王太子の婚約は二度目。

私は二人目の婚約者である。

一人目は偉大な大魔法使いであり、私の姉であるダイアナだった。


王太子の父君である国王陛下は王族にも負けない魔力を持った姉のダイアナを息子の妻に熱望した。

美しい容姿に王太子も快諾。

元々魔力が強い我がサデリン公爵家なら家柄も申し分ない。

筈だった。


姉のダイアナは美しく、非常に思慮深く、思いやりがあり、知恵者だった。

私は優しい姉が大好きだった。

朝起きると『ミネルヴァが幸せになるように』と、祝福の魔法をかけ、眠る前には『ミネルヴァが楽しい夢を見れるように』と言って抱きしめてくれた。


王太子と姉の婚約は滞りなく進み、盛大に婚約パーティを執り行ったのだが…

その婚約式であろうことか、王太子は私を見初めた。

いや、その時には既に王太子は姉を愛していなかったのだ。



姉には一つ、隠していたことがあった。

それは、髪がない事だ。


通常であれば、身体が魔力に耐えられる10歳頃から魔法の訓練が行われるが、産まれて間も無く魔力に目覚めた姉は、周りの大人達がなんとか魔力の発現を抑えつけた。

赤子では魔力のコントロールが不可能だからだ。

幼い頃から魔力にあたり続けた姉は成長する段階で髪が生えなかったのだ。

もにろんカツラを被っていたが、婚約するとならば隠したままにはしておけない。

渋々そのことを申し出ると、王太子は嫌悪した。


だが、国王陛下はカツラを被れば問題ないと一蹴し王太子の反発を一切聞かずに婚約を強行した。

姉はこれからの夫婦生活が早々に翳りを見せた事を嘆いた。



そして、なぜか、婚約パーティーの一週間後に姉は亡くなった。

不慮の事故だった。

王太子に呼ばれて王宮へ向かう途中、崖から馬車が転落したのだと言う。

姉が死ねば、その血を分ける妹と婚約するのが筋だろうとばかりに鼻の下を伸ばして私を求めた。

勿論断る余地はなかった。


だが、そんな王太子はまたしても大誤算があった。

それは私に大変可愛げがないことだった。

「見た目だけは美しいが、ずっとそんな調子でいる気か?」

と問われたが、姉のこともあるのに、無条件に目の前の男を愛せるわけもない。

以来、事あるごとに

「つまらない女だ」

と言われた。


去年まで魔法使いの祭典は姉がヒト化の魔法を披露したが、今年からは私の役割となった。


(去年、お姉さまはてんとう虫をヒト化させていたわね…)

そのてんとう虫も、見た目は人だが中身は虫だ。

十日たった頃、王宮の中でてんとう虫の死骸が見つかった。

ただ見せ物にするためだけに理不尽に人の姿になった虫は、手厚く葬られることはなく、王宮の下女によってぞんざいに捨てられた。


ため息を一つ吐く。

飽きもせず、モーネに蜂蜜を舐めさせていたが、やがて満腹になった彼女はまた優雅に踊り出した。


王太子は

「モーネ、僕の腕の中にいておくれ」

などと言って懲りずに追いかけ回していた。


(自由にさせてやればいいのに)

少ない寿命を思って胸が締め付けられる。


とはいえ、私とて他人を悪く言えた筋合いはない。

モーネを人にし、その自由を奪ったのは他でもない


私なのだ。





屋敷に戻り、父や母に労いをもらう。

私の疲労具合を敏感に感じ取る父母は、姉のように私に何かあったらいけないという親心なのだろう。


「…ミネルヴァ、あの蝶はどうしているかね?」

「王太子殿下が追いかけ回していました。よほど気に入ったのでしょう」

「虫の寿命は短い。まさか変なことを言い出すとは思えないが…あの王太子だ…」

父は頭を抱えてた。

母も嫌そうな顔を隠さない。

私たち家族は姉の死に未だ疑念を抱えているからだ。


「あまり心配なさらないで」

そうは言ったものの、父母は目を見合わせて、ため息をついた。




ホットワインを少しだけ飲んで眠りにつく。

モーネは未だに追いかけ回されているだろうか。

変なことはされていないだろうか。

疲れた身体に眠りの波が押し寄せる。





久しぶりに夢を見た。

それは、姉の婚約が決まった頃の夢だった。

顔がぼやけてよくわからない。

だが、それは確かに姉で、寂しい微笑みで私に何かを言う。



「     」







翌日、祭典で使い過ぎた魔力の補充をするために朝早くから瞑想を行った。


集中しなければならないのに、モーネのことがちらつく。

ピンクの波打つ髪。

無垢な瞳。

愛くるしいダンス。

表情を作ることはないが、何かを訴えているような視線。


ぶんぶんと首を振った。

(いけない、集中しないと)


姉は瞑想などせずとも魔力が自然に溜まる。

常人には考えられないことだ。

自然に愛され、聖霊に愛されているからなのだと皆が言っていた。

それは、奇跡を見ているようだった。


(夢で見た、お姉さまは何と言っていたかしら…)


思い出せない。

確かに寂しげな口元はなにか言葉を紡いだ。


(いけない、集中…集中…)



太陽が沈む頃、漸く失った魔力が溜まった。


魔力が高いと言うのは、言わばその人が持つ容量のことだ。

バケツが大きければ水がたくさん入るように、魔力の容量が大きければ大きいほど使えるエネルギーも増えることになる。

つまり、容量が少なければそれだけ使える魔法も限られるのだ。

故に、我がサデリン公爵家が代々魔法使いの祭典で行ってきたヒト化は誰にでもできることではない。

姉に至っては、使う側から補充されていくから、もはや無限である。


(私は使い過ぎた魔力を瞑想で補充する必要があるけれど…お姉さまは本当にすごい魔法使いだった…)


常人の要領であれば1〜2時間の瞑想で充分補充されるはずだ。

私は時々自分の魔力が高いことを恨む。




「ミネルヴァお嬢様」

メイドがタオルを持って声をかけてきた。

私はそのタオルを取って、汗を拭く。

「どうしたの?」と聞くと

「王宮から使いの方がいらしています」

突然の訪問に辟易した。

もう夜だと言うのに何の用なのだろう。


「支度をするからお待ちいただけるように伝えてくれる?」

と言うと「かしこまりました」と言って去っていった。


ドレスを着替え、化粧を整えて貰って応接間へ向かった。

そこには、王太子の最側近が座っている。


「お待たせいたしまして、大変申し訳ありません。本日はどのようなご用件でしょう」


メガネをかけたその人は、やっと来たという顔を隠さなかった。


(突然訪問してきたお詫びはないわけね)


「ミネルヴァ様、モーネ…様のことなのですが」

虫に対して王宮に仕えるものが迷いながらも"様"をつける。

それだけで察した。

「王太子殿下はモーネのことが手放せなくなりましたか」

と言うと、汗をかいた額をハンカチで拭いて

「はあ、それでミネルヴァ様に急ぎ王宮へ来いと」

「なぜでしょうか。残り少ない彼女の命を思えば、私は邪魔者でしょう」

「ですが、王太子殿下がお呼びです」


嫌な予感がした。


父と母がオロオロする中、私は目線で"心配しないで"と伝えたつもりだったが、二人の眉根は下がるばかりだ。

用意された馬車に乗り込み、王宮へと進んだ。





「おい、遅いじゃないか。モーネの命は幾許かだと言うのに」

「…お待たせして申し訳ありませんでした。ミネルヴァ・サデリン、ただいま参りました」

丁寧にドレスの裾を広げて優雅にお辞儀をした。

見ると、モーネは王太子にべったりくっついている。


「見たまえ、モーネも私と離れたくない様でな」


(…それは、蜜が出る止まり木だと思われているのでは…)


すっかり慣れた手つきで蜂蜜を指ですくって与えている。

か細い指が、骨っぽい手を包み込んで引き寄せた。

桜色のかわいい唇はその蜂蜜を舐めとる。

モーネは恍惚とした表情だった。


(なんだか、少し人間らしくなったわね…)


「…まあ、この通り僕たちは愛し合ってしまった」


とてつもなく飛躍した考えを披露している。

だから婚約破棄してくれって言うのかしら?

もし仮にそう言うのなら、モーネが死んだ後はどうするつもり?

そんなことを考えていると


「お前、寿命を分け与える魔法は使えるんだろう?」


冷酷な言葉が響いた。

つまり、私の寿命をモーネに与えよというのだ。

それは私に死ねと言っていることと同義だ。


「っ!!それは!…禁断の魔法です。もし使えば永遠に魂は閉ざされます。そして、禁忌を犯した国は呪われます。…それに、モーネもただでは済まないでしょう」

「そんなのただの言い伝えだろう?国が呪われるって…具体的にどのように?」

「そんなことをする魔法使いが現代にはおりませんから、私には分かりませんが、王宮図書館には何かしらの記録があるはずです。そして、モーネは人と同じ寿命を得ても、その死後、魂は迷います。永遠に冥府に行けぬまま…」

「どうでも良い」


--え?


「どうでも良いと言ったのだ。モーネが死んだ後のことなど。それから」


当のモーネは少しも残してなるものかとばかり、王太子の指を吸う。


「ミネルヴァ、お前が死のうと私には関係ない」

「罪なき魔法使いに死を迫るのですか」

そういうと、パッと両手を広げる。

「お前は、モーネを殺しかけたんだ。立派に処断の理由になる」

「私がモーネをどうしたというんですか!?」

すい、と人差し指が指される。

「断っただろう。モーネに寿命を与えることを」


この人は、本気で言っているのだろうか。

そんな理屈が通る訳がない。


「おや、そんな道理は通らないと言う顔だな。通すのだよ。モーネを妻に迎えるために、いくらでも事実を捻じ曲げてやる」


腐っている。

王太子も、この国も。


「なんだその顔は。お前も姉と同じだな。生に執着するものは、どこかが醜いのものだ」

私は王太子を睨みつけた。

「今思えば、あの時ダイアナの忠告を聞いておくのだったと後悔しているよ」

「なに…を…」

「妹だけには手を出さないでくれと。…お前の表面上の美しさに私は道を違えた。わざわざ殺す必要などなかったのだよ」

おっと失言だったなと言ったがもう遅かった。


「やはり、姉は殺されたのですね」

「今更隠しても遅いか。どうせお前もモーネに寿命を与えて死ぬんだ。この際だから言うが、父上がどうしてもダイアナを娶れと聞かないんでな。つまらない罪を犯したよ」

くくく、と笑う唇は大いに歪んでいた。

「さあ、お前だけの命で済むうちに魔法を使え」


私は心底この国が嫌になりそうだった。

断れば、王太子は父も母も犠牲にするつもりかもしれない。


私は踊り出したモーネの周りに素早く波動で丸を書いて囲む。

モーネは一切の動きが封じられた。

そして、長い詠唱が始まる。





どれくらい時間が経っただろうか、流れる汗が頬を伝った。


王太子殿下はつまらなそうに欠伸をしたり、ワインを飲んだり、窓の外を見たりしている。


詠唱が終盤に差し掛かると、ビリビリと空気が振動した。

窓の玻璃にヒビが入る。


王太子は危険を感じて慌てて伏せた。



詠唱がそろそろ終わるだろうという頃、辺りが白い光に包まれる。

時間が止まったかのように静かだった。

これは、夢?

姉の婚約が決まった頃の夢。

寂しい微笑みで私に何かを言う姉。

「あの蝶になりたいわ。自由に飛んで儚く消えたい」




モーネが手を伸ばす。



出られるはずもない、波動の囲いをいとも簡単に乗り越えて近づいてきた。


モーネの手は人差し指を立てて私の唇に触れる。

ただそれだけで、私の詠唱を止めた。

それから、ピンクの髪をふわふわと漂わせて、私の耳元で囁く。

『ミネルヴァが幸せになれるように』

慣れた手つきで私に祝福の魔法を唱えてくれた。


「お姉さま…」



バリン!!!!という大きな音と共に、白い空間が破られた。

空間を築いていたその白い破片がふわふわと浮いている。

王太子は馬鹿みたいな顔のまま、変な姿勢で静止していた。



時間が止まっている。

そう思った瞬間、破片が下降して消えた。

止まっていた時間が動き出す。


「うわ!!うわああああ!!!!」

王太子は悲鳴をあげて机の下に潜り込んだが、やがて、静かになっていることに気づき、ゆっくりと机の下から出てきた。


「さ、さて、詠唱は終わったのかな?」

前髪をかき上げながら王太子は言った。


その時、ゾロゾロと衛兵が雪崩れ込んできた。

「王太子殿下!何事ですか」

「ご無事ですか」

口々に声が飛び交っていた。


「ちっ……あの…ミネルヴァが乱心を起こした!モーネを殺そうと…」

その言葉に、衛兵がザザッと私を取り囲んだ。


だが、思いもかけない人の声がする。

「私?私を殺したのは貴方よ王太子殿下」

モーネは普通の人間のように言葉を話した。


「へ…?」

「そして…可愛い妹まで殺そうとした」

「お前は…まさか…」

モーネはくすくすと笑う。

「私はただの蝶です。貴方の命を奪ったところで、私には失うものなど何もないけれど…さて、どうしてあげましょうか」


王太子は尻餅をついて後ずさった。

「謀ったな…」

ぎりっと歯軋りする。

「こいつらを捕らえろ!!」

衛兵が騒めく。


「その必要はない!」


威厳のある声に振り向くと、そこにはこの国の王がいた。


「貴様、とんでもないことをしてくれたな。あの波動は禁忌の魔法のものだった」

「そ、そうなのです!父上!ミネルヴァを捕らえてください!」

「お前のことだ!馬鹿者!」

王太子の肩がビクリと跳ねる。

「さしずめお前が無理矢理命令したのだろう!」

「いえ!ミネルヴァが突然…」

「…ほう?ではそれは、一体何のために?」

青い瞳でぎろりと睨んだ。

国王は続ける。

「禁忌の魔法は一つしかない。寿命を他者に分け与えるものだ。ミネルヴァ嬢が命をかけてそんなことをする理由は、一体なんだ」

王太子の目は泳ぐ。

「答えろ!」

「ひぃ!」

「お前はこの国を危機に晒したのだぞ」

「危機だなんて…大袈裟です父上」

「…一人息子だからと、甘やかしたツケが回ったようだ。もし魔法が完成していれば、この国の滅亡は避けられなかった」

「罰するというのですか!私は将来王になる男ですぞ!」

「愚か者!ミネルヴァ嬢と添い遂げて初めて貴様が王たる資格を得るのだ」


私と結ばれることで得られる王位…これは一体どういうことだろうか…


国王陛下は戸惑っている私に視線を寄越した。

「……こやつは全く魔力がないのだよ。平民よりもな」

顎で王太子を指した。


そんなわけ--


だが、当の王太子は情けなく背を丸め、目線を逸らしている。


「この事は内密に頼む。ミネルヴァ嬢に伝えたのは儂からの誠意じゃ」


魔力の高さが上に立つものの絶対条件だ。

国王が、姉を将来の妻にと切望したのはそう言う理由があったのか。


モーネはその美しい瞳を揺らせた。


「ミネルヴァ嬢、息子がしたことを許してほしいとは言わない。もちろん婚約はなかったことにしよう。この通りだ」

国王は頭を下げた。


「そんな!おやめ下さい!」

「ミネルヴァ嬢はこの息子への処罰に何を望む?」


そう言われて私は…


「姉の、ダイアナ・サデリンの死について調べていただけませんでしょうか」


国王は目を閉じてため息をついた。

その姿は一気に老け込んだように見える。

「そこまで堕ちたか、我が息子は…。分かった。ミネルヴァ嬢やサデリン公爵夫妻が納得いくまで調べよう」


私はモーネを見る。

しかし、彼女はただ感じるままに踊っていた。





翌朝、我が屋敷の庭で一匹の蝶が息絶えていた。

モーネなのかは分からないが、あの騒動の後、蝶に姿を変えるとどこかへヒラヒラと飛んでいったそうだ。


残り僅かの体力でここまで飛んできたのかもしれない。



父母にはモーネのことについては話さないでいる。


「お姉さま、どうかまた、花の蜜を吸いにいらして下さいね。私、いつまでも待っていますわ、この庭で」



薔薇の根元にそっと置いた。

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