クソガキJKはクリスマスの出会いを信じない。JKを拾った俺はため息を吐く。

夕日ゆうや

クリスマスの出会い。

 地下鉄のホームには雑踏で賑わっていた。

 電車がホームに入ってくる。徐々に落としていく速度の電車。

 黄色い線の内側に下がった俺は風圧に圧倒される。

 目の前で止まった電車からはドアが開き、吐き出すように人混みがなだれ込んでくる。

 ふわりと香る甘ったるい香水の匂いとともに貴婦人が電車から降りてくる。

 奥にいる男子高校生二人が何やら話し込んでおり、一喜一憂している。

 俺にそんな時期はとうに過ぎた。

 毎日のようにこなしていく仕事の山。

 それに疲れ果てた俺はクリスマスの街中をゆっくりと歩く。

 シャンシャンと鳴り響く鐘の音。

 降り積もる新雪。

 積雪を踏むとぎゅぎゅと音が鳴る。

 吐く息がしらんでいる。

 アパートの前に来ると、なにも変わらない日々に飽き飽きとする。

 もう動揺することなくなった。

 変わらぬ平凡な日々。

 退屈だ。

 雪の積もったアパートの階段を慎重に歩く。

 自分の部屋の前で女子高生が座り込んでいた。

 見間違いだと思い、目をこする。

 が、そこには女子高生がいた。

 制服を着ていて、少し寂しそうな笑顔を見せる。

「キミ、どうしたんだ?」

 俺は思わず、そう訊ねていた。

 本当は関わるべきじゃないのに。

 でも、その瞳に心を奪われた。

 女子高生と関わるとろくな事がないんだよな……。

 白いため息を吐く。


 もう覚悟は決まっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

クソガキJKはクリスマスの出会いを信じない。JKを拾った俺はため息を吐く。 夕日ゆうや @PT03wing

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ