第3話 オーストラリアデビル編 「けっかのしゅうそく」
私は、ブラックバックちゃんとタスマニアデビルちゃんでドールちゃんをゲネシスアークに送り出す準備をしていました。
この日のために作ったとっておきの曲とステージ…。
絶対成功させなくちゃ…。
「ブラックバックちゃん、タスマニアデビルちゃん…本当にこれで良かったんだよね」
私たちの役目はたった1人ゲネシスアークに転移するドールちゃんを励まして、私たちの作るライブでみんなを楽しませること…でも…。
「パークにはまだプロディデンティアがいるのに、ライブなんてやってもいいのかな…」
セルリアンの習性は、私たちの輝きを奪うこと。それは特異級でも変わらない。
「オーストラリアデビル、まだライブをやる事に不安を抱いているのか」
ブラックバックちゃんが私に話しかけてきた。
「どんな結果だろうと最善を尽くす。それが我々ジャパリ団の役目だ。セルリアンなど気にする事はない。そのためにライブを開いたのだ」
ブラックバックちゃんの考えていることが、今わかった。
今私たちが相手にしているのは巨大なセルリアン。ハンターセルや他の黒いセルリアンなんかよりも強大な相手だ。
そこにフレンズを集めて、プロディデンティアを引き付ける。
そうする事で、巨大なセルリアンにみんなで立ち向かえる。
「…そんな無茶な作戦辞めてくれよ…みんなを巻き込むかもしれないんだぞ…みんな居なくなったら、また俺たちが迷惑をかけちまう…」
タスマニアデビルちゃんもブラックバックちゃんの考えに気付き、不安を抱えていた。
「ねえ、それって私達の事が信用できないって事かしら?」
そこに現れたのは、腕にジャパリ団の腕章を付けたトキちゃん、そして大勢のフレンズ達だった。
「私はあなた達の歌が好き。あなた達の心を震わせる歌が好き。だから沢山フレンズを集めたのよ、あなた達には仲間がいるもの。こんなにもたくさんの仲間が」
そこには数えきれないくらい沢山のフレンズ達が集まっていた。
力に自慢のあるフレンズも、戦えないフレンズ達も、みんなジャパリ団の為に集まってきてくれている。
もちろん、ハクトウワシちゃん達探検隊もここに集まっていた。
「ブラックバックの作戦は大勢のフレンズ達を巻き込む賭けでしかない。それを正義のフレンズであるキャプテンハクトウワシが見逃すはずないもの」
ハクトウワシちゃんはトキに協力を頼まれた時、ブラックバックちゃんが考えた作戦を何としてでも遂行する、と承諾してくれていたのだ。
「最善の為に、悪の道を選ぶ覚悟は当の昔にできているのだ。みんなに迷惑をかければ、必ずハクトウワシが止めに来てくれると信じてな」
ブラックバックちゃんは探検隊が協力してくれる事も想定済だった。
「ドールたった1人のための無茶なライブ、隊長として感謝するよ。ジャパリ団のみんな」
隊長も、ジャパリ団達のことを信じて行動してくれていたのだ。
「プロディデンティアはたった一体でも強力な特異級セルリアンだ。ライブを開いて、フレンズ達を集めて対処する。これは探検隊としても合理的な作戦だと思う。今すぐ探検隊に招待したいぐらいだ。でも、そうは行かないんだろ?」
ブラックバックちゃんは、いきなりクククと笑い始めた。
「我々は闇のフレンズ。いつだって悪は正義に仇なすものなのだ、だが今回は違う、いわゆる共闘という奴だ。ドールの為に開いたこのライブ、絶対に成功させる」
でも、ちょっとおかしい。こんなにフレンズが沢山いるのに、セルリアンが1匹も湧いてこない。
まさか…。私達はセルリアンにお引き寄せられて…。
「おい!オーストラリアデビル!…あれ見ろよ」
タスマニアデビルちゃんが指差した方向には、大量のプロディデンティアの群れと、それを率いる悪魔のようなセルリアン。
「あいつだ…、夢で見た。…マルコシアスだ」
私達は、最悪の選択を選んでしまった。
どうすればいいの…ブラックバックちゃん…!
4話 ブラックバック編に続く。
─けものフレンズSerenade─ 同人サークル Sing/Phonia @keichee
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★1 二次創作:けものフレンズ 完結済 10話
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