死が散らばる場所で働いていても、死が特別でないとは限らない。

正直、この話を読んで、応援コメントを覗くまで、僕は医療従事者の方にとって死は当たり前で、眼の前の死をある程度業務的に処理しているのかなと思っていました。
今思うと、これは失礼なことだったかなと思います。だって、毎日のように目の前で人が亡くなるのを見て、それをすべて受け止めるなんて心が壊れてしまいそうだから。

そうではなくて、死を目にして彼らが抱くのは救えなかった患者さんへの自問自答だったり、敗北感だったりで、医療従事者にとっても死は特別なものではないかという作者の考えが、大きな学びになりました。

何より、作中では二十二歳の若者を救えなかった場面が書かれており、これを理解したあとに読むと、また違ったものが読み取れます。

新しい考えを示してくださったこの作品に、レビューを捧げます。ありがとうございました。