【第1巻発売記念SS】起こりうるバッドエンドの一つ

【11月30日発売!】

「醜いオークの逆襲 同人エロゲの鬼畜皇太子に転生した喪男の受難」

双葉社 Mノベルス

イラストはゆか先生!

メッチャ加筆修正しました! あと、口絵がメッチャエロいです! お楽しみに!


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―――――――――――――――――――――――――


「デュフフ……残すはフォルクング皇国と、拙者・・の雌豚に手を出そうとした愚か者……魔王を残すのみでござるか」


 北方の海を臨み、拙者は口の端を持ち上げる。

 ただし、たるんだ頬肉のせいで誰も気づかないでござるけど。


「イルゼ、お前も楽しみでござろう? 何せ、バルドベルク帝国がこの世界を支配する時が、目前に迫っているのでござるからな」

「…………………………」


 ガベロット海洋王国から仕入れた、胸元だけがぱっくりと開いたメイド服に身を包む拙者の従者……イルゼ=ヒルデブラントが、無表情でこちらを見つめる。

 だけど……デュフフ、そのハイライトの消えた藍色の瞳の奥には、雌豚らしくハートマークが浮かんでいるでござるよ。


「さすがはルートヴィヒ殿下です! もうすぐ世界の王になられるのですね!」


 拙者の足にすがり、媚びた視線を送ってくるのは、真っ先に滅ぼしてやったベルガ王国の姫、ソフィア=マリー=ド=ベルガ。

 そう……拙者を“醜いオーク”にした張本人でござる。


 ベルガ王国を滅ぼした後、ペットとして飼った当初は、キスしただけで嘔吐し、周囲を汚物まみれにしたソフィアだったでござるが、それ以上に拙者の汚物と体液まみれにしてやったら、すっかり汚物処理専門の雌豚タンクになったでござるよ。


 おかげで今ではトイレいらず。拙者のオークを見せてやれば、ほれ、まるで餌を求める魚のように、口をバクバクさせているでござる。

 それもこれも、あの日・・・に拒絶し、拙者の心を粉々にした報いでござる。……いや、まさに因果応報でござるな……って。


「オフィーリア、そんな物欲しそうな目で見るなでござる」

「っ! だ、だが、さすがにお預けが過ぎるのではないか!?」


 せっかくソフィアの口で用を足していたというのに、邪魔をするとは無粋な奴でござる。

 この雌豚……いや、雌犬には、お仕置きが必要でござるな。


「イルゼ。オフィーリアを、いつものようにアレ・・に座らせておけ。もちろん、両足に十キロの重りつきでな」

「…………………………」

「っ! そ、そんな……」


 イルゼが無言でオフィーリアを引きずると、拙者が指示したもの……これもガベロット海洋王国で買った特別な椅子・・・・・の上に雌犬を座らせて固定した。

 まったく……言葉とは裏腹に、激しく腰を振ってメチャクチャ悦んでいるじゃないか。変態雌犬め。


 デュフフ……他にも、今も悪魔ディアボロに後ろをあてがわれ、股を開いて拙者を手招きする聖女、ナタリア=シルベストリや、獣魔兵達によってなぶられ続けているイスタニア魔導王国の第一王女、カレン=ロサード=イスタニアなど、拙者の雌豚達が悦びの声を奏でているでござるよ。


 この北方の海の果てにいる魔王よ、聞こえているでござるか。

 貴様が欲しがった雌豚どもは、全て拙者のものとなった。


 だから貴様は、その草木も生えない極寒の地で永遠に悔しがるがいい。


 拙者の名は、ルートヴィヒ=フォン=バルドベルク。

 この世界を統べる、“醜いオーク”でござる……ってえ!?


 ――どぼん。


「がふ……がふふごべええええええッッッ?」


 し、しまったでござる!? うっかり足を滑らせて、海の中に落ちてしまったでござるよ!?


「は、早く……ごぼ……拙者……がべごほぼぼぼぼぼッッッ!?」


 必死に手を伸ばして助けを呼ぼうとするも、三百キロ以上もある体重のせいで全然浮き上がれない。

 それに、このわがままボディでは必死にもがいても手足の可動範囲が狭すぎて、どうにもならないでござる。


 オマケに。


「はああああ……っ」

「ん……ん……んほおおおおおおッッッ!」


 駄目でござる……拙者の雌豚達は、快楽に溺れて誰もこちらに気づいていないでござるよ……。


 ……いや、一人だけ気づいているでござる。

 ハイライトの消えた藍色の瞳で見つめる、口の端を吊り上げた夜叉のような表情のイルゼが。


「ごぼ……ごぼぼ……」


 どんどん遠ざかる、水面の光。

 拙者はそのまま海の底へと沈んでいき、そして。


 ――十九年の生涯に、幕を閉じた。


 ◇


「うわあああああああああああああああッッッ!?」


 手足をバタバタさせ、僕は目を覚ました。


「ゆ……夢、か……」


 ここが海の中ではなく、ふかふかのベッドの上だと気づき、ホッと胸を撫で下ろす。

 というかさっきの夢、『醜いオークの逆襲』にある『溺死エンドC』だよね。バッドエンドの中でも五本の指に入る、あの恥ずか死ぬエンド。


 海で溺れる感覚は最低だったし、悔しいけど凌辱の限りを尽くされるヒロイン達の様子に、僕のオークは正直だった。


 その時。


「ル、ルイ様!」


 血相を変えて部屋の中に飛び込んで来たのは、僕の大切な女性ひと、イルゼ。

 というか、どうしてシースルーのナイトウェアを着ているのかな? ひょっとして、気に入ったのかなあ。


「ご、ごめんごめん、ちょっと嫌な夢を見ちゃって。僕は大丈夫……わぷっ!?」

「いいえ。また同じように悪夢にうなされてしまわれるかもしれません。今夜はこのイルゼが、ルイ様の隣でご一緒いたします」


 思いっきりその巨大なお胸様に顔をうずめて抱きしめられ、窒息寸前の僕。というか、このままじゃ『溺死エンド』と変わらない結末を迎えるのでは? ただし、幸福度は圧倒的に違うけど。


「その……お求めでしたら、この私がお慰めいたしますが?」

「っ!? だだ、大丈夫だから!」


 チクショウ、無駄に元気な僕のオークがイルゼの太ももに触れてしまったせいで、勘違いされてしまったじゃないか。

 僕はひたすら賢者へのジョブチェンジを試みながら、どこか嬉しそうなイルゼに抱きしめられて、朝まで過ごした。


 え? 結局どうなったのかって?

 もちろん賢者になんてなれずに、腰を曲げてただ必死に僕のオークを隠したよ。


 でも、イルゼのおかげで悪夢も見なかったけどね。


 一睡もできなかったから。

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【11月30日第1巻発売!】醜いオークの逆襲~同人エロゲの鬼畜皇太子に転生した喪男の受難~ サンボン @sammbon

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