第83話 阿呆の所業

 その後は数分くらいで筋肉タウロスの討伐は完了した、氷像となった筋肉タウロスだがその後頑張って氷を破壊して復活したのだ。


 そこまでは良かったが寒さに弱かったヤツは武器も失いこちらに突然してきた。

 当然アルティエ達が魔法の嵐でヤツを迎撃する、筋肉タウロスは魔法でボコボコにされて倒された。


 本当にとんでもない体力だったな、舐めてた訳じゃないけど予想以上だった。

 これは他三体のダンジョンコアを守るボス達はベルフォード学園の皆にはキツいか?


 ただ腐ダマ復活の時期を考えると、今日中にあと一個はダンジョンコアを確保しておきたい所なんだよな~~。


 仕方ないのであと一個は自力でどうにかしょうと決めた。筋肉タウロスとの戦闘中でもこの『星魔の塔』のモブ掃除はずっと続けていたので『天眼』を発動して確認するともう殆どの魔物は『無限域の箱』の中に収容済みみたいだな。


 『星魔の塔』の内部には用務員おじさんの魔法によって生み出された細かな粒子があちらこちらを漂っている。


 最早の塔の内部は殆どを制圧した、新たら魔物がゲームみたく一瞬でリポップしたとしても一瞬で異空間に放り捨てる事が可能な状態だ。

 この状態ならベルフォード学園の学生達に自由時間を与えても良いだろう。


 何しろ筋肉タウロスが思いのほか短時間で倒せてしまったので学生達が少し暇そうなのだ、一部の好奇心旺盛な学生とか勝手にダンジョン観光を続けようとしているくらいに。


 と言う訳で……。


「ここからは自由時間です、このダンジョンを先に探索して下さいね。魔物が現れたら倒すか勝てそうにないなら逃げて下さい、少し待てば私が掃除しますので」


「ラッラベル!? いいのかそんなあっさり自由にさせて……」

「我が師よ、流石に自由時間と言うのは…」


「もちろんディアナさんやアルティエさんには監督して欲しいですね、例えばディアナさんはまとまって動く生徒の監督を。アルティエさんは探索を優先したがりそうな生徒さんの監督をといった感じですね」


「まあラベルがそう言うのなら、構わないが…」

「分かりました、それでは私が一人でも勝手に動きそうな生徒の方を見ましょう」

「お願いします」


 無論他にも女教師が引率的な感じでいるのでそちらにもお願いはしていく、既にこのダンジョンの魔物と戦っている生徒達だし無茶な真似はしないと思う、だって貴族だからね彼女達。


 冒険者とかじゃないんだからある程度は自分で考えて正しい判断をしてくれるだろうさ。

 という訳でディアナとアルティエに生徒達のお守りは任せて用務員おじさんはダンジョンを探索する事にした。


 すると声をかけられる。


「ラベルさーーん!」

「おじさーん!」

「ラベルさん、少し話をしたいのだが構わないか?」

「……シフォンさんにデュミナさん、それにラビスさん?」


 この三人の組み合わせ、少し懐かしく感じる用務員おじさんである。

 しかし改まって話とは何だろうか?


「どうしたんですか?」

「おじさん、デュミナには分かるよ。おじさんはま~た抜け駆けをしようとしてるよね!」


 中々に勘が良い平ら~ツインである、確かにこれから用務員おじさんは更にダンジョンコアを守るボスを倒そうと考えていた。


「おじさんはこの塔について色々知ってるよね? 隠しているつもりだとしてもデュミナにはお見通しだよ!」

「……………」

「そうっおじさんはこれから……このダンジョンのお宝を独り占めしに行くでしょ!」


 ……………はい?

 何言ってんのこのペチャパイは、女の勘が全く機能してないじゃん。

 確かにここはダンジョンだ、探せばお宝と呼べるアイテムくらいあるだろうけどさ。


 今はダンジョンサバイバルしてる時なのでそんな物の事は全く考えてなかっただけに心底驚いた用務員おじさんである。


「……違いますけど」

「ほらみろデュミナ、ラベルさんはそんな事はしないに決まってるだろう」

「そうよデュミナ」


「え~~けどさ、まともな装備もないのにいつまでダンジョンを探索するっての? 普通はダンジョンで強い装備とか探したりしない?」


「!?」


 頭を鈍器でぶん殴られたような気分だった。

 そうだよ、なんでゲームだダンジョンだって話をしてんのに俺はいつまで経ってもまともな装備品の一つも身に着けずに用務員の格好をしてんだよ。


 普通に考えれば先ずは装備の収集も考えるべきだったんだ。だってゲーム的な効果が発揮される世界だ、装備を身に着けるだけで基本ステータスが上がるとかあるかも知れないし。


 何より手っ取り早く強くなれる。何もレベリングだけが強くなる方法じゃない、俺はいつの間にか素のステータスのみでダンジョンを攻略する事を目指した、つまり縛りプレイをしていたのだ!


 ……完全に阿呆の所業である。

 

───────────────────────


 ストックがなくなったのでしばらく投稿を休みます。




 

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【第二章開始!】異世界の魔法学園で用務員をしてる産廃キャラおじさんは異次元ダンジョンで人権キャラに成り上がる(元から最強クラスの魔法使いだっただけです) どらいあい @driai

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