禁断の箱を壊したい衝動が爆発して、、、

用意したもの

・ハンマー

・防護服

・配信用のカメラ


今までに見た事のない映像を届けたい一心で、動画配信を続けてきた。


しかし、そんな俺の命運もこの動画と共に尽きるかもしれない。


いわゆるパンドラの箱、というやつを入手してしまった。


どこで入手したかって?


そりゃあ禁断の地って言われるあそこだよ。

動画で場所なんか配信したら、俺みたいな犠牲者が後をたたなくなっちまうだろ。


だから、場所は非公開だ。

ただ、普通に考えたら、あんな場所は誰も近寄りたくないな。


だが俺は、普通に考えられない人間だ。

動画配信者なんて皆そうだ。

まともな感性でこの仕事は続けられない。


っと、前置きが長くなりすぎるのが俺の悪いクセだ。

そろそろ本題に入るとしよう。

この動画が上がる頃には、俺はもうこの世にはいないだろうけど、最高の最期の一本にしてみせるぜ。


派手に飾る人生の最後の動画は、「禁断の地で拾ってきたパンドラの箱をぶちこわしてみた」だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そう言った男は、画面の中で防護服に身を纏い、ハンマーを「パンドラの箱」と言われるモノへ振り下ろしたところで、画面は消失した。


読者の想像力に委ねるなら、禁断の地も、パンドラの箱も、画面の消失もすべて「謎」というおもちゃ箱に詰め込んでしまおう。


結局そいつがなんなのかなんて、誰も分かりはしないのさ。


そう言って俺は、防護服を脱ぎ、ハンマーを画面へと振り下ろした。

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頭がおかしいと思われたい時の短編集 独り踊り @HitoriOdori

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