第11話
事件から日が経てば、何事もなかったような日常が流れる。警察署では、日々、大なり小なりの事件に忙しくしていた。
狼男の岩田は、新たな上司の元で、営業の仕事を続けていた。会社は、
「見てくださいよ。こんなに喜んでいる」
隣には蓮宮がいて、スマホの画面を見せた。二人はいつものようにビルの屋上で、夜風に吹かれていた。
「ほんと、良かったわね」
動画には、市役所の男性職員の沢田と、蓮宮たちのあとをつけ回っていた男の川田も映っていた。彼らも、岩田の同胞だった。
大神村に暮らす人々には、住民票はなく、誰にも知られずにひっそりと生活しているが、岩田たちのように村を出て、町や都会で暮らす者もいる。そのため、沢田のように、役所で彼らの戸籍を作る者が必要なのだという。
『摩天楼の狼男』その特集の内容には、岩田たちの個人的な情報は書かれてはいない。
最後のページには、あまり認知されない、マイノリティの人たちがいても、彼らの存在を否定したり、生きる場を奪う事など、あってはならないと締めていた。
蓮宮は、新たな都市伝説『麗しのフランケンシュタイン』について取材を始めていた。
摩天楼の狼男 白兎 @hakuto-i
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