第6話  由布子、捕獲作戦

それから僕は由布子の好きそうな雑誌やゲーム機を、ゴミ捨て場から拾って来てはテーブルの上に置いておいた。

由布子、捕獲作戦、発動。

これにつられて、由布子がまた現れるのではと思ったからだ。

由布子が見ていた雑誌の最新刊が出たので、買って来た。

でもこのままでは由布子は手に取れないので、わざと後ろの方を破いた、部屋にいないときは、わざとテレビをつけっぱなしで出かけたりした。

もう一度、由布子に会いたかった。

仕方がない由布子はとんでもない美少女で、僕のドはまりのタイプだ。


次の作戦。

そういえば由布子はポップコーンが食べたかったのに食べられなかった。

彼との思い出だ。

それから僕は毎日ポップコーンを小皿に入れて置いておくようにした。

由布子がポップコーンにつられて出て来ることをもくろんだ。

でも三日経っても、四日経っても、五日たっても、由布子は現れない。

その時になって僕は重大なミスに気付いた。

ポップコーンは由布子の手をすり抜けてしまうのだ。

仕方がない。僕はポップコーンをもって外に出た。

その日は、雪が降り積もっていた。

そして僕は雪の上にポップコーンをまいて。

ちょっとだけ足で踏みつけた。

これで食べられるかな。

その日は、僕の家の前は、雪じゃなくて、ポップコーンが降り積もった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

落とし物  フルバージョン 帆尊歩 @hosonayumu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ