第三局17巡目◉絆

17巡目

◉絆


 カオリは受験を終えたので、しばらくぶりに記録ノートを開いた。


××年××月××日


 こんな事を書くとおかしいんじゃないかと思われそうですが、私には神様が味方についた。うん、書いててもうアタマおかしい奴にしか思えなくなってきた…。でも、いるんだから仕方ない。伍萬の付喪神で伍萬に触れた時だけ顕現しては私に麻雀を指導してくれるの。へんな話でしょ?私だってそう思うわ。あとこれも神様の力なのかなんなのか知らないけどオーラを見たり出したり出来るようになってた。すごく疲れるからあんまり出さないけど。……ダメだ。いよいよイッちゃってるじゃないコレ。変な薬はやってないわよ。神様の名前は【woman】ウーマンの付喪神だからwomanだって。なんだかふざけてるって言うか、てきとーな神様よね。ほんとの話なのこれは、信じろってのが無茶なのはわかるけど。womanの姿は見えないんだけど、声だけは聞こえるの。とっても綺麗な声。幻聴じゃないわ。確かにいる。私の麻雀の先生は優しい声をした神様です。



(こんくらいでやめとこ…なんかもう、誰にも見せらんないなこれ)


 カオリは何となく赤伍萬のキーホルダーに触れてみる。


《なんですか?カオリ》

(いや、やっぱり居るよなあと思って。今更だけど)

《何がです?》

(あなたが、よ)

《まあ、居ますね。この通りです》


 カオリはずいぶん遅めだが、今になってやっと、不思議だなあと思った。


 来月からは大学生。

 カオリたちは話し合って決めたわけでもないのに4人とも茨城大学に進学した。なぜなら。


 茨城大学なら水戸駅からバスで25分。つまり佐藤家に近いから麻雀部の部活で集まりやすい。


 という動機が全員にあったからだ。 

 卒業しても麻雀部は無くなることがないどころか、より一層絆が深まるのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

財前姉妹~麻雀少女青春奇譚~ 彼方 @morikozue

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ