第50話 時の風


あれは時の風だよ 


彼はそう言いました 


もう帰れない彼はこうともいいました


闇に逝かなきゃ、僕らの居場所はそこにあると


この夢のお告げはもう壊れた幼子の淡い思い



何故、私とあなたは出会い踊っているのか


この鏡の裏側に彼と私の心の温もりを


見つめている何かがあるのだ


彼の泣き声があたりを消し去る



星々と一緒に悲しみをのせて


何故かしらこの大空を打ち砕く 


もう帰れません あの頃には帰れません


風を飲み干して彼と風を弄んでいく


現と夢の境目を揺るがして溶けていく



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

少女哀歌 10代作品集 少女は死にたい宿痾を抱えていたーー。 詩歩子 @hotarubukuro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ